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国際関係・安全保障論

1■とはずがたり:2003/01/22(水) 12:15
経済畑出身の私の鬼門,外交・安全保障を考える。
適宜,憲法談義・世界経済等もこちらで。

4602とはずがたり:2017/08/19(土) 22:12:34

本当の北朝鮮リスクは米国が本気を出すこと
米国がトランプ大統領でまだ良かったかも?
http://toyokeizai.net/articles/-/185136
かんべえ(吉崎 達彦) :双日総合研究所チーフエコノミスト 2017年08月19日

8月14日に内閣府が発表した4-6月期GDP1次速報は、年率4.0%成長という堂々たる結果であった。これで日本経済は6四半期連続のプラス成長となり、中身的にも個人消費良し、設備投資良し、輸出だけがイマイチの「内需主導型成長」であった。

軍事的脅威にさらされる日本の円が「買い」なワケ

足元の名目GDPは545兆3522億円となった。「日本のGDPは約500兆円」と覚えている人が少なくないと思うが、すでに550兆円近くになっている点にご注意願いたい。

こんな実体経済の良いニュースにもかかわらず、マーケットの方は冴えない状態が続いている。日経平均株価は2万円割れ、為替も1ドル=110円割れの円高方向だ。その理由の一つが地政学リスク。ご案内の通り、米朝間で緊張が高まっているからだ。

米国のドナルド・トランプ大統領は、「北朝鮮は見たことがないような炎と憤激(Fire and Fury)に直面するだろう」とか、「軍事的解決に向けて準備は万端(Locked and Loaded)なり」などとキレッキレの恫喝を繰り返す。北朝鮮側は、「それならばグアム島周辺に弾道ミサイル4発を撃ち込む」とやり返す。あまりにも粗野かつ野蛮な言葉の応酬だが、少なくとも冗談には聞こえない。かくして「有事の円買い」が起きているわけだ。

ところでこの理屈、多くの日本人にとっては異和感ありまくりであろう。北朝鮮がグアム島に向けてミサイルを発射すると、それは島根県、広島県、愛媛県、高知県の上空を飛ぶことになる。

そこで慌ててPAC3を当該4県に配備して、途中でミサイルが落ちてきたときの準備をしている。もちろん外れたときはゴメンナサイだが、政府としては「皆様の税金はこのように使われております!」というところを見せねばならない。普通だったら、こんな風に軍事的脅威にさらされている国の通貨は「売り」であろう。

ところが為替の世界では、有事になると円が買われる。なぜなら、「日本は巨額の対外資産を有している。国内で何か重大事件があれば、それを売ってくるだろう。すなわち外貨売り、円買いになる」という連想が働くからだ。2016年末時点のわが国の純資産合計は349兆円 。世界最大の債権国である。海外の投資家たちは「日本はそのカネ、どうするつもりなの?」と冷ややかに見ているということだ。

思えばあの東日本大震災の時も、国土が津波と原子力災害に見舞われたというのに、為替は1ドル=80円前後の超円高局面だった。貿易収支も赤字に転じて、まさに「泣きっ面に蜂」であった。この国が有事に強いとはとても思えないのだが、「国難のときには漏れなく円高もついてくる」というのが悩ましいところである。

それではわれわれは、北朝鮮がもたらすリスクをどのように受け止めるべきなのか。真面目な話、ミサイルが日本国内に命中したら大変だけれども、よほど変な所に落ちない限り大事には至らないだろう。核兵器が搭載されていたら一大事だが、北朝鮮にはミサイルに乗せて運んで、確実に起爆させるまでの技術はまだないものと見られている。

怖いのは北朝鮮の本気ではなく、むしろ米国の本気

むしろ怖いのは、「北朝鮮の本気よりも米国の本気」である。すなわち本当の北朝鮮リスクとは、「米国がサージカルアタック(外科手術的攻撃)をやるかもしれない」ということなのではないか。北朝鮮国内の核施設やミサイル基地を、ピンポイントで攻撃して壊滅させる、というミッションは、普通に考えれば極めて困難なはずである。なにしろ相当な数があるし、地下に造られた拠点も少なくないと聞く。

それに米軍が奇襲攻撃に踏み切った瞬間に、北朝鮮軍が通常兵器でソウルに向けて反撃を開始するかもしれない。いや、日本海に向けてノドンを撃ちまくる怖れだってある。とはいうものの、太平洋司令部や在韓米軍がサージカルアタックを検討していないはずがない。たぶん入念な戦争計画が立案済みであると考えるべきだろう。

4603とはずがたり:2017/08/19(土) 22:12:53
>>4602-4603
軍人さんたちのリアリズムから言えば、「これから未来永劫、米国は北朝鮮の核という脅威と共存しなければならない」という事態は、何としても避けたいと考える。そこで軍事オプションを検討する。例えば、地下の軍事施設はバンカーバスターで破壊する、といった具合に。それに対して国内の反響はどうか、中国やロシアはどう出るか、日本や韓国などの同盟国はついてきてくれるか、などの判断は政治家の仕事となる。つまりはトランプ大統領が決めるということだ。さあ、急に怖くなってきた。

政治的リアリズムから言えば、このタイミングで軍事オプションを行使することは考えにくい。今のように「トランプか、反トランプか」で国論が分裂している状態で、対北朝鮮攻撃などという冒険に打って出ることができるのか。韓国在留米国人の安全も気になるところで、その数は10万人以上と言われている。「サージカルアタックだなんて、そりゃあ無理だ」と考える方が自然であろう。

それでも8月21日から31日までの予定で、米韓合同軍事演習が行われる予定である。空母2隻、原潜、イージス艦、ステルス戦闘機などが投入され、2万8500人が参加するという。この演習が、どこかの時点で実戦に転じるのではないか。秘かに「斬首作戦」を狙っているのではないか……と一番恐れているのは、金正恩委員長その人であろう。

山梨県の別荘で静養中の安倍晋三首相も、予定より早く18日(金)で切り上げたそうだ。7月31日に日米首脳の電話会談が行われた際に、「おたく、夏休みはどうするの?」という会話がなかったとは思えない。ひょっとすると今週末以降、何か動きがあるかもしれませぬぞ。いや、確率的にはきわめて低いと思うんですけどね。

トランプ大統領でまだ良かったかも?!

それでは思考実験として、米国の大統領がトランプさんのような出方の読めない人ではなくて、もっと「まっとうな」人であった場合はどうなっていただろう。

トランプさんは大統領に就任してから、北朝鮮の危険性を学習したようである。その後、半年かけての試行錯誤は、軍事的圧力、経済制裁の検討、中国への関与など、歴代の米政権がやってきたことの繰り返しであった。結論は「迂闊に手は出せない」であり、その思考経路は間違ってはいない。ただしこの間、北朝鮮のミサイル技術は長足の進歩を遂げてしまった。今では北朝鮮のICBMが、「デンバーからシカゴまでに届きかねない」水準に達したという現実は重い。

自国の安全だけを考えるのであれば、米国が米朝2国間交渉に乗り出すことはほとんど論理的な帰結と言える。その上で北朝鮮の核保有を認め、相互不可侵を確認し、代わりに長距離ミサイルの開発を止めさせるという手がある。この場合、日本と韓国はまったく蚊帳の外に置かれるし、引き続き北朝鮮の短距離ミサイルや核兵器の脅威にさらされることになる。日本としては泣いてもすがっても止めたいところだが、「米国ファースト」で考えればその方が合理的な判断となる。

さるウォッチャー曰く。「金正恩委員長は読めない相手だが、これが先代の金正日総書記であれば、とっくの昔に訪米して米朝合意にこぎつけていたかもしれない…」。それはそれで、日本にとっては悪夢のシナリオと言える。

奇襲攻撃は怖いが、米朝交渉も嫌だ。このように考えると、米国の大統領が「まだしもトランプさんで良かった!」という気もしてくる。われながら、倒錯しているだろうか?


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