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電力・発電・原子力スレ

4811とはずがたり:2018/09/01(土) 23:27:00
>>4810
こうした懸念を打ち消すために行われた会社側の回答の概要は、以下の3点にまとめられます。

第1は、今回のプロジェクトでは、日立が既に開発済でテロや災害に対する規制強化によるコスト上昇にも対応済であるABWR型が採用されており、経験や実績が豊富なABWRであれば建設を含むプロジェクト管理で先を見通しやすく、設計遅延リスクや後戻りリスクが限定的であるため精度の高いコストの見積りと管理が可能としています。

また、こうした点が、建設実績がない新設計のAP1000 を採用した東芝・WHとの大きな違いであることが示唆されました。

第2は、日英両政府の支援が取り付けられており、その一例として英国政府による電力の長期買い取り制度が活用できるため運転開始後に安定的なリターンの確保が可能であることが指摘されています。また、英国では既設原発の老朽化などにより、原子力発電の新設が喫緊の課題となっていることも追い風であるとされています。

第3は、工期延長によるコストアップという最大のリスクへの対応策が取られていることです。

具体的には、長年の実績がある現地で据え付けを行うモジュール工法を採用することや、上述の日立、ベクテル、日揮の3社のコンソーシアムでは、「3社共同履行責任」(注)のもとでOn-Time On-Budget(スケジュールや予算通り)の実現を目指すと合意されていることなどが挙げられています。

注:東芝・WHの場合は工事遅延のコストアップをどこが負担するかの問題が訴訟にまでなり、そのことがさらなるプロジェクトの遅れにつながったが、今回はそうした問題が起きないように事前にリスク負担の割合を話し合いで合意してからプロジェクトをスタートするとしている。

■今後の注目点

今回のIRデー後の筆者の印象は、不安と安堵感がミックスされたものでした。

まず、「不安」については、テロや災害に対する追加の設計変更や工期遅延に伴うコスト上昇を、長期買い取り制度で決定される価格が十分に吸収できるのかという点です。

もちろん、現在行われている売電価格の交渉には、2001年9月11日の同時多発テロや2011年3月11日の東日本大震災が起きてからの規制強化は既に反映されていると考えられますが、売電価格が決まるのは2018年であるため、このようなリスクが十分に考慮された価格体系が認められるように交渉が進展していくかを注視する必要があると考えます。

一方、「安堵感」を持った理由は、日立は民間企業、営利追求企業としてこのプロジェクトを進めるという趣旨の発言が会社側から何度かあり、他の出資社が見つからずオフバランス化の見通しが立たない場合や、電力の買い取り価格がリターンを期待できる水準でなければ、「撤退」という判断もありうることが示唆されたためです。

東芝(6502)の場合は、WHを約6,000億円という高値で買収してしまい、それに付随し巨額ののれん代も計上されたため、リスクが高い海外案件でも「やめる」という選択肢はなく、これが悲劇の一因となりました。

これに対して、これまでの日立のホライゾンへの出資は900億円に留まります。このことが、東芝との大きな差異と考えられ、このような冷静な判断が保たれている1つの理由であると考えられます。

今後も、今回のように外部との対話をオープンに行い、東芝問題を「他山の石」として、ホライゾンプロジェクトに関して冷静かつ最適な判断が行われることを期待したいと思います。


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