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国際関係・安全保障論

4572とはずがたり:2017/07/19(水) 20:54:24
>>4571-4572
脅しがもたらした核開発
ロシア政府が北朝鮮問題でアメリカと一線を画すのには、他にも理由がある。ロシアは中国と同じく、朝鮮半島が統一されて北朝鮮の政権がアメリカの同盟国に取って代わられる事態をまったく望んでいない。ロシア政府は中国に同調し、米軍による韓国への最新鋭迎撃ミサイル「THAAD(終末高高度防衛ミサイル)」配備に強く反発している。アメリカが東アジア地域に重点を置く限り、ロシアが今も最優先に掲げるソ連崩壊後の地域をめぐる争いにアメリカの目は行き届きにくい。そのうえ、金が譲歩しないことでアメリカが怒りの矛先を向けるのは中国だから、ロシアがアメリカに同調しないでいることは簡単だ。

実際ロシアの見方では、朝鮮半島を緊張させた責任は、北朝鮮だけでなく同じくらいアメリカにある。そうした見方からすると、そもそも金一族がミサイルや核を開発するのは自己防衛のためだという。「北朝鮮は通常、自分から仕掛けるよりやられたらやり返すタイプだ」と、ロシアの外交政策分析の第一人者で政治学者のフョードル・ルキヤノフは述べた。

「北朝鮮は、強がるのは賢明でないことをイラクのサダム・フセイン元大統領やリビアのムアマル・カダフィ元大佐の末路から学んだ上で、ミサイルや核を開発してる。ミサイルや核の存在が、他国による介入の代償を許容できないほど押し上げている」。ロシアのアナリストの多くは、アメリカが北朝鮮を体制転換させると言って脅しさえしなければ、そもそも北は核兵器開発の必要性を感じなかっただろうと主張する。

北朝鮮は韓国の首都ソウルを射程に収める大量の通常兵器はもちろん、核兵器も保有するため、トランプが米軍による軍事攻撃をちらつかせる行為は北朝鮮による脅威と同じくらい危険だと、ロシアは考えている。ロシアの見方では、制裁は核実験やさらなる開発の凍結に一定の役割を果たすかもしれないが、北朝鮮が核開発を続ける背景にある論理は変えそうにない。すでに北朝鮮は深刻な食糧不足や経済が壊滅した状況でも存続可能だと証明した。ロシアのアナリストはアメリカ側に問いかける。なぜ経済制裁を強化すれば、北朝鮮にとってアメリカに対する唯一鉄壁の防衛力である核兵器の開発を手放すよう北を説得できると思うのかと。

その問いかけは、アメリカが行動するうえで重荷になる。アメリカは朝鮮戦争で平和条約を締結しておらず、軍事的に北朝鮮を脅し続けているとロシアは指摘する。先日の北朝鮮によるミサイル発射実験後、プーチンは北朝鮮への批判を避け、北朝鮮とアメリカがともに方針を転換するよう呼び掛けた中国の立場を支持した。

ロシアはアメリカを責め続ける
アメリカは北朝鮮に対して核開発をやめるよう圧力をかける意思も能力もない中国に苛立ち、新たな選択肢を模索している。アメリカとしては、このまま北朝鮮に米本土を射程に収めるミサイルの開発や実験を続けさせる事態は避けたい。トランプが今年1月、北朝鮮が核弾頭を搭載したICBMで米本土を攻撃する能力を持つ可能性はないと約束した手前もある。米軍が北朝鮮の核関連施設を攻撃すれば、韓国や日本を巻き込む大規模な戦争に発展する危険性がある。

もしアメリカが北朝鮮の核開発を容認し体制存続に保障を与えるなど、北朝鮮政策を穏健なものにしていたら、ロシアも他国と足並みを揃え、北朝鮮に核・ミサイルの開発や実験をやめさせるよう圧力をかけたかもしれない。だがアメリカが北朝鮮への軍事攻撃や体制転覆を選択肢として残している限り、ロシアは金正恩だけでなくトランプにも責任を負わせ続けるだろう。

(翻訳:河原里香)
From Foreign Policy Magazine


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