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国際関係・安全保障論

4196とはずがたり:2016/12/12(月) 10:40:08
>>4193-4196

 だが第一に、自国及び世界に武力展開しているアメリカ軍に対して、中国軍は中国近海に結集している。第二に、中国近海の防衛は中国にとって核心的利益(国家の最優先事項)だが、アメリカにとってそうではない。第三に、年間5000億ドル超の米中貿易を始め、アメリカ経済の少なからぬ部分を中国経済が支えている。

 これらの理由で、アメリカは中国と一戦を交える気はないと、習近平政権は判断している。だから多少、横暴な振る舞いをしても、痛い目には遭わないというわけだ。加えて、昨今の中東やヨーロッパの混乱も、アメリカが「アジアのことは中国に任せる」と言いやすい追い風と見ている。

 来年は5年に一度の中国共産党大会の年、すなわち中国が最も対外的に強硬に出る年である。前回2012年は、フィリピンからの黄岩島奪取と、日本の尖閣国有化への抗議で、騒然となった一年だった。

 またこのところの中国経済の悪化も、対外的に強硬になる要因となる。中国経済は、昨年は「V字型」(急回復)と言われたのが、今年前半は「L字型」(悪化しっぱなし)に変わり、いまや「h字型」(ドン底に落ちる)と言われている。

日本はどうすべきか
 このように、牙をむいた「巨竜」に対して、日本はどう対処すべきなのか。

 まず第一に、中国人民解放軍がいつでも尖閣諸島を奪取する段階に入ったと受けとめ、相応の覚悟と準備をすることである。今夏、明らかに「段階は一段上がった」のである。

 第二に、習近平政権に対する研究を強化することである。

 同じ富士山に登山するのでも、静岡県側から登るのと、山梨県側から登るのとでは、風景が違う。同様に、島国の日本から尖閣諸島問題を考えるのと、中国大陸から「釣魚島」(尖閣諸島)問題を考えるのでは、まるで風景が異なるのである。

 これは、領土問題で中国側に立てということでは、まったくない。「中南海の視点」で尖閣問題を見ていく習性を身につけないと、8月上旬の「漁船襲来」の時のように、日本人に理解不能の事態が、今後とも起こってしまうのである。

 そのためにも、私は中国への「関与」が必要と考える。それは例えば、プーチン大統領に対するメルケル首相のような態度である。メルケル首相は流暢なロシア語を操り(プーチン大統領も流暢なドイツ語を話す)、ロシアと対立しながらも、プーチン大統領と太いパイプを築いている。昨年5月にプーチン大統領が主催した対独戦争勝利70周年軍事パレードへの出席は、言下に断りつつも、パレードの翌日に訪ロし、首脳会談を行っている。

 こうした独ロ関係に較べて、日中関係には、首脳同士のパイプも信頼関係もない。ただ互いに嫌悪し合っているだけに映る。日本について言えば、過去の先達に比べて中国研究が劣化していることが、日本の国益の損失を招いているように思えてならないのである。
 (文 近藤 大介・講談社『週刊現代』特別編集委員 / WEBRONZA)

◇近藤大介(こんどう・だいすけ) 講談社『週刊現代』特別編集委員
 1965年生まれ。東京大学教育学部卒業後、講談社に入社。95年から96年まで北京大学留学。2009年から12年まで講談社(北京)文化有限公司副社長。11年以降、中国最大の経済紙「経済観察報」と、中国最大のニュース週刊誌「看天下」にそれぞれ連載コラムを持つ。著書に『「中国模式」の衝撃 チャイニーズ・スタンダードを読み解く』(平凡社新書)、『対中戦略無益な戦争を回避するために』(講談社)、新著に『パックス・チャイナ 中華帝国の野望』(講談社現代新書)。


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