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【資料】神秘主義の系譜【探索】
42
:
名無しさん
:2013/07/20(土) 05:58:15
>>41
秘密結社がおおむね危機の時代に立ち現れがちであることも,このことと無関係ではない。上位のより大きい社会になんらかの変動が生じるとき,社会成員はもとより,社会内集団(民族,人種,政治結社,職業組合)もまたアイデンティティ・クライシス(同一性の危機)に遭遇して,いわば寄る辺のない孤児のように,アイデンティティの崩壊を目前にした白紙状態に投げ出される。この集団的幼時退行現象が,根を失った人びとに再び秘密によって封鎖された固有の私的領域を求めさせるのである。N. マッケンジーに従うなら,〈大多数の秘密結社は,古い生活形態が破産したり,新しい生活形態が今しも浮上せんとしている社会的無秩序の時期,もしくはイデオロギー的損藤の時期に発生する〉(《秘密結社》)のである。
[秘密結社の諸類型] ここで二つの選択が考えられる。古い生活形態に固着するか,まだ姿を現さない新しい生活形態を期待するか,である。この点で秘密結社を二分するなら,前者がマウマウ団(マウマウの反乱)やマフィアのように古い因習に固執する楽園回帰グループ,後者が多少とも革命的な世界改革を唱える啓明結社,カルボナリ党,アイルランド独立を目ざしたクラン・ナ・ゲール Clan‐na‐ga∫l,革命前夜のボリシェビキ(ロシア社会民主労働党)のようなユートピア志向グループ,となろう。むろんこの分類はとりあえずのものにすぎず,両者の間に一線を画するのは容易ではない。
いずれにせよ大多数の秘密結社は,危機の時代に古い地盤から根こそぎにされた故郷喪失者の層から発生してくる。薔薇十字団は三十年戦争の混乱のなかから出現し,テンプル騎士団は十字軍の退廃に再度秩序をもたらそうとする欲求から生まれた。マウマウ団は白人宣教師や白人植民者によって伝統的生活形態を破壊されたキクユ族の苦悩から,クー・クラックス・クランは南北戦争の敗者たるアメリカ南部から,それぞれ発生する。現在ではほぼ犯罪結社化しているマフィアもまた,本来はシチリアが近代ヨーロッパの秩序に取り込まれようとした時代の孤島固有のアルカイックな習俗の崩壊過程で,楽園回帰的衝動から生み出された結社である。
これらの秘密結社は外因である危機の性質に応じてさまざまの結社目的を立てるが,それによって宗教的秘密結社,民族主義的秘密結社,人種主義的秘密結社,犯罪秘密結社などに分類することができる。いずれにせよ,すでに述べたように,危機が一過性のものであれば,それに応じて秘密結社も一過的に盛衰する。しかし,G. ジンメルがその《社会学》第5章〈秘密と秘密結社〉において指摘したように,たとえある秘密結社が現実の目的を達成して社会に公開されても(たとえば革命後のボリシェビキ),これとすれ違いにかつての中央権力が没落して秘密結社化するので,秘密そのものの存在は恒久的に存続する。
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