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国際関係・安全保障論

1740千葉9区:2009/02/01(日) 11:32:02
 ◆「牢獄の中」◆

 だが、だれもが現状を肯定しているわけではない。バグダッドで最も治安が不安定なサドルシティーの入り口にあたる東部のパレスチナ通りでは、二重のコンクリート塀で道路と遮断された食料雑貨店の奥で、ムンサル・シハブさん(45)が不機嫌な顔を見せた。

 「これが普通の生活と言えるか? 塀のお陰で客は車で店の前まで来られない。牢獄(ろうごく)の中で商売をしているようなものだ」

 不満は物価の高騰、公共サービスの欠如にも向けられる。特に、電力供給は1日平均6時間。あとは自家発電機に頼るしかない。燃料の軽油や灯油は旧政権時代の70倍に跳ね上がった。

 シハブさんは「発電機の維持と燃料代に月700ドルかかる。もうけなどない」と嘆いた。

 数百メートルおきに設けられた検問所も、市民の移動の自由を奪う。西部から中心部の職場に通う男性(38)は、「昔は通勤時間が20分。今は平均2時間もかかる」と語った。

 ◆いびつな自由◆

 激しい宗派間抗争は、街をコンクリート塀と検問所で寸断し、生活を不便にしただけではない。人の心性をも変えたように見える。

 平和な時代にシーア派の妻と結婚し、シーア派が多数を占めるアル・バヤー地区で暮らすスンニ派の男性(44)は、今も息を潜めて生きているという。

 シーア派の第3代イマーム(指導者)フセインの殉教を追悼する宗教行事が続いたイスラム暦の1月には、「隣人たちに怪しまれないように、心ならずもフセインをたたえる旗を玄関に掲げた」。

 シーア派民兵組織マフディ軍が地区を支配していた頃は、スンニ派と疑われる名前の一部を消して身分証を偽造し、同軍が発行する通行許可バッジを申請した。今でも、検問の際には、「ドキドキしながら」身分証を使い分ける。相手は内務省治安部隊の制服を着ていても、どこかの民兵組織とつながりがあるのだ。

 イランの影響下にある民兵組織から殺害予告を受け、2度も自宅を襲撃されながら、バグダッドに踏みとどまった元情報機関幹部(49)は、周囲に自分の過去も本音も絶対に明かさない。

 「イラク治安機関より米軍の方がまだ信頼できる。受け入れてくれる国があれば、すぐにでもイラクを出たい。でも、それは人前で口にできない」

 サダム・フセインの独裁が終わり、イラク国民は多大な犠牲と引き換えに、自由だけは得たはずだった。だが、その自由は実にいびつなものでしかない。

 叔父と弟を宗派間抗争で失ったサード・アハマドさんは、家族以外は信じられないと言う。

 「フセイン時代は、政権批判をしなければよかった。今は隣人にさえ何もしゃべれない。誰が敵で誰が味方なのか、分からないから」

(2009年2月1日03時04分 読売新聞)


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