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国際関係・安全保障論

3910とはずがたり:2016/06/17(金) 13:39:40
>>3909-3910
予想される中国政府からの“反撃”
 中国政府は、南沙諸島周辺海域をはじめとする南シナ海で、「航行自由原則」に対する制限を主張している。中国領海内を通航しようとする外国軍艦は事前に中国政府の許可を受けなければならない、という無害通航権の制約の主張である。

 中国政府は「我々の主張と似通った制限を、尖閣周辺海域で日本政府は実施している」という解釈を国際社会に喧伝するであろう。

 そして、アメリカに対しては次のように主張するであろう。

「日本政府は東シナ海で、“自国防衛のための『航行自由原則』に対する一定の制限”を実施している。中国政府は、それと似通った制限を南シナ海で実施しているのだ」

「アメリカ政府は、南シナ海での中国による自衛措置に対して『航行自由原則』の維持のためと称してFONOPを旗印に軍艦を派遣し中国を脅迫している。それならば、東シナ海での日本政府による『航行自由原則』に対する制限措置に対して、アメリカ政府はどのように対処するのか?」

 さらには日本の領海内に中国軍の軍艦を侵入させることを正当化する、こんな難癖も言い出しかねない。

「アメリカは領有権紛争が存在することを口実に、南沙諸島周辺海域を中国の海ではなく公海と言い立てて、渚碧礁(スービ礁)や永暑礁(ファイアリークロス礁)の周辺12海里内海域にまで軍艦や航空機を乗り入れている。そして、そのような軍事的挑発行動を“航行自由原則維持のための作戦(FONOP)”と名付け、あたかも国際海洋法を擁護するための行為と正当化している。それならば、中国としても領有権紛争係争中の海域である尖閣諸島周辺12海里に軍艦を乗り入れても、アメリカから文句を言われる筋合いはない──」

日本を全面支援するわけにはいかない米国
 米海軍関係者の間には、尖閣諸島の日本領海や先島諸島をはじめとする南西諸島の接続水域内に、中国が中国版FONOPとして軍艦を送り込んで来る日も遠くないであろうと危惧する者も少なくない。

 つまり、「国連海洋法条約に加盟している中国としては、日本政府による『航行自由原則』を無視するような姿勢に抗議するためにも、アメリカと同様にFONOPを実施することになるであろう」という推測である。

 実際にこのような事態に陥った場合、アメリカ側としては、日本政府の中国軍艦に対する強硬姿勢(もちろん日本政府が腹をくくった場合だが)を表立って全面的に支持するわけにはいかなくなってしまう。言うまでもなく、アメリカは南シナ海での中国の海洋進出を「航行自由原則を踏みにじる所業」といった観点から批判しているからだ。

 河野統幕長(海将)は、「万が一、(中国軍艦が日本の)領海に入った場合はそれ相応の対応をする」と述べている。具体的な対応策は口にしていないが、自衛隊法に基づいて「海上警備行動」の発令を防衛大臣に要請することを意味していると思われる。しかしいくら警察権の行使程度に限定されるとはいえ、海上自衛隊の軍艦が出動して中国軍艦と対峙するからには、軍事衝突が発生する可能性は決して低くはない。

 そのような場合、軍事行動に何よりも正当性事由(たとえでっち上げたものであっても)を重んずるアメリカ政府としては、日米安全保障条約を根拠に日本に援軍を差し向けることは極めて困難となるであろう。

(なお、本稿を完成させた直後、中国海軍情報収集艦が口永良部島沖の日本領海内を航行したとのニュースが伝えられた。本稿で問題になった接続水域内通航と違い、領海内通航であるため「無害通航権」の行使、そして中国版FONOPの開始、といった視点が必要になるものと思われる。この問題に関しては、いまだ情報が乏しいため、次回触れさせていただきたい。)

(北村 淳)


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