したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

国際関係・安全保障論

4377とはずがたり:2017/04/15(土) 20:31:07

 北朝鮮の主な外貨収入源とされる石炭貿易では、闇のルートを使って行う取引量が公式の輸出入統計に表れる規模より大きい。中国の山東半島周辺、あるいは沿岸都市にある中国企業と北朝鮮の業者との間で行われる石炭の密貿易は、公式の統計数値には反映されないからだ。正確な規模については推測するしかないが、正規の貿易規模に匹敵する年間1000万トン規模と見られる。

 また、北朝鮮の戦略物資と言われる原油にも抜け道がある。ロシアのウラジオストクで原油を精製した後に出る「M100」と呼ばれる重油は、北朝鮮北東部の羅先ラソン港に搬入されているとされるが、その規模は首領経済を支えるには十分と見られている。M100からガソリン、航空機のジェット燃料などを抽出できる技術はすでに確立済みだ。

 北朝鮮貿易代表部の人間は、「我々は制裁に慣れている」と制裁を嘲笑している。彼らは海外で稼いだドルや人民元を本国に運ぶ必要はない。監視の目が届きにくい中国にプールして必要に応じて引き出し、物資を調達している。

 国際社会の北朝鮮に対する制裁が利かないのは、首領経済に的を絞らず、中途半端な制裁を実施したからだ。北朝鮮当局の首領経済は、一般住民らの経済活動に紛れ込ませる形で行われることが多いため、首領経済だけにターゲットを絞って制裁の網をかけるのは至難の業である。海上封鎖や中朝国境の封鎖といった思い切った手を打たない限り、首領経済の息を止めるのは難しい。

制裁で苦しむのは体制を支える人々

 それでも、北朝鮮の体制維持のために作られた巨大な統治機構を維持するには、資金はまったく不足しているようだ。120万人とも言われる軍人や在外公館員を維持するだけでも莫大ばくだいな予算が必要だ。

 朝鮮人民軍の部隊は自給自足を強いられている。武器などの軍事物資以外で生活に必要な物は自力で調達しなければならない。北朝鮮兵士の約3割が栄養失調状態にあるとの証言もある。

 在外公館も涙ぐましい努力をしている。駐モスクワ北朝鮮大使館の例で見られるように、建物を賃貸しすることすらあるようだ。

 近年、平壌の主要レストランや闇市場に出回る唐辛子や調味料といった食材や調理道具、生活必需品は、中国にある北朝鮮公館や貿易機関などに駐在する外交官や駐在員らが、手荷物として平壌に持ち込んでいるという。贅沢ぜいたく品も同じだ。

 北京の中国人ビジネスマンの証言では、北京に駐在する北朝鮮籍の記者やその他の駐在員も、朝早く起きて北京の朝市で必要な食材などを調達し、中朝を結ぶ国際列車を利用して本国に送るという。

 つまり、ここ数年の間、金正恩指導部をターゲットにした制裁は、皮肉なことに金正恩委員長ではなく、体制を支える人々に対して効果を発揮しているのである。

 昨年、韓国に亡命した駐英国北朝鮮大使館の太永浩テヨンホ公使によると「北朝鮮幹部たちは皆絶望感を覚えている」という。高級幹部、特に在外公館員らは希望を見いだすこともできず、苦しんでいると証言している。

 「普段は強気な北朝鮮の駐在員たちも、最近は苦しい事情を隠そうとしない」と北朝鮮駐在員らと交流のある中国ビジネスマンは証言する。

 にもかかわらず、金正恩委員長は、なぜ苦しい経済事情を省みず、一発数百万ドルもするミサイルの発射実験を続けるのか。近年8回も発射実験を行った中距離弾道ミサイル「ムスダン」は国際的な相場で一回あたり3000万ドル(約33億円)もかかるという。加えて、経済破綻を導きかねないほどお金がかかる核実験を続けるのはなぜか。一言で言えば、金正恩体制維持のためである。 

「エリート集団」に支えられた金正恩体制

 北朝鮮という国家体制の特徴を一言で表現するならば「首領一人のための国家」だ。北朝鮮の統治機構もそうだが、住民一人一人も首領のために存在するというのは国是であり、北朝鮮を建国した金日成主席の時代からの伝統でもある。

 金日成時代までは、「首領経済」の恩恵を受けるのは体制を支える約300万人に上る労働党員だった。北朝鮮では労働党の末端組織を「党細胞組織」という。3人以上30人以下の党員を擁する政府機関や各企業所(工場や企業)、農村には必ず、「党細胞」が存在する。このような細胞組織と首領をつなぐ神経系統に相当するのが各級党組織および統治機構である。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板