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国際関係・安全保障論

3706とはずがたり:2016/03/17(木) 19:12:35
>>3705-3706

 このような経緯の中で決議された制裁を、中国は今度ばかりは何としても守って欲しいと、強くロシアに対して望んでいるという。船舶の着岸拒否に関しても、3月11日付の本コラム「朝韓間の経済交流即時無効を北朝鮮が――中国新華社が速報」にも書いたように、中国は対北朝鮮の国連安保理制裁決議2270号が発動する前から、北朝鮮からの石炭の輸入禁止などの措置に出ている。

山東省だけでなく香港でも北朝鮮貨物船の入港禁止
 本コラムでも書いてきたように、中国では山東省日照港に入港しようとした北朝鮮船籍の「グランドカーロ号」の入港を拒否している。日照港はこれまで主として北朝鮮の石炭を輸入する港として機能してきたが、今では完全凍結を行なっている。

 3月10日、香港政府の報道官は9日、北朝鮮の貨物船「ゴールドスター3号」(金星3号)が香港の海域に入ることを認めず入港を拒否したことを明らかにした。燃料と船員の生活物資を補給するために入港しようとしたようだが、それでもこの船が国連制裁リストに挙がっている31隻中の1隻なので拒否したという。船は北朝鮮の国旗ではなく、カンボジアの国旗を掲げて偽装していたとのこと。

 それ以外にも中国はこれまでに数隻の北朝鮮船舶の入港を拒否している。今回ばかりは、かなり厳格に国連制裁を守っているようだ。身に危険が迫ってきているので、何としても北朝鮮の暴走を止めたいという切迫した状況にある。

中露間にある微妙な温度差
 韓国におけるアメリカの行動に関して、中露は同じ危機感を抱いている。両者とも、遠いところにいるアメリカが韓国に進出してきて北朝鮮を刺激するのは、アメリカの自国民にとっては安全圏にいるだろうが、中露にとっては陸続きで隣接しているため自国に直接危険が及んでくるため非常に迷惑だという共通した不満がある。それは北朝鮮を守りたいという気持からのスタートではなく、自国を守るために、過度に北朝鮮を刺激しないでくれという主張だ。国連安保理で決めた2270号制裁を忠実に実行していくだけにすれば北朝鮮を追い詰めることができるが、さらに史上空前の米韓合同軍事演習を北朝鮮の目の前で強化することは、北朝鮮に反撃の口実を与え、戦争に突入する危険性を高めるというのが、中露両国の切迫した危機感だ。

このような中露両国の危機感の中、なにかしら微妙な中露間の温度差が伝わってくる。

 それはこれまで続けてきた中朝軍事同盟が果たしてきた役割を、ややロシアの方にシフトさせていきたいという中国のそれとない思惑と、シリア問題が生んだ米露対立とともに、米中が中露よりも先に、2270号決議に関するニゴシエーションを済ませたという微妙な心理的ズレだ。今では中国の方が、ロシアよりも「絶対に北朝鮮の暴走を許してはならない」という緊迫感が強い。

それは中国の「共産主義体制」が危機を迎えているために、わずかな不穏な動きをも招きたくないという逼迫感に満ちているからではないかと、筆者の目には映る。

 いずれにしても、米韓合同軍事演習を激化させて北朝鮮を刺激してくれるなというのが、中国の現在の切なる望みだ。日本を含めた米韓に対する不満でもある。

 一方、6カ国協議に持っていくには日本の協力は欠かせない。アメリカに物を言って抑制してくれる可能性が日本にならあるかもしれないとも、わずかながら期待している。ロシアに対しても6カ国協議の可能性を模索することを依頼している。そのためにも制裁は徹底してほしい。抜け道を作って欲しくない。

 これら複雑な要素が、これまで日本側の要求に応じて来なかった王毅外相が、ここにきて突然、岸田外相の電話会談に応じた理由ではないだろうか。中国政府関係者の回答は、このことを示唆しているように思えた。


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