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国際関係・安全保障論

4488とはずがたり:2017/05/19(金) 15:44:54
>>4487-4488
 もちろん、中国が議長国として、6カ国協議を故意に遅延させたり、北朝鮮寄りの議事進行を図ったりしたという具体的な証拠はないが、経済制裁を無視したり、影響力行使を渋ったりしてきたことを考えれば公平な議事など求めるのが無理というものだ。

 そもそも、北朝鮮の〝兄貴分〟その核開発を断念させる交渉の議長国をつとめること自体、ちゃんちゃらおかしいというべきだろう。

 6カ国協議の起源が2002年の北朝鮮の核開発再開にあることはすでに触れた。米国は2国間対話で解決したい意向を持っていたが、当時、イラク攻撃を間近に控え(翌年3月に攻撃開始)、自ら解決する余力はなかった。〝数〟をたのんで、北朝鮮に圧力をかける目論見にくわえ、議長が中国なら北朝鮮も言うことを聞くという計算もあった。

 しかし、米国の思惑に反して、北朝鮮は核開発を継続、核、ミサイル実験を強行し、逆に米国はテロ支援国家指定解除など大きな譲歩も与える結果になってしまったのは皮肉なことだった。米国自身からは反省の声は伝わってこないが、6カ国協議こそ、「米外交の戦後最大の敗北」ともいっていい失策だ。

 中国は、今回の危機にあたっても、自ら主導権を発揮したいとの思惑から6カ国協議の復活をめざしているとしたら、無駄であり、むしろ百害あって一利なしというべきだろう。

6カ国協議に代わるアイデアは何か

 枠組み合意のひそみにならった米朝2国間の直接交渉こそふさわしい形式だろう。北朝鮮は、米国との直接対話を望んでいるから、応じてくるのは確実だ。

 以下は筆者の私見である。

 直接対話でまず、核問題だけをテーマに絞る。核を生き残りの手段と信じている北朝鮮が核開発を断念することはありえない。米国は、とりあえず、これ以上の核実験や核兵器の製造を停止、凍結するよう求める。

 それなりの見返りは必要だろうが、核を搭載したICBM(大陸間弾道弾)が米本土に飛来する悪夢が現実になることに比べれば、払う価値のある代償だ。

 いずれかの条件で折り合いがつけば、そこで初めて、日本、韓国、中国、ロシアが参加する。いわば「拡大協議」だ。現行の6カ国協議の方式を援用して、各国共同の見返り供与を話し合う「経済協力部会」、国交正常化の順序、段取りを話し合う「国交正常化部会」、拉致被害者の帰還を強く求める「拉致部会」などを設けて、ここで「多国間による圧力」をかける。北朝鮮が求める「体制の保証」を、各国連名で与えてやると北朝鮮は安心するだろう。

 高官による協議を行うにしても、とりあえずはニューヨークにある北朝鮮代表部と国務省朝鮮部のホットライン、ニューヨーク・チャンネルを活用することが効果的だ。このチャンネルは94年の枠組み合意の際によく機能した。

 気になるのは、韓国の文在寅新政権の登場だ。新大統領が、公約として掲げてきた南北首脳会談は今回の新型ミサイル実験で遠のいたといわれるが、今後もそれに固執し、重要な役を演じようとすれば、状況は混乱する。そうした事態も防がなければならない。韓国新政権も自覚すべきだ。
 
 北朝鮮の核問題はやはり、唯一の超大国、米国が、今回の空母派遣のような〝こわもて〟、時には見返りというアメを与えてこそ、はじめて実現しうる。

 6カ国協議が始まった2003年、筆者はワシントン支局で、当初から取材した。当時のブッシュ政権は、枠組み合意破棄について、前任のクリントン政権を批判した。

 しかし、6カ国協議は、最初こそ順調に見えたが、それが失敗であったことはすでに指摘したとおりだ。米朝直接対話による枠組み合意は少なくとも1994年から8年間、とにもかくにも北朝鮮の核開発を凍結させることはできた。

 このことに思いを致すべきだろう。


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