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電力・発電・原子力スレ

2423とはずがたり:2014/07/13(日) 18:33:29

メリットはゼロ抵抗ではない

 電気抵抗をゼロにできる超電導ケーブル。家庭でも使えるのだろうか。「超電導ケーブルは高電圧小電流の送電に向いている。現在は一次変電所の出力側(66kV)に接続することを考えて開発が進んでいる。発電所の発電機の出力側につなげる用途も有望だ」(八木氏、図1)。

 超電導ケーブルは冷却しなくてはならないため、空中架電には向かない。一方、地中送電には最適な技術だ。都市中心部では空中架電が使えないため、地中送電が多用されている。もしある都市部で地区の電力需要が伸びていくことが分かったとしよう。地中送電用配管には余裕がないため、もう一度配管工事が必要だ。このような場合、超電導ケーブルであれば、より細い管でより大量の電力を送ることができる。銅ケーブルを置き換えるだけよく、長距離の配管を敷設する工事は必要ない。景観上の問題で空中架電ができない地区にも向く。超電導ケーブルはシールドされているため、電磁波放射がほぼゼロだという特徴もある。

実用化は可能なのか

 メリットばかりが見える超電導ケーブルだが、果たして実用化できるのだろうか。課題は3つある。コストと性能、信頼性だ。

 2020年の目標を実現するコスト低減の手法は3つあるという。まず冷却コストの低減、次にケーブルの製造コストを下げること、最後に実質的なコストを下げることだ。冷却コストを下げるにはより高効率な冷凍機を開発すればよい。

 ケーブルの製造コストはどうだろうか。「現在、連続生産で長さ1kmのケーブルを製造できる。これを長くするとともに歩留まりを上げることで製造コスト低減が可能だ」(八木氏、図2)。

 実質的なコストとは何だろうか。超電導ケーブルは銅ケーブルとは違って、太い金属に電流が流れるのではない。電流が流れるのはわずか1μm(1000分の1mm)という薄い層だ。この厚さを2倍にできれば、送ることができる電流の量がほぼ2倍になる。2本必要な送電ケーブルが1本で済む計算になる。これが実質的なコスト低減の意味だ。

 ところで、なぜそれほど薄い層を使って送電しているのだろうか。これには理由がある。

 そもそも現在最も実用化に近いのはビスマス(Bi)を使った超電導ケーブルだ*4)。住友電気工業は1986年からビスマスケーブルの開発を進めており、1.5kmの長尺化にも成功している*5)。ビスマスケーブルは圧延工程で製造できる。複数のローラーの間に金属を通して細く長くする、製鉄などでも使われている工程だ。圧延工程は製造コストが低く、大量生産に向く。

*4) 金属酸化物であるBi2Sr2Ca2Cu3O10を使う。
*5) 同社は2000年の段階で100m長のビスマス系ケーブルを使った10万kW級の長期課通電試験に成功している。2009年には線材の出荷長さが100kmを超えた。

 しかし、ビスマスには2つの欠点がある。1つ目はビスマスが磁場に弱いことだ*6)。超電導状態は磁場がなければ安定だが、強い磁場を受けると失われてしまう。「送電ケーブルが強い磁場を受けることはないため、直接問題にはなりにくい。ただし、ビスマス技術をコイルやマグネットに向けて広げていこうとするときに制約になる。具体的には変圧器や電力貯蔵、MRI(核磁気共鳴画像法)だ」(八木氏)。いずれも強い磁場が発生する。

*6) 企業が送電ケーブルを中心に事業戦略を立案しているのであれば、磁場の問題は欠点にはならない。


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