したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

国際関係・安全保障論

4690とはずがたり:2017/09/12(火) 18:50:34
>>4687-4690
 この第一次北朝鮮核危機の教訓は、以下の通りだ。

----------
・米朝のチキンレースは、それを最終的に回避する主導権を北朝鮮側が持つため、レースにアメリカを乗せさえすれば、自分たちに有利だと北朝鮮は考えている。
・北朝鮮は、アメリカの強硬策に対しては、必ずさらなる強硬策で応じる。
・北朝鮮に対する軍事的圧力の強化は、失うものの少ない北朝鮮にとって、決定的な作用は及ぼさない。
・危機が回避されたのは、金日成主席が強硬派の金正日書記を押さえつけたためだった(だが米朝会談の翌月、金日成主席は妙香山の別荘で怪死を遂げ、金正日書記が復権した)。
・北朝鮮は核開発を一時的に凍結はしても、廃棄は絶対にしない。
----------

トランプ大統領はどう動くのか
 さて、これらプエブロ号事件と第一次核危機を参考にしながら、今後の米朝の展開を見ていきたい。

 まず、この二つの危機の時と現在とで、決定的に異なるのは、北朝鮮の軍事能力である。

 国民の生活を犠牲にして核ミサイル開発に邁進した結果、北朝鮮は水爆級の核兵器と、アメリカ本土まで届くICBM(大陸間弾道ミサイル)を手にした。

 そのため、いくらアメリカが軍事的圧力を強めたところで、北朝鮮は以前にも増してアメリカを恐れることはない。その裏には、「自分たちはこれだけの兵器を保有しているのだから、アメリカは絶対に襲ってこない」という確信がある。この確信があるからこそ、どんどん強気に出る。

 逆にアメリカは、トランプ大統領の発言こそ相変わらず過激だが、「北朝鮮を敵だとも脅威だとも思っていない」(ティラーソン国務長官)という発言も出ている。政権の外では、「北朝鮮を核保有国として容認すべきだ」(ライス前安保担当大統領補佐官)といった意見も飛び出すようになった。

 一方、北朝鮮側は、無鉄砲な若い金正恩委員長の独壇場で、1994年の時の金日成主席のような「収め役」がいない。また、アメリカ軍の恐怖を肌で知っている朝鮮戦争世代も、軍内でほぼいなくなった。

 反面、北朝鮮にとって不利なのは、1994年にはなかった強力な経済制裁である。この強力な制裁は、北朝鮮に短期的な決断を迫ることになる。アメリカと何年もかけて悠長に交渉することはできない、ということだ。

 今後の展開としては、まずはアメリカが外交交渉に応じるかどうかである。応じない場合、北朝鮮は年内にもう一発、ICBMの発射実験を強行するだろう。それは、ハワイと米西海岸の間を狙った、かなり際どいものになると思われる。

 アメリカが正式な外交交渉に応じた場合は、ティラーソン国務長官と李洙?(リ・スヨン)外交委員長の会談が、ニューヨークかスイスのジュネーブで行われるのではないか。この交渉は相当タフなものとなることが予想され、ことによるとティラーソン国務長官が途中で辞任してしまうかもしれない。

 一つだけ読めないのが、トランプ大統領の動向である。

 プエブロ号事件の時のジョンソン大統領、第一次核危機の時のクリントン大統領は、国際政治の常識に則った理知的な判断のもとに行動した。だが、トランプ大統領の行動は、まるで予測がつかない。ある日本政府の防衛専門家は、先週、私に不気味なことを告げた。

 「トランプ大統領は一部の親トランプの強硬派に乗せられて、かつての日本軍の真珠湾攻撃のような先制攻撃を、北朝鮮が行うよう誘導する可能性がある。そうすればトランプ政権は、正々堂々と北朝鮮と戦争ができる」

 今回は触れなかったが、中国とロシアも、今後の重要なプレイヤーになってくる。その意味では、北朝鮮問題について考察することは、21世紀の新たな世界の秩序について考察することに他ならない。

 今週のコラムの最後にも書きましたが、いまホットな北朝鮮危機では、米・中・ロという3大国のエゴが剥き出しになって現れています。3大国は何を考え、どう動こうとしているのか。ご高覧ください! 

近藤 大介


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板