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国際関係・安全保障論
824
:
名無しさん@保守系
:2005/02/11(金) 02:10:32
保守主義の端緒は、18世紀末のイギリスですが、国の政体、歴史、伝統、秩序などを守るという漠然とした思想ですから、国の数だけ保守主義があるとも言えます。とはいえ、自由民主政治が定着した国では、保守主義もこれを前提とせざるを得なくなっているとも言えます。英国の保守党は勿論のこと、日本の自民党であれ、韓国のハンナラ党であれ、自由民主政治以前の状態に回帰しようという人は、殆どいないでしょう。
欧州諸国や日本の保守主義は、名望家的、権威主義的であるのに対し、市民革命で誕生したアメリカの保守主義は、古典的な自由主義です。前者は、権威主義的で国家を重んじるため、第2次世界大戦後において、国親思想の立場から、あるいは資本主義体制を護るため、福祉国家を推進しました。後者は、小さな政府が信条ですから、同じ保守主義といっても、ある意味で対極にあります。しかし、1970年代の石油危機や財政破綻の結果、欧州諸国や日本の保守政党にも、アメリカ的な保守主義、いわゆる新保守主義、自由保守主義といった思想が出てくることになりました。イギリスのサッチャー首相、ドイツのコール首相、フランスのシラク首相、日本の中曽根首相などが、新保守主義の潮流の中で登場しました。
これらの国で、アメリカ的な保守主義が登場したのは、なぜでしょうか。それは、保守政党が社会主義的な福祉国家に対するアンチ・テーゼとして、小さな政府を主張する古典的自由主義思想を取り込んだため、と言えましょう。
ここからは私の見解ですが、それでも彼らが「保守政党」なのは、国家の役割を国防、治安といった伝統的なものに重点化したり、さまざまな自由化政策の一方で「秩序ある自由」を担保するため伝統的な価値観という一定の枠をはめたりすることを主張しているから、と考えます。そもそもの自由主義思想は、「教養と財産のある市民」による「秩序ある自由」を想定していましたから、保守主義と古典的自由主義は結合し得るものなのだ、と考えます。
二大政党制であれ、多党制であれ、保守政党は何だかんだいっても、その国の政党制において、一つの極であり続けるでしょう。そうであるなら、保守政党は、国家、伝統に軸を置き、その発展のため、時代の要請に合致した政策を考え続ける必要があるのではないでしょうか。その点で、保守政党たる自民党が思考停止に陥っているように見えるのは、残念なことです。
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