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国際関係・安全保障論

3158名無しさん:2015/04/05(日) 14:47:41
>>3157

● 後方の物資輸送部隊は かえって敵に狙われやすい

 新たに制定する予定の「国際社会の平和と安全のために活動する他国軍隊に対する支援活動」に関する法律は、これまでアフガニスタン攻撃に際する他国軍艦への洋上給油や、イラクへの陸上自衛隊と航空自衛隊輸送機の派遣などが1回ごとの特別措置法を制定して行われていたのを、すぐに出せるよう「恒久法」にしようとするものだ。その中で輸送・補給を担うことが与党間の協議などで強調されている。一見、戦闘に加わらないような印象を与えるが、実はこれも相当危険な任務だ。

 ゲリラやテロリストは前線の外国戦闘部隊と正面から戦っては不利だから、後方へ潜入し食糧や水、弾薬、燃料などを運ぶ輸送車列を待ち伏せて攻撃したり、物資の集積所に迫撃砲弾を撃ち込むなど、補給を妨害しようとするのが「定石」だ。

 正規軍同士の戦闘でも、航空機による対地攻撃は前線に散開してタコツボ陣地などに入っている部隊に対しては効果が乏しいから、後方の道路上の輸送車列や補給拠点を叩くのが主眼となる。地上部隊が敵を包囲しようと努めるのも、補給路を遮断し降伏に追い込むのが目的だ。

 与党合意では補給などの後方支援を行う際、他国の武力行使との「一体化を防ぐ」と言うが、一体化どころか補給こそが作戦の主柱なのだ。特に近年の陸軍は機動力、火力が増大したため、米陸軍の一個機甲師団は戦闘時には一日に弾薬2000トン、燃料も約2000トンを消費するから補給は一層重大な課題となっている。

 3月5日配信の本欄でも言及したが、安倍首相は2月17日、衆議院での代表質問に対する答弁で後方支援に関し「現に戦闘を行っている現場となる場合には、直ちに活動を休止、中断する。武器を使って反撃しながら支援を継続するようなことはない」と述べた。だが輸送部隊の車列が他国軍の宿営地などに向かう途中、ゲリラなどの攻撃を受けた際、多数のトラックが停止してUターンしようとすれば狙われやすく、かえって危険な場合も多い。

 また少々の攻撃を受けただけで補給を突然中断し、食糧や水、弾薬、燃料が来ないとなれば前方の部隊は動揺し、状況によっては壊乱しかねないから「寝返り」同然で憎まれることになる。当初から「攻撃を受ければ退却します」と多国籍軍の司令部などに申告しておけば汚名は免れるとしても、それではいてもいなくても構わない配置にしか付けられず「安全な仕事しかしない臆病者」と嘲られるから行かないほうがマシなくらいだ。

 「憲法上の制約があってできない」と言えば、他国の将校も「それなら仕方ない」と思うだろうが、「集団的自衛権行使は合憲」と言いながら、危険な任務は断るというのは納得してもらうのが難しいだろう。

● 敵中突破した隊長が讃えられると 続々追従者が現れる懸念も

 現実には輸送部隊が攻撃されれば、若干の死傷者が出ても応戦しつつ突破し、補給物資を届けるしかない場合もあるだろう。だがこれを行えば昨年7月1日、集団的自衛権行使を閣議決定した際の3要件に言う「我が国、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ」た場合にのみ武力行使をする、との誓約に反するし、首相が国会で表明した方針にも背くから、輸送隊長は処罰せねばならない。

 とはいえ、停車せず応戦して突破するほうが合理的な状況なら処罰は難しい。部隊運用の責任者である統合幕僚長や陸上幕僚長は防衛大臣や首相に行動の追認を求め、メディアは敵中突破の隊長を英雄扱いする可能性が高い。これが先例となれば次々と独断専行する指揮官が出て、統制が効かなくなる恐れもある。そもそも相手にとっては「前方」の部隊も「後方」の部隊も敵であり、「後方支援は、戦闘と一体化しない」というのは日本国内だけの理屈なのだ。

 輸送はトラックに限らない。2007年2月に米国は日本に陸上自衛隊の大型輸送ヘリコプターCH47のアフガニスタン派遣を打診したが、危険が大と見た防衛省は難色は示した。ブッシュ米大統領はあきらめず、2008年7月の洞爺湖サミットの際にも福田首相にそれを迫ったが、福田氏は拒否したことがのちに分かった。

 CH47は人員なら最大55人、貨物なら9トンを運べる大型で、山岳地帯など交通不便な地点にいる部隊への補給に適しているが、1機50億円程度の高価なヘリだから欧州の軍には少数しかない。日本は陸上自衛隊が58機、航空自衛隊が15機を持ち、米軍に次ぐ保有国だからお呼びが掛かりやすい。すでに日本の一部のCH47は重機関銃3丁、操縦席に防弾板などを付け、海外派遣に備えている。

 だが大型ヘリが補給物資を積んで他国軍の駐屯地などに接近すれば、周辺のゲリラ部隊の肩撃ちの対空ミサイルや高射機関砲に狙われたり、着陸後に迫撃砲の射撃を受けることもありうる。


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