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国際関係・安全保障論

3238名無しさん:2015/06/14(日) 20:39:01
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150612-00010001-wedge-int
簡単ではないEUと中国の安保協力
Wedge 6月12日(金)12時11分配信

 Diplomat誌のティエッツィ編集員が、5月6日付Diplomat誌掲載の論説で、モゲリーニEU外交安保上級代表と楊潔チ外相の会談を取り上げ、EUと中国の安保協力は、海賊対策、テロ対策など個々の分野では進展するだろうが、一帯一路を含むより広範な地政学的文脈では、それほど簡単ではないだろう、と言っています。

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 すなわち、5月初め、フェデリカ・モゲリーニEU外交安保上級代表は、2014年11月の就任以来初めて中国を公式訪問し、中国の楊潔チ外相と会談した。両者は気候変動から防衛協力に至る広範な問題について議論し、ウクライナ、イラク、シリア、リビア、イランにも話が及んだ。

 これまで、中国とEUは、安保協力よりも経済関係の面で遥かに成功を収めて来たが、双方は、安保協力の実現が如何に重要か理解している。モゲリーニは、共同記者会見で、「お互いのために、地域的およびグローバルな課題や問題に、共同の役割を果たし得る」「互いに地理的に離れていようとも、グローバルな問題には国境がないことを我々は知っている」と述べた。

 モゲリーニは、アデン湾海賊対策の協力が「非常にうまく行っている」と言い、イラン核交渉での中国の「非常に有益な役割」に感謝するとともに、地中海における人身売買、密輸対策に中国が重要な役割を果たしている、と述べた。

 モゲリーニは、気候変動についても、EUは中国が役割を果たしていることに深い感謝を表明し、楊は、中国とEUは6月下旬にブリュッセルで行われる予定の中国・EU首脳会議に備え、気候変動についての協力を拡大するであろうと言っている。

 モゲリーニは、6月の首脳会議が、互いのインフラ及び結合政策の相乗効果に前進の機会を与えるであろう、とも言っている。中国の「一帯一路」構想は、海陸両方において、東アジアと欧州の間にインフラを構築し、貿易による結合を目指すものである。モゲリーニは、欧州戦略投資基金(EUと欧州投資銀行(EIB)が合計210億ユーロを負担し、民間からも投資を呼び込み、今後3年間で3150億ユーロをインフラ事業などに投資する計画。欧州委員会が提唱)を「一帯一路」と結び付ける可能性を示した。多くのEU加盟国は、既にAIIBへの参加により、中国の一帯一路構想への支持を示している。

 しかし、インフラにおける協力は、モゲリーニと楊が議論した安全保障協力からは遠い道のりである。中国とEUは、海賊対策、テロ対策のような現実的に協力し得る多くの利害を共有しているが、より広範な地政学的問題では両者はしばしば一致せず、EUは、安全保障に関する問題で米中間の板挟みになることを望まないであろう、と述べています。

出典:Shannon Tiezzi,‘Can China and the EU Boost Defense Cooperation?’(Diplomat, May 6, 2015)
http://thediplomat.com/2015/05/can-china-and-the-eu-boost-defense-cooperation/

* * *

 EUと中国の安保協力が、海賊対策、テロ対策などでは進展するだろうが、より広範な地政学的問題では困難であろう、という論説の趣旨は常識的なものと言ってよいでしょう。

 安全保障の概念は広がっており、テロ対策や海賊対策、さらには気候変動などのいわゆる地球規模の問題も含まれるに至っています。こうした「広義の安全保障」は、特定の国あるいは国家群からの脅威ではなく、各国に共通の関心事であり、EUと中国に限らず、いかなる主要国間で協力が行われても不思議はありません。

 しかし、ことが伝統的安全保障、すなわち特定の国、あるいは国家群からの現実あるいは潜在的脅威の問題になると、話は別です。この面でEUと中国が利害を共有することは少なく、したがって、協力が困難なのは当然です。

 それでは脅威に直接結びつかない地政学的問題はどうでしょうか。論説は、地政学的問題ではEUと中国はしばしば見解が一致しないと述べながら、中国の「一帯一路」構想に言及しています。つまり、ティエッツィは、「一帯一路」構想を地政学的問題であると正しく認識していると言えます。しかし、モゲリーニEU外交安保上級代表は来る6月の中国・EU首脳会議は、EUと中国のインフラ・貿易促進の相乗効果を高める機会になるだろう、と述べ、欧州戦略投資基金を「一帯一路」と結び付ける可能性を示唆した、とのことです。これは、EUが「一帯一路」構想を専ら経済問題ととらえていることを示唆しています。EUには、「一帯一路」構想が地政学的側面を持っており、その推進に安易に力を貸すことは論説の言う「安全保障に関する問題で米中間の板挟みになること」に繋がると、よく理解させる必要があるでしょう。

岡崎研究所


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