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1408とはずがたり:2016/02/12(金) 22:38:25
>>1407-1408
財政赤字に転落したサウジアラビア

サウジアラビアの国内事情も見逃せない。孫崎享・元駐イラン大使は「処刑と断交はサウジアラビアの国内引き締めを目的に行われた。それだけ国内の矛盾が深まっている兆し」と指摘する。

そもそもサウジアラビアの起源と正統性の源泉は、18世紀のサウド王家とスンニ派ハンバリー法学に属するが、原理主義的解釈をする宗派であるワッハーブ派とも同盟関係にある。王権と宗派の狂信的情熱が合体し、過去にアラビア半島征服戦争に打って出た。それが今やサウジアラビア国教の地位に納まり、穏健なスンニ派原理主義に落ち着く。

サウド王家は歴代ワッハーブ家と婚姻を重ね、法学者らを“公務員化”して不満を抑え、支持者にした。しかし、国内には原理主義をまじめに受け取り、アル・カーイダやISを、慈善基金やポケットマネーで支援する富豪が少なくない。オサマ・ビンラディンも大富豪の地位を捨て教義に殉じた一人だ。

実際に処刑された47人のうちシーア派は4人。43人はアル・カーイダ系の王政に敵対した国民だ。これまでサウジアラビアは、イスラム法重視・反シーア派という価値観を共有する、アル・カーイダ系のヌスラ戦線やISを、ひそかに支援。が、パリ同時テロ以後、欧米で「IS主敵論」が急に高まり、国際協調とイスラム過激派支援という、“二股外交”が許されなくなった。処刑はイスラム過激派と縁を切る大きな決断を内外に宣言したと推測できよう。

さらには、サウジアラビアと緊密だった、米国との関係も微妙になってきた。「両国間の全面的信頼関係はもはや消えた」(保坂氏)。有事の際、湾岸戦争のように米国に安全保障を頼れるのか、との不信感が高まっている。

理由の第一は、イラン核開発協議で米国が妥協し、イランの国際社会復帰を許したこと。第二は、サウジアラビアが推進したシリアのアサド政権打倒が、米国の及び腰で挫折したことである。2013年にアサド政権軍が化学兵器を反体制派に使用したとき、米国がロシアの圧力に屈し、飛行禁止地域設定などの手段を取らなかったことが、アサド政権の延命につながったからだ。

焦るサウジアラビアは、国内外の変化に対処するため、イスラム圏で仲間集めを始めている。2015年12月には、サウジアラビアの首都リヤドに本部を置く、「イスラム軍事同盟」を結成し、34カ国が加盟。同床異夢の同盟で、軍事的実効性はないが、数を誇示することはできた。

原油価格下落によるサウジアラビアの財政難は深刻だ。2016年度予算は、2240億ドルの歳出に対して歳入は1371億ドルと、869億ドルもの赤字。ガソリンや電気・ガス、水道料金を大幅に上げる。政府内では付加価値税導入案もささやかれ出した。国民から税金を取らずにカネをバラまき、王政を支えてきたレンティア国家の基盤も揺らぐ。サウジアラビアは歴史的岐路に立っている。

(「週刊東洋経済」2016年1月23日号)


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