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国際関係・安全保障論

4194とはずがたり:2016/12/12(月) 10:39:29

人民解放軍改革を断行した習近平主席
 2016年2月1日、春節(旧正月)の直前に、習近平主席は、過去半世紀で最大規模の人民解放軍改革を断行した。この改革を経て、「軍命」を発するのは、習近平主席ただ一人となった。「200万人民解放軍を自分の軍に変える」――長年抱いてきた夢を、ついにかなえたのだった。

 1979年に習近平が26歳で清華大学を卒業した時、父・習仲勲元副首相は息子に訓示を垂れた。
 「人民解放軍こそが党と国家の支えであり、生涯を軍とともに歩め!」

 そして息子を、国防部長(国防相)の秘書につけた。以後、習近平は、軍最高司令官である中央軍事委員会主席を兼職するようになった現在まで、一貫して軍職を兼務してきた。現役の中国の政治家で、ここまで軍職にこだわってきたのは、習近平ただ一人だ。

 この2月の軍改革を断行するまで、人民解放軍には、習近平主席に面従腹背の江沢民グループが存在したが、軍改革によって、ほぼ一掃した。かつ「最後の残党」とも言えた田修思上将を7月5日に失脚させたことで、習近平主席の軍掌握に拍車がかかった。いまや人民解放軍は「習近平の軍隊となった」と見るべきである。

内なる戦いと外なる戦い
 こうして「自己の軍隊」を造り上げたことで、習近平主席は、内外に攻勢に出ることが可能になった。

 まず内なる戦いは、2017年秋の第19回中国共産党大会までに、自己の専制体制を確立することだ。習近平主席は4月24日から27日まで安徽省を視察し、かつての毛沢東主席を髣髴させる自己の偶像崇拝化運動を始めた。

 今年秋に「6中全会」(中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議)を開いて、党内の引き締めを図る。そして来年の党大会に向けて、一気に全権掌握を図っていく。そのために人民解放軍は、最大のバックボーンになるというわけだ。

 もう一つの外なる戦いとは、アメリカとの「第一列島線」を巡る角逐である。「第一列島線」とは、カムチャツカ半島、日本列島、朝鮮半島、台湾、フィリピン、大スンダ列島と続く南北ラインのことだ。

 19世紀にアヘン戦争と日清戦争でこのラインを列強に破られたことから、中国は「屈辱の百年」を強いられた。そして20世紀後半から現在までは、このラインをアメリカが支配している。

 だからいまこそ、アメリカ軍を「第一列島線」から押し出す。それによって、アジアに「パックス・チャイナ」(中華帝国のもとでの平和)を築くというのが、習近平主席の意志なのである。

「アジアのルールはオレが決める」
 2016年夏現在、「第一列島線」を巡る米中の戦線は、3カ所に拡大している。南シナ海、東シナ海、そして朝鮮半島だ。

 まず南シナ海に関しては、カーター国防長官率いるペンタゴン(米国防総省)が、中国に対する危機感を強めている。黄岩島を中国に軍事要塞化されたら万事休すなので、空母「ジョン・C・ステニス」をフィリピン近海に釘付けにするなどして、対抗心を露(あら)わにしている。

 また7月12日、常設仲裁裁判所が、フィリピンにとって(同時に日米にとって)「満額回答」とも言える判決を下した。これは習近平政権から見たら受け入れがたい判決で、中国国内では日米による陰謀説が飛び交った。

 重ねて言うが、習近平主席が目指しているのは、「パックス・チャイナ」である。それは、中国という宗主国と周辺の属国(朝貢国)からなる古代の冊封体制に、アジアの姿を戻すことである。列強に攻め入られた1840年のアヘン戦争の前の姿に戻すことである。つまりは、1840年後に作られた国際ルールの否定である。


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