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国際関係・安全保障論

3125名無しさん:2015/03/08(日) 15:00:05
>>3124

● 組織防衛だけ考えるような人が 国の参謀総長になると危うい

 また自衛隊は占領軍がにわかに作った警察予備隊が発展したものだから、出自や合憲性で世間から白眼視されているとの被害者意識が近年まで強く、「組織防衛」を公言し、それに凝り固まる傾きがある。組織をあげて地位向上と処遇改善を求める点では労働組合に似ている。自衛隊内部でも各部隊の自己防衛意識は「団結」が強調される組織だけに他の官庁よりも強く、改編を担当した幹部が「誰もが自分の部隊だけを守ろうとする。まさに自衛隊です」と私にボヤいていたこともある。

 もっぱら自衛隊や自分の出身母体の利益を考えるような人が、国の参謀総長になっては危うい。統合幕僚長は3自衛隊のバランス、公平を考えて、陸、海、空の幕僚長が順送りで任じられることになりがちだが、よほど視野が広く識見の高い人物を選ぶ必要がある。殻に籠った将校が指導的配置につかないよう、米軍のようにレベルの高い一般大学に派遣し、その修士号を昇?の基準にすることも考えるべきだろう。

 統合幕僚監部に運用を一元化しても、政策は防衛省内局や国家安全保障会議が担当すれば、自衛隊の独走への歯止めになる、との論があるが、前述の如く統合幕僚監部が編成、装備、調達など政策、行政マターにも関わる、と読める条文もある。また「政策」と「運用」の線引きは難しい。

 1930年のロンドン海軍軍縮会議で「軍政」を狙う海軍省が条約を呑んだところ、「軍令」(運用)を担当する軍令部(海軍の参謀本部)は「艦隊の編成は統師権(天皇の指揮権)に関わることで、内閣に属する海軍省が勝手に取り決めたのは統師権を犯す」と反発、海軍の中で激しい対立が生じた。天皇が条約を裁可されたのだから統帥権を犯したことになるはずがないが、野党の政友会や右翼が騒ぎ立て、浜口雄幸首相が撃たれ、のち死亡する事件まで起きた。

● 海外派兵で「後方支援」のはずが、 現場判断で戦闘となる危険はないか

 今日でも「政策」と「運用」が対立することは起こりうる。たとえば政府は自衛隊を多国籍軍などの「後方支援」に出し、その地域が戦闘の現場となる場合には「任務を中止、中断する。武器を使って反撃しながら支援を継続することはない」(2月17日、代表質問での安倍首相答弁)と言う。だが、輸送、補給部隊の車列が攻撃を受けた場合、突然補給を中止して撤退すれば、前線の外国部隊は食糧や水、弾薬、燃料が切れる形勢となって壊乱しかねない。友軍から見れば寝返り同然の行為だ。

 織田信長の死後に琵琶湖の北で羽柴秀吉が柴田勝家と戦った賤ヶ嶽(しずがたけ)の戦いでは、柴田軍に属して前線のやや後方にいた前田利家の部隊が戦闘がたけなわとなると戦場を離脱したため、動揺した柴田軍は崩壊した。この「裏崩れ」のようなことをやれば日本はひどく恨まれる。

 当初から多国籍軍司令部に「戦闘になれば撤収のつもりです」と通告していれば別だが、それではいなくても構わない配置にしかつけられず、馬鹿にされるだけだから、行かないほうがましなくらいだ。

 実際には輸送部隊が襲われれば応戦して突破し、補給物資を届ける任務を果たすしかない場合もありうる。現場の指揮官が状況の変化に応じ、政府が表明した方針や「基本計画」に反した対応を取っても、もしそれが合理的なら処罰はしにくい。「運用」の責任者である統合幕僚長は防衛大臣や首相に、その行動の追認を求め、敵中突破をした隊長はメディアで英雄視されることになりかねない。

 一度そうした先例が生じると、次にも独断で行動する指揮官が出て「文民統制」は雲散霧消する結果となる。この例自体は「運用一元化」よりは自衛隊海外派遣を速やかに行うための「恒久法」に関わるところが大きいが、「迅速性」を追及している点で同根だ。

 「兵は国の大事、死生の地、存亡の道」(孫子)だから、ただ決定が早ければ良いというものではない。偽情報の乱れ飛ぶ中、多くの複雑で次元も異なる要素を勘案し、方針を決めなければならないし、2手、3手先を読む必要もある。「慎重性」をどう担保するか、を考えることも重要だ。

田岡俊次


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