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石油・LNGなど=エネルギー総合スレ=

105荷主研究者:2003/09/23(火) 03:58
>>104 続き

 タンクローリーとのコスト比較でも、輸送距離が200kmを超えると、鉄道駅からの走行距離など条件次第ではタンクコンテナ有利、との試算が出た。タンクローリーでは一般道を使って距離が200kmを超えると、2名乗車が義務付けられているので、コストがポンと跳ね上がる。鉄道料金は漸増方式だから、距離が延びるほど、タンクコンテナの経済性は高まることになる。 当初は北海道での天然ガス供給を頭に描いてタンクコンテナ実現に取り掛かったのだった。しかし、北海道での供給は実現したとしても数年先。もっと足元に鉄道輸送の種が転がっていた。小松ガス(鉄道輸送距離300km)、金沢市(同)、福井市(同380km)だ。特に熱量変更時期が小松ガス2000年3月、金沢市が同8月と1年半余に迫っていた。
 石油資源開発とこれらの事業者との間では、LNGをローリー供給することで話がまとまっていた。そこで急きょ、これらの事業者に鉄道輸送への切り替えを提案。原料出荷元である日本海エル・エヌ・ジーなど関係者にも了解取り付けに走った。
「大きな方針変更であり、実績のない輸送方式の提案をしに行くのには、大変な勇気が要りました」と豊崎さんは述懐する。しかし、多くの関係者が「聞けば聞くほどいい方法だ。技術的に問題がなければ、協力します」と、理解を示してくれた。
 冬の日本海側のローリー輸送では、積雪や路面凍結などの難点がある。鉄道の方が安全性は高い。だから、供給安定性も向上する。これが鉄道への切り替えがスムーズにいった大きな理由だ。トラックに荷物をとられて苦戦しているJR貨物にとっても、新たな分野を開く絶好のビジネスチャンスである。
 世界的に先例のないLNGタンクコンテナを試作するに当たっては、スペック(仕様書)も自分たちで作らなければならなかった。豊崎さんたちは三つの基本方針を決めた。①安全性の確保②積載量の最大化③タンクローリーとの設備・操作の互換性−である。③は、荷積み、払い出しの設備や操作をタンクローリーと同じようにするという意味で、小松ガスからも強く要望された。
 タンクコンテナのメーカーには、天然ガス販売先でもある工業用ガス・機器メーカーの大同ほくさん(現エアー・ウォーター)を選んだ。コンポジット(ガラス繊維とアルミ箔)を使った同社独自の断熱方式が、タンクの自重を減らすのに効果があることなどが決め手だった。
 豊崎さんたちが示したタンクコンテナのスペックは、「長さ9m、積み荷を含む総重量20t」というものだった。タンクが軽くなる分だけ、LNGを余分に積むことができる。

 試作1号機ができたのは99年5月、ヒントになった写真を見てから、わずか10ヵ月目のことだった。早速7、8月にかけ、JR貨物北海道支社の協力で、液体窒素を載せて札幌〜旭川間を試走した。
 こうして3月に小松ガス向け初荷を送り出すところまでこぎ着けた。
 タンクコンテナを使ったLNG鉄道輸送の実現は、原料天然ガスの手当てのメドが立たなかった遠隔地のガス事業者にとって朗報である。しかし、鉄道さえ通っていれば、どこでも可能というわけではない。
 豊崎さんは鉄道輸送を可能にする条件として、次の3点を挙げる。
 第1に受け入れ事業者の工場と鉄道駅が近いこと。この間はタンクコンテナをトレーラーに載せて輸送する。これが遠距離になるとタンクコンテナの回転率が悪くなり、経済性が落ちる。金沢駅〜小松ガスは25kmで、ここらが限界ぎりぎりという。
 第2にLNGの輸送量がある程度以上まとまっていること。到着駅でタンクコンテナを鉄道台車からトレーラーに移し替えるにはトップリフター(荷役機械)が必要だが、すべての貨物駅に常備されているものではない。ある程度の量が確保されないと、配備してもらえない。金沢駅には配備されていなかったが、小松ガス、金沢市の2事業者が利用することで量を確保できる見通しがついたため、トップリフターが新たに配備された。
 第3に鉄道ダイヤがある程度、密に組まれていること。タンクコンテナの帰り便がうまく利用できないと、コンテナが無駄に滞留し、高くつく。
 タンクコンテナの初荷から数日後に、豊崎さんに会った。どうしてこんなにうまく事が運んだのかを聞いてみた。
「ダメ元覚悟で相手にぶつかっていったのが良かった。専門家ほど、なぜできないかの理由を簡単に見付けて、納得してしまう。素人の思い付きへのこだわりが、新しい輸送方式開発に結び付いたのでしょう」という。事をなす時の教訓になりそうだ。(山口 正康)


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