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国際関係・安全保障論

3956とはずがたり:2016/07/13(水) 13:08:58
>>3955-3956
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の問題もそうだ。6月5日投開票の沖縄県議選で、辺野古移設反対派で翁長雄志県知事を支持する候補者が48議席中27議席を占めた。中立の公明党4人を含めると、辺野古反対は31議席と圧倒的多数になった。しかし、この民意を日本政府は無視しつづける。

 辺野古埋め立てをめぐり、政府は昨年11月、翁長知事を提訴した。訴状の中で政府は、外交、防衛にかかわる事柄について沖縄県ごときの出る幕はない、と言わんばかりに高圧的だ。司法が判断できない高度な政治問題だ、と裁判所さえ牽制している。

 沖縄県は裁判で海兵隊の機能、運用など実態論を展開した。海兵隊を運ぶ海軍艦船が長崎県佐世保市に配備されているのだから、沖縄の海兵隊基地は船が隊員と物資を詰め込む「船着き場」でしかない。それは九州のどこでも代替可能である、と指摘した。

●一年の半分は沖縄不在

 これに対し日本政府は、船に乗らない任務もある、と言い張った。いやはや、支離滅裂だ。海兵隊は1775年、海軍の一部として発足。今も実際に、米海軍の艦艇で世界の海を駆け巡り、沖縄の海兵隊も一年の半分以上は沖縄以外で訓練を行っている。

 しかも、米軍再編によって在沖海兵隊は戦闘兵力の主軸である第4海兵連隊(歩兵)を米グアムへ撤退させる。沖縄残留兵力では小規模紛争でさえも対応できなくなる。再編後の海兵隊はもはや戦う兵力とはいえなくなる。

 日本の政治家はだれもが、「沖縄の負担軽減」と口をそろえる。しかし、基地を引き受ける気はない。しかも、その結果として再編が進まない責任は沖縄に押し付け、果実だけを得ようとする姿勢は、破廉恥としか言いようがない。そんな安全保障政策の軽薄さは言うまでもなく、米国側に見透かされている。…

 オバマ政権は今、アジアで「スマートパワー」を推進する。軍事という「ハードパワー」と、経済・文化・技術などの国際協力という「ソフトパワー」を統合した対外政策だ。海兵隊もアジアの同盟国、友好国との合同演習は従来の戦闘訓練に加えて、人道支援や災害救援をテーマにした訓練を重視するようになった。

●「敵」の中国軍とも

 海兵隊は毎年2月にタイで「コブラゴールド」、4月にフィリピンで「バリカタン」という名称の国際共同訓練を実施している。遠くはラテンアメリカや欧州からも参加があり、オブザーバーを含め20〜30カ国の軍隊が一堂に会する。

 各国軍の兵士は協力して山奥の小学校で校舎など公共施設を修繕、整備する。軍医らは仮設の診療所で地域住民を診療、治療する。こうした無償の人道支援活動を米軍は「テロとの戦い」と呼んでいる。テロリストが拠点とする山奥の寒村に展開し、テロへの抑止効果を期待しているのだ。加えて、共同訓練にはもう一つ大きな意味がある。中国軍の参加だ。

 13年のバリカタンの災害救援訓練に、中国軍はオブザーバー参加。翌年のコブラゴールドには陸上部隊17人を派遣し、人道支援活動などに初参加している。中国軍は「米中両軍の協力がアジアの安全保障に貢献している」と自賛した。しかし、この動きは日本であまり報じられていない。

 日本にとっての安全保障は、米軍と協力して仮想敵の中国を警戒すること、と理解しているなら、時代遅れだ。仮想敵に軍事で対抗するのは「国防」であり、安倍晋三首相が言う「安全保障」は、言葉の使い方として間違っている。憲法改正を巡る論議をしたいなら、まずこの区別を明確にする必要がある。

 日米中のトライアングルは、見る角度によって全く違う風景になる。沖縄の米軍基地がなければ日米安保体制が維持できない、という思考から抜け出せない日本は、アジアの安保環境を読み違えている。

 女性の殺人・強姦致死容疑事件を受け、沖縄県議会は5月26日、全会一致で在沖海兵隊の撤退決議を初めて可決した(自民会派は退席)。米海兵隊の任務や運用の実態を知れば、この決議の正当性がわかるはずだ。

 アジアの安全保障環境は明らかに冷戦後の変化のただ中にある。日本人が、安保への賛否や保守対革新、右か左かといった冷戦時代の思考形式から抜け出さない限り、沖縄の差別的な基地負担は終わらない。(フリーランスライター・屋良朝博)

※AERA 2016年6月27日号


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