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国際関係・安全保障論
3008
:
とはずがたり
:2014/06/02(月) 12:48:05
>>3006-3008
次のような事例は明日にでも起こり得る。朝鮮半島有事が勃発すれば、米国政府が真っ先にやることは約22万人に及ぶ在韓米人非戦闘員(婦女子)の避難である。米国は軍用機、チャーター機、民間航空機などをピストン輸送させ、総力を挙げて至短時間に朝鮮半島から日本に避難させる計画だ。
東日本大震災の際にも、放射能被害を避けるため、関東一円の米軍人家族をハワイ以東に避難させた。在日米軍基地から婦女子があっという間にいなくなった事実はあまり知られていない。
日本海には米人非戦闘員(婦女子)を乗せた航空機が数珠つなぎになるだろう。当然、自衛隊も警戒態勢を上げる。日本海には武装した空自F15戦闘機が空中哨戒を実施しているはずだ。その時、日本海を飛行する米輸送機の後方に接近する北朝鮮空軍MIG-29戦闘機を空自F15が発見したとしよう。
米民間人を見殺したその瞬間、崩壊する日米同盟
米国は空自F15がMIG-29を撃墜して、米人婦女子を護ってくれると信じているだろう。空自の能力からすると十分可能だ。だが、空自パイロットはMIG-29を撃墜し、米人婦女子を守ることはできない。平時にあって公海上空を飛行する米軍輸送機を守るための行動は、集団的自衛権に該当し、禁じられているからだ。
空自F15がそこにいるにもかかわらず、米人婦女子が撃墜されるのを手をこまねいて見ていたとしたら間違いなくその瞬間に日米同盟は崩壊する。筆者が現役の頃、怖れていた地獄のシナリオの1つである。
ミサイル防衛もそうだ。2012年12月、北朝鮮は人工衛星打ち上げと称し、ミサイルを打ち上げた。米国にも届く核ミサイルとなる可能性がある。自衛隊は我が国に飛来する弾道弾ミサイルは破壊できる。だが、米国に飛来する弾道弾ミサイルは集団的自衛権に抵触するから撃ち落とすことはできない。
北朝鮮から米本土に撃たれたミサイルは、カムチャッカ半島からベーリング海方面を飛行するため、日本からは物理的に迎撃することはできない。だが、グアムやハワイに撃たれたミサイルは日本の本土上空を飛行する。幸か不幸か現在の自衛隊はその迎撃能力を有しない。だが日米共同開発中の弾道弾迎撃ミサイルが完成すれば、これを迎撃できる可能性が出てくる。
もしハワイやグアムに撃たれた弾道弾ミサイルを発見し、迎撃が可能であるにもかかわらず、集団的自衛権を理由に迎撃しなかったならどうなるか。結末は誰にでも容易に想像がつく。
ハワイやグアムに撃たれるときは、日本の領域にも当然撃たれるだろうから、その時は個別的自衛権で対応できると主張する元高級官僚がいる。いかにも苦し紛れの乱暴な論法であり、危険な発想でもある。
この論法だと個別的自衛権で何でも出来ることになってしまう。日本有事でも着弾地点が外国領土である弾道弾ミサイルは個別的自衛権では迎撃できないのだ。
米軍は弾道弾ミサイル探知用レーダーを既に青森県の車力に設置している。今回、新たに京都府の経ヶ岬に追加設置することを決めた。米軍はグアム、ハワイへの弾道弾ミサイル対応を真剣に考え始めている。そう遠くない将来起こり得ることであり、決して絵空事ではない。…
今回の共同宣言を具現化するためには、集団的自衛権の行使を前提とし、米国との任務分担、役割分担を明確にして共同作戦計画を策定することが急がれる。共同作戦計画は「米国を巻き込む」最良の手段であり、何よりの中国への強力な抑止力となる。…
戦いに備えよと強調する習近平主席
最近、習近平主席は「戦いに備えよ。そして戦いに勝たねばならない」と好戦的言辞を使うようになった。…
力の信奉者である中国の台頭に対し、我が国を守り、アジアの平和と安定を確保するには、日米同盟の緊密化を図り、米国を「巻き込む」ことが欠かせない。…このために集団的自衛権の行使は欠かせない。
集団的自衛権行使を認めることは、決して「米国とともに『戦争する国』造り」でも、「アメリカの手先になる」ことでもない。我が国の防衛そのものなのだ。
現下の情勢を正しく認識しないまま、集団的自衛権行使容認の手段について、「やれ憲法解釈の見直しだ、いや改憲だ」と議論しても国民には理解が難しい。世論調査を見ても、「集団的自衛権が認められれば、米国と一緒に地球の裏側まで行って戦争するようになる」といったデマゴーグに惑わされていることが分かる。
情勢認識と集団的自衛権行使の必要性の議論、そして行使を可能にする手段の議論は分けて実施すべきである。非武装中立論者と防衛力整備について議論できないのと同様、イデオロギー的に集団的自衛権に反対する人たちと、「憲法解釈か憲法改正か」といった方法論を議論しても混迷が深まるだけである。
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