この話題を採り上げた米『Wall Street Journal』の記事を読むと、「アシェットが昨年米国で販売した電子書籍の約60%がAmazon経由」「Amazonの売り上げ全体に占めるアシェットの割合はごく僅かで、利益を棒に振ったとしても影響はごく軽微」とあり、そこだけ見るとAmazonの弱いものイジメという感じもする。また、米5大出版社であるアシェット、ハーパーコリンズ、マクミラン、ペンギン・ランダムハウス、サイモン&シュースターの中で、アシェットの力が一番弱いというのも、Amazonによる弱いものイジメ、という印象に拍車をかけている。
本当なら、「米電子書籍市場で9割のシェア」(米『Vanity Fair』)を持つAmazonに、何らかの規制がかかってもおかしくない状況だ。しかし、Amazonはジェイミー・ガレリックという社外取締役を通じてオバマ政権にしっかり食い込んでいる。クリントン政権時代に司法副長官だったガレリックは、現司法長官のエリック・ホルダーと「友人」(米『The New Yorker』)同士だというから、しばらくはこの状況が続くのだろう。