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Breather

125ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/01(土) 09:46:47 HOST:EM117-55-68-175.emobile.ad.jp





 あたしが、もう少し勇気を出してれば。

 もう遅いかもしれないけど。
 すうっと息を吸って、大きな声で叫んだ。



     ×



「課題忘れてきたやつ立ってー」



 がらがらがら。
 大きな音を立ててクラスの数人が席から立ち上がった。

 人数は五人。
 一人は恥ずかしそうに俯く女子。
 もう一人は俺やっちまったぜみたいな暗ーい男子。
 そのまた一人は全然気にしてなさそうな男子。
 そしてさらにむしろ先生に怒られたいとかで奇声発してる女子。
 からの最後、反省の色が全く見えないあたしの親友の悠花。



「はい、五人ねー……って、逢沢は?」


 にこにこしながらイケメンスマイルで滝沢先生が聞いていた。
 あたしが数学の課題提出するとでも思ったか。



「やったよー」
「うん、見せてみ」
「ほれ」



 3年1組1番、逢沢莉乃。
 あたしの独特な文字でちゃんと課題のプリントにそう書いてあるじゃないか。



「これのどこがやってつうの?」
「名前を書きました」
「……課題忘れな」
「はっあ? 課題忘れてないし、てかむしろ嫌すぎて覚えまくってたし」
「それはそれは、そんなに課題のことを考えててくれたんですね」
「そうだよ! 課題なんて消えればいいと思ったわ!」



 その一言で、滝沢先生は教卓に戻って笑顔で告げた。



「課題忘れの五人は明日まで提出な。逢沢は今日から一週間居残り補習」
「先生そんなにあたしといっしょにいたいの?」
「課題大量に追加して自力で解かせてあげようか?」
「ごめんなさいなんでもないです口を慎みます」



 今日もにぎやか、ほのぼのとしたあたしの日常。
 まあ、なんだかんだいって滝沢先生はあたしのお気に入りな先生かも。



 そこらへんの女子みたいに、恋愛感情がどうとかは芽生えないけどね。



     ×



「りっちゃーん!」
「はるちゃーん!」


 休み時間は悠花とのイチャイチャタイム。
 悠花はあたしのことを唯一りっちゃんとかくっそ可愛いあだ名で呼ぶ。
 ちなみに悠花はゆうかじゃなくてはるかだよ!
 だからあたしははるちゃんって呼んでる。


「いいないいな、りっちゃんてば滝沢先生と仲良くて」



 はるちゃん。
 こんな可愛い女の子オーラ振りまいてますが。





 実はものすっごいチャラチャラしたお馬鹿な女の子です。




「良くない! なんであたしだけ補習?! はるちゃんだって課題やってたけどどーせ全問ハズレでしょ?!」
「なにそれ失礼」
「事実を言ったまでだ」
「うわあああぁぁああんりっちゃんひどいいいいいぃい」



 うん。
 たのしー(笑)





     ×



 とまあ、これがあたしの高校生活最後の一年の日常。
 卒業までに、あたしの気持ちに進展はあるのか?!←



     -




 つづく!

126ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/01(土) 11:03:40 HOST:EM117-55-68-175.emobile.ad.jp






   ▼キャラクター紹介2


 ▽ 電話越しのあなたに。(>>31/完結)

 花(はな) : 小悪魔天然系女子。無自覚で可愛い発言しちゃう子。/海斗の彼女
 海斗(かいと) : 甘えん坊系の小悪魔男子。一途。/花の彼氏

 ▽ ふいうちのキス(>>32/完結/おふざけ短編)

 ゆーくん(本名は作品中には出てきてません) : ツンデレ男子。ツンツンしてるくせにたまにデレるクールな子。/女の子の彼氏

 ▽ あのね、(>>33/完結/会話だけの作品)

 圭(けい) : 俺様系とみせかけて実は甘えたがりの男子。/女の子の彼氏
 みーくん : うさぎのみーくん。可愛くて愛されキャラ。/女の子のペット

 ▽ 「ありがとう」(>>34/完結/死ネタ)

 ユリカ : 優しく友達思いの女の子。周りを明るくさせるのが得意な人気者。/カイの彼女、交通事故で死んでしまう
 カイ : 一途で友達思いの男の子。周りを盛り上げるのが得意な人気者。/ユリカの彼氏

 ▽ 憂鬱magic(>>35>>36/完結)

 憂(ゆう) : 素直じゃない女の子。ネガティブ思考で他人に思われることに慣れてない。/海人が好き、朱音の友達
 朱音(あかね) : 明るくていつも笑っている女の子。クラスの人気者。/憂の友達、海人の友達
 海人(かいと) : 毒舌だけど常識人。実は優しくて相手を思いやれる。/憂の友達、朱音の友達

 ▽ enjoy!(>>38>>39/未完結)

 遼(りょう) : 無自覚だけどモテる男子。一途で優しい。/奈々の元カレ、遥の友達、和希の友達、優花の友達、美月の友達、奈実の友達
 奈々(なな) : 可愛くてモテる。一途で優しく相手を思いやれる子。/遼の元カノ、奈実の双子の姉
 奈実(なみ) : 可愛くてモテる。一途だけど少し歪んだ愛情を持つ子。/遼が好き、奈々の双子の妹、遥の友達、和希の友達、優花の友達、美月の友達
 遥(はる) : あきらかにチャラい男子。根は優しくて真面目。遼曰く女好き。/遼の友達、和希の友達、優花の友達、美月の友達、奈実の友達
 和希(かずき) : チャラ男代表。ちょっとナルシスト。大の女好き。/遼の友達、遥の友達、優花の友達、美月の友達、奈実の友達
 優花(ゆか) : 明るくて人気者。人と関わるのが得意。/遼の友達、遥の友達、和希の友達、美月の友達、奈実の友達
 美月(みつき) : 清楚系な見た目とは違ってチャラ目。/遼の友達、遥の友達、和希の友達、優花の友達、奈実の友達




 以上!
 つづく!
 つかれる!

127ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/01(土) 14:00:15 HOST:EM117-55-68-131.emobile.ad.jp





   大好きな先輩へ




 ふわりと冷たい空気が俺たちを包んだ。
 雪が降り、うっすらと校庭の砂の上に積もり始める。



 今日は、今まで最高学年として俺たちを引っ張ってくれた先輩方の卒業式。




 留年する人――は、いないと思う。
 何せ三年生はみんな笑顔で卒業するっていう目標で一年生のころから団結してきたみたいだし。



 在校生として、卒業生を見送る俺たち。
 学校にはいつもと違うそわそわした落ち着かない雰囲気の生徒がたくさんいて、いつも制服を着崩す人たちも今日ばかりは正しく着こなしていた。
 「苦しい」なんていいながら、シャツを第一ボタンまでしっかりしめてみる。



 ……やっぱり慣れないな。
 それでも、と俺はふたたび制服のチェックをし始めた。



     ×



「なあ瑠夏(るか)、俺変じゃね?」
「どこが?」
「だって……シャツ第一ボタンまでしめてるしズボン腰パンじゃねえし、ネクタイちゃんとしてるし」
「いつものお前より遥かに良い人そうに見えるけどな」
「ひっど」



 チャラいやつとして有名な親友の空(そら)も、今日はちゃんと制服を着ている。
 なんだかやっぱり落ち着かないな。


 そう思ったとき、三年の先輩が二年校舎の廊下を歩いているのを見かけた。



「留奈(るな)先輩!」



 思わず教室から飛び出して声をかけると、留奈先輩はにこにこ笑った。



「瑠夏くんだー!」
「俺もいますよ!」
「空くん! 制服似合わなーい」



 ――留奈先輩は、俺の好きな人だ。
 同じ軽音楽部でボーカルとギターを担当していた留奈先輩。
 いっつも笑顔で、辛いことがあっても笑ってて――でも、ふたりきりになったときに俺だけに弱音を吐いてくれた留奈先輩がいつの間にか大好きになっていた。



「いつのまにか卒業生になっちゃってた」
「留奈先輩留年してくださいよ」
「えー、やだよう」
「俺、留奈先輩ともっといっしょにいたかったです」
「……うん、そうだね」



 寂しそうな留奈先輩の笑顔。
 俺が慰めてあげたいのに。
 もう、こんなことをするのも最後なのかな。



「留奈先輩、卒業式終わったら俺と遊んでください」
「へ?」
「今日……ダメですか?」
「だ、だいじょうぶ! だめじゃない! わたしも留奈くんと遊びたい!」





 じゃあ、そのときにまた。




 微笑み合って、俺は教室に戻った。




「なあ、お前留奈先輩大好きだな」
「うっせ、黙ってろ」



 空に言われたくねえわ。



     -きる-

128ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/16(日) 13:24:40 HOST:EM117-55-68-51.emobile.ad.jp






   ( 学校一可愛い超絶美女の落とし方。 )






「悠莉ちゃんって本当可愛いよね」
「だよね、憧れちゃう!」
「めっちゃモテモテだしね」
「性格も良いしさ〜!」
「顔良くて性格も良いとか、完璧じゃん」




 ――――そんな褒め言葉聞き飽きた。



 わたしが可愛いとか当たり前。
 憧れるとか、ろくに努力もしない人に言われたくない。
 モテるのは可愛い子の特権だし。
 性格良くなきゃモテないもん。
 完璧な子になりたくて努力したんだから。





 心の底からの「可愛い」が通用する女の子になりたい。
 そう思って必死に努力したのに、わたしが心から思うたった一人の君は振り向いてくれないのかな。




     ×




「悠莉ちゃんおはよ〜」
「おはよ、朱里ちゃんっ」





 逢沢悠莉、高一女子。
 学校一可愛い超絶美女の称号を持つ……とか言ってはみるけど、実際そんなもの興味ない。




 そしてわたしがたった今挨拶を交わしたのが春乃朱里。
 同じクラスで――簡単にいえばわたしの嫌いな人。





 朱里ちゃん、とか呼んでるけどそれは言葉だけ。
 実際心の中ではそんな親しく呼んでない。
 春乃朱里はかなり性格に裏がある女子でぶりっ子するくせにたいして可愛くない。



 まあ、裏ありまくりのわたしが人のこと言えるようなものじゃないけど。




「よ、朱里」




 笑顔で教室に入ってきたのは朝月蓮。




「わ、吃驚したあ……蓮くんおはよ〜」




 頬を赤く染めてぶりっ子する朱里を見て勘付く人は分かっちゃうけど、蓮くんは朱里の彼氏。
 そして蓮くんは、わたしの好きな人でもある。




「蓮くんおはよっ」
「はよ、逢沢」




 春乃朱里は名前呼びで、わたしは名字呼び。
 かなりの距離感があるのがはっきりと伝わってくる。




 でも、学校一可愛い超絶美女が春乃朱里みたいな地味な女に負けるわけにはいかない。




「蓮くんっ、この前借りたCD! すっごいよかったよ、ありがとー!」
「だよな! やっぱ逢沢は趣味合うから話しやすいわ!」




 蓮くんに良く見てもらえるように、蓮くんの好きな歌手を調べたんだ。
 ちょっとマイナーだったから趣味が合う人も都合良く少なくて、春乃朱里よりも趣味については分かり合える仲になった。




「この歌手のファン少ないから、蓮くんくらいしか話せる人いないんだよね」
「俺も! 逢沢くらいしか趣味の話通じねえわ」
「今度さ、近くでライブするらしいんだけど……いっしょに観に行かない?」
「マジ?! 行きたい!」




 わかってる。
 蓮くんが好きなのはわたしじゃなくてその歌手だってこと。
 わたしが同じ趣味だから仲良くしてくれるだけだってこと。




 でも、ぜったい奪ってみせるんだ。




「え〜、ふたりともライブ行くの〜? 朱里も行きた〜い!」





 ちっ、と心の中で舌打ち。
 趣味のことも何も知らないくせに、彼女気取んないでよ。




「ごめん……もうチケット買ってあって、二枚しかないんだー……」




 残念そうに言いながら、心の中ではにやっと微笑んでいた。
 元々チケットが二枚しかないのは事実だしね。




「えー、じゃあ普通はカレカノで行くべきでしょ〜」




 朱里がむっと口を尖らせて、少し本性を出しつつぶりっ子して言った。
 いらっとしても、わたしは本性はぜったい出さない。




「そう、かな……やっぱり蓮くんもわたしとじゃ嫌かな」




 さり気ない上目遣い。
 ちょっと引き気味に、それでも完全には引かずに寂しそうに言う。


 どれもこれも、全部計算通り。




「このチケット、逢沢が俺と行くために買ってくれたんだろ?」
「うん、どうしてもいっしょに行きたくて」
「なら俺逢沢といっしょに行くよ」




 蓮くんが笑った。
 悔しそうに朱里が俯く。




 やっぱりみんな、わたしの計算通りに動いてくれるのね。



     (きる)

129ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/16(日) 13:37:48 HOST:EM117-55-68-51.emobile.ad.jp






   ( 学校一可愛い超絶美女の落とし方。 )





「でもぉ、蓮くんと悠莉ちゃんふたりっきりなのは朱里不安だよお……」




 まだまだ粘る朱里。
 しつこい女って、嫌われる対象なんだよ。
 馬鹿な朱里は気づいてないみたいだけど。



 蓮くんは少し困ったように俯いて言った。




「ごめん、でも……俺がいっしょに行きたいのは逢沢なんだよな」
「蓮くんは朱里のこと嫌いなの?! 朱里より悠莉ちゃんがいいの……?」
「それは、」
「蓮くんのばかぁ……」




 泣きじゃくる朱里。
 きっとこれは朱里の計算なんだろうけど、大誤算だと思う。



 しつこくて急に泣き出す女って、一番嫌われるタイプなのに。




「……ねえ、いい加減諦めたらどう? 蓮くん狙いなの丸わかり、キモイんだよブス」




 朱里は泣きながら教室を立ち去るふりをして、わたしの耳元でそうつぶやいて言った。




 わたしがあんなやつにブスって言われる筋合いない。
 そんなことわかってる。




 なのに、





「朱里っ」





 朱里を追いかけた蓮くんの背中を見つめて、ものすごく胸が苦しくなった。




 可愛くなっても無意味なんだ。
 性格が良くても無意味なんだ。




 どうしたら蓮くんは振り向いてくれるの?




 悔しくて、気づいたら涙があふれてた。




「悠莉ちゃん?!」
「逢沢さんどうしたのっ?」





 クラスのみんながざわめいてわたしを心配する。




 心配なんてそんなのいらない。
 蓮くん以外の心配なんて意味がない。





「……ごめんね、大丈夫。ちょっと具合悪いから保健室行ってくるね」




 ついていこうか?、と声をかけてくれた子もいたけど断ってしまった。
 だってわたしが行く場所は保健室じゃないから。




 すれ違い様にさり気なく朱里に渡された紙に、三階の女子トイレで待ってると書いてあった。




 素直についていくってわけじゃないけど、ちゃんと立ち向かいたい。
 そう思って、重い足取りでゆっくりとトイレに向かった。




     (きる)





 かなりぐだぐだなお話だしタイトルどうでもよくなってます←
 許してねてへ←

130ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/23(日) 12:30:01 HOST:EM117-55-68-24.emobile.ad.jp







   ( 放課後の教室で、 )





 わたしは君が好きで、
 君はあの子が好きで、
 あの子は君が好きで、




 いらないのは誰ですか?




     ×




「ねえ奏汰ー」
「んー?」



 英語の課題未提出で居残りを食らったわたしと奏汰。
 二人しかいない教室には放課後特有の不思議な雰囲気が流れていて、わたしは流れに身を任せてぽつりと言った。



「好きだよ」



 ふいに言ったその言葉で、プリントに英文を書いていく奏汰の手が止まるのがわかった。



 あ、わたし振られる。
 本能的になんとなくわかってしまったから、へらりと笑って誤魔化してみた。




「何真に受けちゃってんのー、嘘に決まってんじゃん」
「ちょ、吃驚させんなよ」
「ばーか、奏汰が皐月ちゃんのこと好きなのくらいみんな分かってるってば」




 皐月ちゃんが奏汰の好きな人って結びついたのは思いのほか簡単だった。
 女子があんまり好きではない奏汰が自分から進んで話しかけに行くめずらしい女子の一人だし。



 それに何より、皐月ちゃんと話している奏汰の表情はそれは優しげで特別なものだったから。




 勝ち目なんてないってわかっていても、
 奏汰を好きでいたいと思う気持ちのほうが大きいんだ。




「皐月ってさ」



 奏汰が英文を書く作業をやめて、楽しそうに笑って話し始めた。



「素直で健気ってイメージだったんだけど、喋ってみたら全然違くてさ……なんかすげえ素直じゃなくて強がりなんだよな」




 やめてよ。
 そんな楽しそうな、特別な顔して皐月ちゃんのこと話さないで。




「そんなとこに惹かれて、いつの間にかすげー好きになってた」




 そんなのわたしに言わないでよ。
 わたしは奏汰が好きなの、大好きなの。





 ねえ、気づいてよ。





「……里乃?」




 奏汰が不思議そうに、俯いたままのわたしの名前を呼んだ。
 



「奏汰ってほんと馬鹿、鈍感」
「え?」
「人の気持ちに気づけないくせに自分の気持ちばっか押しつけないでよ」




 戸惑う奏汰。
 それもそうだよね、馬鹿なのはわたしだ。





 でも。



 この状況に耐えられなくて、課題のプリントを放置して鞄だけ持って急いで教室を出た。




「里乃!」




 後ろからわたしの名前を呼ぶ奏汰の声なんて聞こえない、






 聞きたくない。





   ( つづきます )

131ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/23(日) 13:11:22 HOST:EM117-55-68-24.emobile.ad.jp







   ( 放課後の教室で、 )






「あ、里乃ちゃんだー」




 課題を提出しないまま校内から出ると、下駄箱の近くに皐月ちゃんが立っていた。
 おそらく今一番会いたくない相手であろう皐月ちゃんに、何故かわたしは冷たい態度をとってしまった。




「今急いでるから、ばいばい」
「奏汰に振られたの?」




 くすっと鼻で笑うような調子で皐月ちゃんが聞いてきた。
 出た、皐月ちゃんの女子にしか見せない本性。




「まず告白してないし」
「残念だねーっ、奏汰はあたしのことが好きなんだっけ」
「……告白されたら付き合うの?」
「うん、まあ来る者拒まずだしねー」




 そんなのやめてよ。




「いい加減な気持ちで付き合うのはやめてよ」
「別にそんなのあたしの勝手じゃん」
「そうだけど……奏汰には幸せになってほしいの」
「そういう偽善者マジうざい」




 思わず泣きそうになった瞬間。
 後ろから、大好きな人の声が飛んできた。




「皐月、やっと本性を現したなー」




 にこっと笑った奏汰の顔。
 もしかして奏汰は皐月ちゃんの本性に気づいてた……?




「奏汰、あたし……里乃ちゃんに言わされてただけなの」




 泣き落としかよ。
 そんなツッコミもどこへやら、奏汰は笑って言った。




「はいはい、面白くない冗談はいいからさ……里乃、行くよ」
「う、うんっ」




 戸惑いながら、奏汰についていった。
 行き先は、さっきの教室。






     ×




 夕日に照らされた教室は、やっぱり放課後独特の不思議な雰囲気が流れていた。
 そしてわたしはきっと、これから奏汰が言う言葉を予想していたように思う。




「俺、里乃のことが好き。付き合ってくれませんか?」




 恥ずかしそうに微笑む奏汰。




「お願いしますっ」



 わたしも泣きながら微笑んだ。






 放課後の教室が、わたしたちを結んでくれました。
 大好きだよ、奏汰。




     fin.





 駆け足でごめんなさい!
 そして雑でごめんなさい!


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