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【資料】神秘主義の系譜【探索】
43
:
名無しさん
:2013/07/20(土) 05:58:51
>>42
[入社式団体の特質] このように政治史の文脈に沿って浮沈する政治的秘密結社に対して,入社式団体はむしろ精神史の文脈において消長を遂げる。そもそもが宣伝や教化伝道などによって同時代とのコミュニケーションを図る公開結社とは逆に,同時代との接触を意識的に拒むために,とりわけ入社式団体は概してその知の源泉を遠方に求める傾向がある。それは,ときには遠方の過去である古代や,いつとはない世界終末の後に立ち現れる未来であることもあれば,遠い異国や星辰の世界であることもある。
ヨーロッパ中世の崩壊過程で出現した薔薇十字団は,ルネサンスに先立ってスペインに流入したヘブライのカバラ思想,十字軍のもたらしたイスラムの神秘主義,ルネサンスとともにイタリアにもたらされたヘルメス思想,さらに世俗から隔離された修道院のなかで深化されたドイツ神秘主義などの総合の上に成立した。これらの古代や遠方の知が,スコラ学ではもはや統御しがたくなった中世末期の精神状況を救済するために浮上してきたのであり,とりわけ三十年戦争で混乱に陥っていた北方の世界終末的な様相の下では,薔薇十字団員たちが,はるばるオリエントからヨーロッパの〈今〉と〈ここ〉の混乱を収拾しにやってきた魔術の道士だと考えられていた。分裂と抗争に明け暮れる北方諸国には,彼らの知によって普遍的統一がもたらされるであろう。この観念はやがてイギリスに成立するフリーメーソンにも受け継がれていく。
[完全知の希求] いずれにせよ近代の秘密結社は,産業社会化を通じて古き共同体から疎外された個人や集団が,現存の世界を不完全なものとみなし,今ここにはない第二の完全な世界を遠方から手引きするために結成される。この疎外からの救済という性格が近代の秘密結社を特徴づけており,多少とも土着的な未開社会の秘密結社とそれとを区別する。しかし現存の世界を不完全とみなし,完全を夢見るこの精神の姿勢は,さかのぼっては2〜3世紀に最盛期を迎えたグノーシス主義に発している。グノーシス主義の中心には,宇宙は神秘的で不可測の存在から多くの媒介を経て流出したものであり,現存の人間の感覚世界はその最後の最も低次の悪しき造物主(デミウルゴス)によって創造されたとする命題がある。ここから有限にして可視のこの世界を超越し不可視の完全な世界に還帰するための知が要請される。すなわち宇宙原理である原初の存在は,現在の造物主の創出した物質界によって隠されている。というよりは原初の神的存在は物質界によっていわば殺害され,乗っ取られたのである。それゆえに,この殺され隠された秘密の知を復元しなければならない。
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