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スーフィズムに関するHP

705名無しさん:2015/02/22(日) 14:28:15
>>704

◆「空爆したお前らも異常だ」

 次に取り上げるのは湾岸戦争後のイラクを舞台にした異色作『スリー・キングス』(’99)。

 米軍兵士アーチ・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)ら4人が、フセインが隠した金塊の在り処に関する地図を発見、軍の指揮下から離れてそれを奪い取ろうと画策するその珍道中を描く。

 そこで彼らが目撃したのは、米政府が反フセイン派の村人たちをあおった末に、いざイラク軍が戻ると助けもせずに置き去りにしていた光景だった。村人たちは食糧などの配給をカットされ、イラク軍から弾圧されていた。

 ゲイツの台詞「ブッシュが反フセイン派を支持。挙げ句に見捨てた。それで虐殺だ」に表われている。

 が、ゲイツら4人は金塊こそが最優先。イラク軍の秘密の地下室に侵入し、金庫から金塊を奪取する。そこでの展開が見事だ。イラク軍は治安を維持したいがために米軍にはさっさと消えてほしい。それで大量の金塊の搬出を手伝う(!)のだ。

 実のところ、米国にとってイラク国民のことなどはどうでも良く、ただ石油のためだけに世界最大の軍事力を行使したのだ。金塊騒動はその縮図に過ぎない。

 イラク軍兵士の台詞「フセインも異常だが、空爆したお前らも異常だ」は、イラク側の実感をよく突いていて、ハリウッド映画らしからぬ皮肉が利いている。

 イスラム政治思想史に詳しい池内恵は、湾岸戦争で米国の中東での一極支配が定着すると、「アル=カーイダに代表されるイスラーム主義運動の過激派は、米国をイスラーム教の理念に服した世界秩序の復興を阻害する最終的な敵と見なし、武力によるジハードをグローバルに展開していく。現在の『イスラーム国』は、その運動の帰結と言っていい」(『イスラーム国の衝撃』文春新書)と指摘する。

 10年に及ぶ経済制裁がイラク国内に過激主義を育んだことも影響した。

 フセインが「宗教思想への熱意を示したのは、経済が混迷する状況でスンニ派の部族をなだめる狙いから」(『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』)だった。支持基盤のスンニ派中流層が貧しくなったため、そのガス抜きに過激主義を大いに利用した。例えば、失業率の上昇をごまかすため、女性の家庭外労働などを禁止した(同上)。

 イラク戦争後にこの勢力が増殖し、過激派の母体となった。

 つまり、すでにパンドラの箱は用意されていたのだ。


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