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国際関係・安全保障論
3253
:
とはずがたり
:2015/06/18(木) 00:12:40
>>3252-3253
ソ連海軍が、搭載武器の搭載量を6分の1に制限されるような設計をしたとは考えにくい。中国が空母として修復した「遼寧」の艦載機が搭載武器を制限されるのは、「遼寧」の速力及び航空機の性能に問題があると考えるのが妥当だろう。
中国が開発に成功か
「電磁カタパルト」とは
発艦重量を上げようとすれば、発艦速度を上げなければならない。この問題を解決するのがカタパルトだ。カタパルトは、艦載機を拘束して高速で移動し、艦載機に発艦可能な速度を与えるものである。
米海軍の空母は、蒸気カタパルトを装備している。米海軍の空母は原子力を動力としているため、原子炉から十分な蒸気を得ることが出来る。しかし、蒸気タービンを動力とする艦艇では、余分にカタパルト用の蒸気を発生させる必要があるために、蒸気カタパルトを後から装備すると、空母の速力が落ちる可能性もある。
こうした状況を考慮すれば、ただでさえ本来の出力が出せないであろう「遼寧」は、蒸気カタパルトを装備するとは考えにくい。
実際、中国が考えているのは、蒸気カタパルトではなさそうである。中国が電磁カタパルトの開発を行っていることは既に知られていたが、100メートルあまりの長さを持つ試験用電磁カタパルトの写真が公開された。
電磁カタパルトは、原理的にはリニア・モーターカーと同様で、磁場の力で物体を移動させる。蒸気カタパルトのように蒸気用の複雑な配管が必要ではない上、速度のコントロールができ、離陸滑走距離を短縮できる可能性もある。
また、2015年3月には、中国海軍動力・電気工学専門家の馬偉明少将が、「中国のカタパルト発艦技術には完全に問題がなく、実践もスムーズに進められており、実用化の自信を深めている。中国が把握している技術はすでに米国に遅れておらず、より先進的なほどだ」と述べた。
電磁カタパルトが装備されれば、中国空母艦載機の作戦半径と搭載弾薬量が大幅に拡大されることになる。現在は米国のみが保有する、半径1000キロメートル以上の空爆可能な作戦範囲を世界中の地域に展開する能力を、中国も保有する可能性があるのだ。
実は、日本ではあまり認識されていないが、米国が主張する「航行の自由」は軍事的な意味合いが強い。米国は、空母艦載機の作戦半径が陸上の目標をカバーするまで、空母戦闘群を陸岸に近づけなければならない。その位置まで自由に航行できなければならないのだ。
中国が実際に空母を運用できるようになり、米空母戦闘群の中国への接近を実力で阻止できる自信を持てば、米国とともに「航行の自由」を主張するようになるかもしれない。
米中関係はどのような局面を迎えるか
中国は複数の空母を建造中であるが、電磁カタパルトを装備するかどうかは明らかにしていない。前出の馬少将も、国産空母が電磁式カタパルトを使用するかという記者の質問に対して、「どのような案を採用するかは、軍高官が決めることだ」と、明言を避けている。
いずれにしても、中国が、米国同様に軍事力を世界中に投射する能力をつけつつあることは事実である。米国は、中国の軍事力増強を注視している。しかし、現段階では、中国との軍事的対立を避ける努力をしている。
2015年4月10日には、米軍と中国軍が直接連絡を取り合うテレビ電話が開通し、米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長と中国人民解放軍の房峰輝総参謀長が、同電話を使った初めての会談を行った。
軍事力を強化する中国に対して、当面の間、米国は衝突を避ける努力を続けるだろう。中国側も、米国との軍事衝突を避け、協力を呼び掛けている。
実は、「いずも」就役に関する中国メディアの報道は、2013年8月6日の進水式に関する報道に比較して、極めて穏やかである。現在は、日本も刺激したくないのだ。
しかし、中国の軍事力がさらに増強され、米国が、自国の安全を脅かす可能性があると認識した時には、米中関係は新たな局面を迎えるかも知れない。中国の空母の出来が、米国の認識を変える可能性があるのだ。
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