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国際関係・安全保障論

4354とはずがたり:2017/04/11(火) 14:54:36

しかも、政府、議会、司法制度が機能不全に陥っているというだけでなく、国民同士が殺し合い、多数が難民・国内避難民になり、全国民の半数近くが直接的な生命の危機にさらされているという、最悪の状況にある。

第2次内戦が終結した2005年の時点で、南部スーダンは、内戦で疲弊した状態から立ち上がり、国家建設を進めるうえで有利な立場にあった。

包括和平合意(CPA)に基づいて、南部スーダン政府が樹立され、解放戦争を戦ったスーダン解放運動(SPLM)が実権を握り、スーダン人民解放軍(SPLA)はそのまま政府軍となった。国連と国際社会による大規模な支援が約束されていた。

さらに、南部スーダン政府には、自前の財源があった。スーダン全体の石油収入の半分が、南部スーダン政府の歳入となったからである。これは、年間1千数百億円から二千億円に達した。

独立した南スーダンの政府は、6年間続いた南部スーダン政府のシステムをほぼそのまま引き継いだ。したがって、独立後の政府を考察するには、CPAの移行期から考えなければならない。

なぜ、国家建設と国民建設は失敗したのか。

南部スーダン政府は何を失敗したのか

CPA移行期に、南部スーダン政府の要職に就いたのは、SPLAの元ゲリラたちであった。行政能力のない人たちがトップを占めたことが、失敗の第一の要因である。

しかし、これは解放戦争をへて、ゲリラが政権を奪取した国では、どこでもある問題である。より重要なのは、「金(かね)」の問題だ。

2005年から、当初はSPLMの事務所、南部スーダン政府が樹立されてからは、財務省や大統領府には、段ボール箱に入った数億円から数十億円単位の現金があふれていた。銀行制度が確立していなかったので、スーダン政府から送金される石油収入は、米ドルの現金でハルツームから運ばれたのであった。

会計制度のみならず、政府のシステムが確立していない状況で、省庁の責任者が大金を手にするとなにがおこるのは、ほとんど自明である。

さらに、SPLM/SPLAの主要メンバーたちのあいだには、20年以上にわたって解放戦争を戦った自分たちは、もともと南部スーダンのものである石油の収入が「自分たちのもの」であり、分け前にあずかるのは当然という意識があった。

政府予算の不正使用の実態があきらかになったのは、独立後だ。会計検査院が、2011年に国会に提出した詳細な報告書は、事情に通じているはずの国会議員たちにも衝撃を与えた。

南部スーダン政府の最初の年度予算のうち、使途不明金は10億ドルに達した。単位は円ではなく、米ドルである。車両の購入のために支出された1億2000万ドルについては、購入された証拠がなかった。15の政府機関で、公務員給与の総額8割にあたる4億4000万ドルは、だれに支払われたか不明であった。

会計検査院は、続編の報告書を翌年に提出した。独立までの6年間、状況は改善されなかったので、移行期の使途不明金の総額は、日本円では数千億円になる。

会計検査院が不正経理の実態を調査し公表したことは、政府がちゃんと機能していることの、数少ない証拠である。

検査院長は、移行期にスーダン国民統一政府の日本大使を務めたスティーヴン・ウォンドゥである。SPLM/SPLAが信頼を失っていくなかで、彼の良心的で勇気のある活動は特筆に値する。


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