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国際関係・安全保障論

3281とはずがたり:2015/07/08(水) 19:29:26
>>3280-3281
結局、米国の「幽霊艦隊(ghost fleet)」の登場となる。国防総省は、いまだ使えるがお役御免となっていたF16戦闘機やA10攻撃機を出動させ、反撃に備える。

これらは、特にF35やLCSと比べると、簡単な武器システムとなっている。中国がハッキングできない旧式で比較的単純化されたコンピューターを使用している。

F35の失敗を目にするのが現実の世界ではなく、小説の世界であることは大いに好ましい。現実なら、実際に人命が失われているだろう。

F35を製造するロッキード・マーチンは、メディアからの批判を受け最近発表した声明のなかで「F35は飛行テストの限界まで飛び、その性能は期待以上のものだ。予定されている2016年の開発プログラム完了までに乗り越えられない障害は何もない」としている。

<利害衝突>

同小説には「空の海賊」や米SF作家ウィリアム・ギブスンの小説を彷彿させる麻薬漬けのハッカーが登場するなど素晴らしいシーンが満載だ。

しかし問題もある。米中が衝突する理由が実際にありそうにもないからだ。中国が戦争を仕掛ける動機が、現在起きているような地政学的問題の避けられない結果というよりも、映画「007」に出てくる悪役の陰謀のように感じられる。

米国と中国は経済的に相互依存関係にあるため、決して戦争しないという考えが、有害なことに広く信じられている。だが、コール氏とシンガー氏は小説の冒頭30ページのなかで、経済利益が世界戦争を回避するという考えが誤りであると、歴史を引用して登場人物に語らせている。



米国防総省による中国軍事力に関する最新の報告書によれば、中国の目標は「防衛、領土の保全、強国としての立場の確保、そして最終的には、地域的優位性を再び獲得すること」だという。

これらの目標のうち最初と最後は、超大国同士の戦争がいかに起こり得るかを理解する鍵となる。米国は現在、太平洋を支配しているが、中国は西太平洋での領有権主張を急速に強めている。

超大国同士の戦争が始まるとすれば、まさにその海域だろう。中国が国境を越えて自国の権益をますます主張するにつれ、米中間の緊張は近年エスカレートしている。中国は台湾を自国の一部とみなし、西太平洋の一部の島の領有権を主張。同海域に艦船や航空機を出動させているほか、人工島の建設も行っている。

米国は日本とフィリピン、台湾と同盟関係にあり、米海軍は周辺海域で積極的に巡視活動を行っている。もし中国が台湾に攻め入ったとしたら、戦争が勃発するかもしれない。そうなった場合、米国との同盟関係の価値が試されることになり、大きな戦争へと発展する可能性もある。

緊張が高まるにつれ、双方が小さな違反を攻撃的行動とみなすこともあり得る。米国も中国も先に手を出したとは決して言わないだろうが、中国の領空を米軍機が横切ったとか、中国の小型無人機「ドローン」が日本に墜落したというようなことが戦争行為ととられる日を、遠からずわれわれは目にすることになるかもしれない。

1914年、セルビアの無政府主義者がオーストリア皇太子を暗殺したのを発端に第1次世界大戦は勃発し、約4000万人が犠牲となった。戦争は時にこのように、小さな事件がすでに存在していた緊張を表面化させて始まることもある。

「Ghost Fleet」は、防衛専門家たちが自分たちの得た情報を生かして執筆したフィクションである。超大国同士が戦争に至る過程は現実的ではないかもしれない。しかし、舞台がサイバー空間や太平洋であることなど、いかに衝突が展開されるかについてのコール氏とシンガー氏の洞察力はあまりにリアルでぞっとするのだ。


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