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国際関係・安全保障論

3691とはずがたり:2016/03/11(金) 00:38:33

 北朝鮮の中国への第一の輸出品目は石炭で輸出額の約40%を占め、衣類、鉄鉱石、魚類、鉄鋼、亜鉛がそれに続く。主な輸入品は原油、石油製品、電気機器、機械類、プラスチック製品などだ。

 日本は北朝鮮との貿易をほぼ全面的に禁止してきたため、国連の経済制裁もそれと同様と思う人が多く、中国等がひそかに食料や石油などを北朝鮮に輸出しているような報道もあった。だが従来の国連安全保障理事会の制裁決議(決議1718、同1874など)で定めた禁輸品目は「核、ミサイル、大量破壊兵器」「それらの開発等に寄与する品目」小型兵器を除く「すべての武器」、「奢侈(しゃし)品」(宝石、ヨット、高級車など)だったから、中国等が北朝鮮に石油、食料、雑貨などを輸出し、石炭、鉱石などを輸入することは禁じられていなかった。

今回の制裁決議の内容は一見厳しいが実際は骨抜き
 今回の制裁決議2270は「国連史上もっとも厳しい内容」とも言われる。その第29条は「北朝鮮は原則として石炭、鉄、鉄鉱石を供給、売却、輸送してはならない。全ての国が北朝鮮からこうした原料を調達することを禁ずる」としている。これだと北朝鮮は輸出の大半を失い、核・ミサイル開発の資金源が断たれるだけでなく、中国などからの食料、石油などを輸入する資金も無くなるから、一見極めて厳しい内容と見える。

 ところがこの第29条のbには「全く生計の目的であり、北朝鮮の核または弾道ミサイル計画、その他、安保理決議で禁じられた活動のための収入発生と無関係と認められる取引き」は規制の対象としないとしている。

 北朝鮮の炭鉱や鉱山、製鉄所などでは数万人の労働者が雇用されており、その人々の生計のための輸出は許している。その収益の一部が核・ミサイル開発の資金になっている公算は高いが、一度政府の歳入になってから分配されるのだから、どの金がどこに使われたか証拠はつかめず、事実上骨抜きになる。

 また31条は「全ての国は北朝鮮に航空用ガソリンやナフサ系ジェット燃料、ケロシン系ジェット燃料、ケロシン系ロケット燃料を含む航空用燃料が売却、供給されることを阻止しなければならない」としている。だが原油の輸出入は禁止されていない。

 北朝鮮は中国などから年間に原油50万トン、石油製品20万トン程度を輸入していると見られ、原油は平安北道の「烽火化学工場」などで精製されている様子で、航空燃料、ミサイル燃料を国内で製造できるだろう。ミサイル燃料であるケロシンは灯油だから、それを輸入しても民生用と区別し難い。

 この制裁決議は前文で「決議が科す措置が北朝鮮市民に人道上の悪影響を与えることを意図していないことを強調する」と述べている。一般の国民に悪影響を与えず、政府には核を放棄せざるをえなくなる程の厳しい経済制裁を加えることは不可能に近い。

 安保理常任理事国である中国がこの制裁案に賛成したのは、一見厳しそうに見えながら、実はそれによって北朝鮮が崩壊することはない程度に和らげた内容になったからだろう。

 北朝鮮は旧ソ連が1990年9月に韓国と国交を樹立し、中国も92年8月それに続いたため孤立し、独力で韓国軍、米軍に向かい合う恐怖心から核開発に向かった。北朝鮮を見捨てて韓国に付いたソ連が北朝鮮への石油などの輸出にドル払いを要求し、即金で払えないとすぐに供給を停止するという冷酷な姿勢を示したのに対し、中国はソ連ほど露骨に北朝鮮を突き放さず、外貨が乏しい北朝鮮に物々交換のバーター取引や延べ払いで最小限の食料、石油などを供給し北朝鮮の崩壊を防いだ。

 だが北朝鮮が欲しがった対空兵器や艦艇などの武器は渡さず「生かさず殺さず」の援助を続けた。その一方で、中国は韓国との経済関係を飛躍的に拡大させたから巧妙な政策だった。

「核兵器や弾道ミサイルの開発はやめるべきだ」との中国の度重なる忠告を聞かない北朝鮮は、中国の面子を失わせてきたし、それが韓国とますます親密になる中国に向けられる危険性もゼロではない。中国が世界の非難の的である北朝鮮を支援しているように思われては、米国、日本をはじめ大多数の諸国との関係上も不利だから、中国の識者からも「北朝鮮に対しもっと厳しい姿勢を取るべきだ」との提言が出るのは当然だ。


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