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国際関係・安全保障論

3849とはずがたり:2016/05/29(日) 20:44:21
>>3848-3849

■ 列島線突破での障害撤去は、ない

 果たしてこの不利を犯し対日戦を決意し、沖縄に侵攻するだろうか?

 日本では中国脅威論において奇妙な説明がされることがある。「逆さ地図理論」とでも言うべき理屈である。「中国が太平洋にアクセスするには琉球列島線を通過する必要がある。だから障害となる沖縄を狙うのだ」と括られるものだ。

 この理屈には本質的な欠陥がある。本質的な対日米戦となり沖縄侵攻をすれば、それで中国は艦隊戦力を溶かしてしまうというものだ。沖縄が占領できるかどうかは厳しいが、もしそれができたとしても、その時には通すべき中国艦隊はなくなってしまうのである。

 ちなみに、列島線突破云々で米国が参戦しない状況は考える必要はない。それならば中国艦隊に列島線を好きに通してやればよいだけの話であるためだ。そもそも中国には通過の権利がある。それを行使することについては目くじらを立てる必要はない。緊張時でも「中国艦隊が日本の海上輸送を攻撃しないならば、日本は列島線通過を妨害しない」と約束すればよい。

■ 日米同盟と在沖米軍と海兵隊駐留は別

 以上が、中国は沖縄を攻めない理由である。実際に今の日中関係、日米関係ではそれはありえないためだ。

 これは沖縄への米軍駐留で変わるものではない。日本の自衛隊だけでも強力であるし、そもそも日米同盟があれば在沖米軍がいようがいまいが中国は沖縄に手は出せない。

 そして、基地問題を解決する上でのヒントともなる。日米同盟と在沖米軍、海兵隊駐留は三位一体ではないことを示しているためだ。

 つまり、日米同盟の下でも海兵隊だけを撤退させる選択肢もあるということだ。

■ 海兵隊撤退で問題は解決する

 まず現状で海兵隊駐留は日米とも利益はない。まず使いみちもない。東アジア・東南アジア各国の軍事力は一流になりつつある。少数の米海兵隊が上陸侵攻できる国は、まずはフィリピンを除けばない。この点、使いみちはHA/DR (Humanitarian Assistance / Disaster Relief : 人道援助・災害救援)程度である。

 「海兵隊の抑止力」は議論するだけ無駄な話だ。既に述べたように、中国の侵攻は自衛隊の戦力と何より日米同盟により充分抑止されており、不足はない。そこに「海兵隊の抑止力」を足す必要もない。日米同盟という雨漏りしない丈夫な屋根がある。その屋根の下で海兵隊という小さな傘を差す差さないの議論に過ぎない。

 このあたり、残しておく必要がある嘉手納米軍とは違う。日本は対中軍事力のバランスが険しくなっている。その本質が海空戦力での対峙であることからすれば、中国の目鼻の先にある嘉手納に海空戦力を置くことは悪くはない。また米国としても嘉手納は活用したい由である。南シナ海航空作戦行動の拠点や、中国沿岸部での軍事活動を察知する上も役に立つ拠点となるためだ。

 なによりも海兵隊撤退の効果は大きい。それにより基地問題は七割方解消するためだ。最大の問題となる普天間・辺野古問題はその段階で終わる。さらに一番の嫌われものの海兵隊を抜く効果も高い。それにより沖縄県民世論を一気に沈静化し、騒音問題等は残るものの、嘉手納運用も安定化する。これも日米同盟にとっての利益となるものである。

文谷数重(軍事専門誌ライター)


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