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僕のアメリカ生活

1ゴミ:2011/12/16(金) 23:59:47 HOST:p6786fe.hkidnt01.ap.so-net.ne.jp
のろのろ続けていけたらなあと思います。
宜しくお願いします!

2ゴミ:2011/12/17(土) 00:11:51 HOST:p6786fe.hkidnt01.ap.so-net.ne.jp
それは突然の出来事だった。
特に成績が悪いというわけでもなく、良いわけでもない。
スポーツが得意ってほどでもないし、勿論モテない。

友人たちと毎日ふざけながら、それなりに楽しくやれればいいかななんて考えていた。
だが、そんな考えもあっさりと打ち砕かれてしまった。







朝日が僕の部屋に差し込んできた。カーテンを開けたまま寝てしまったのか、明るくて目なんか閉じてられない。
僕はのっそりと起き上がり、目をこする。部屋を見渡すと、ダンボールだらけだった。

「は…?」

ダダダダという音を立てながら階段を下りる。リビングを見ると、父さんと母さんが食卓にいた。
「おはよう、礼人 いい朝ね!」
「あ、あぁおはよ…じゃなくて、ここどこさ!?」
そう、僕がいたのは見慣れない家だった。前にいた家より異様に広くて、少し戸惑った。

「何って、アメリカだろ、今日からはアメリカで生活って言ったじゃないか」

父さんが不思議な顔をして俺に言った。
そうだった、どうりで父さんがアメリカに転勤することになった夢を見たわけだ。
...いや、夢じゃなかったんだった

「学校は地図でも見て行ってね」
「母さんは相変わらずおおざっぱだね」

僕は皮肉まじりに笑った。
「早く学校に行った方がいいぞ、もう8時15分だ」
「えっ!?」

早く言えよこのクソ親父!僕は地図とリュックを持って、家を飛び出した。

3ゴミ:2011/12/17(土) 00:42:26 HOST:p6786fe.hkidnt01.ap.so-net.ne.jp
外に出て、リュックを背負い地図片手に俺は走った。
転校初日から遅刻ってどこの漫画だよ、高校生にもなって俺は何やってんだ!

だが見慣れない風景。それに加え僕は方向音痴なんていうなんて不運の人間なんだろうか。
回りにいるのは外国人。英語はわかるが、話しかける勇気なんて僕にはなかった。
とりあえず、行けるだけ行こう、
僕はキョロキョロとあたりを見回しながら学校に向かった。











「じゃあ、貴方はこのクラスね」
「はい」

先生に誘導されて、1年生の教室に入る。アメリカについてなんて僕は全くと言っていいほど知らないし、
アメリカよりもヨーロッパに関心があったせいかアメリカの歴史(といっても浅いけれど)などは興味すら沸かなかった。
両親からも学校についてほとんど知らされていないし、「そのうちわかる」としか言われなかった。
母に関しては昔アメリカ、カナダと住んでいたらしいので一応信用はしてみたが....

俺はクラスに足を踏み入れ、挨拶をした。
「日本から来ました、山本礼人です よろしくお願いします」

クラス中がシーンとなる。僕が入る寸前まで結構な騒ぎ声が聞こえていて、悪ふざけをしていたようだった。
それに誰も制服を着ていない。さっき廊下で見かけた子も着ていなかった...ええと、制服がないのか?

「何が好きなんですかー?」
馬鹿にしたような声が飛んでくる。どこからか「ジャップ!」という声さえ聞こえたが、そこは無視して
「あー、読書とか...」と苦笑いしてみせた。
するとなぜかクラス中が大爆笑。...何だこいつらは!

「あのメガネの子の隣に座って、早く!」
先生にそういわれ、金髪で背が180くらいあり、ヒョロっとした赤メガネの男の隣に座る。

そのメガネは右隣で、左隣の女子の茶髪が「ねぇ、あんた小学生じゃないの?」と言ってきた。
「高校生ですよ?」僕が恐る恐る言うと、また馬鹿にしたようにドッと爆笑する。
何が何だかよくわからないが、馬鹿にされているのだけはわかった。

「あの、僕はアルフォンス・フォラール」
隣のメガネが話しかけてきた。何となくいい人そうだな、と思い「良い名前だね」と言った。
「ありがとう、レイト、キミも良い名前だ 僕のことはアルって呼んでくれよ」
「宜しく、アル。ところでこの人たちは何なんだ?」
僕は多分アルはクラスメイトの仲間ではないだろうと雰囲気から察し、アルに耳打ちした。

「こいつらは最低な奴らさ、僕なんかいっつも...」
興奮したのか立ち上がり、大声でそう叫ぶ。すると一人の男子生徒がアルにジュースを投げつけた。
ビシャっという音がする。クラスにはまた大爆笑がおこり、そんな光景を先生は無視して授業を続ける。

アルは無言で座り、「...僕はいじめられてる」と言った。
「あー、…でも僕が友達だよ」
僕は何とかならないかと苦笑いする。正直ここまでオープンなイジメは初めて、しかも戦先生までこれだ。

「本当かい!?」
アルはまた立ち上がる。次はアルの顔にシェイクが飛んできた。

4ゴミ:2011/12/17(土) 01:22:22 HOST:p6786fe.hkidnt01.ap.so-net.ne.jp
「気分が悪い、図書室にでもいかないか」
休み時間になって、アルがそう誘ってきた。こっちでは初めての友達だ。
「嗚呼」僕はそう言い、アルと図書室へ向かった。

「僕はいじめられてる、それは何故か?ギークだからさ」
全く誰もいない図書室だった。なぜかしらないがアルは語りだす。
「ギークだからって、僕の何が悪いって言うんだ!」
「そうだ、僕は悪くないさ、あいつらがいっつもいっつも...」
アルはガンッ、と本棚を蹴る。すると上から数冊の本が落ちてきて、アルの頭にあたった。

僕はそれが原因じゃないのか、と思いながらも「大丈夫?」と手を差し出した。
「僕に手なんか貸さないでくれ、僕は一人でできる」
僕の手を振り払ったアルは、自分で立ち上がろうとよろめいた。その瞬間、もう一冊上から落ちてきた。
アルはまた倒れる。

「アル、キミって本当にアメリカ人?」
「フランス人さ。よくわかったね、そうさ、僕はあんなやつらとは全く違う!」
僕が手を差し伸べると、今度はしばらく僕の手を見つめてから嫌そうに手を借りて立ち上がった。

アルはよくまあここまで、と言っていいほどのフランス人の【悪いところ】だけを集めたような性格だった。
「ただ僕が授業中によく立つくらいで...」図書室は嫌になったのか、廊下に出たアルを追って僕も出て行く。

「そうだアル、キミってギークなんだっけ?」
「あぁ、根っからのね、日本ではオタクっていうんだろ?」
「まあそんな感じかな」
「僕は君が来たとき運命を感じたよ、だって日本人だよ?アニメが沢山あるじゃないか」
「まあ僕はギークじゃないから知らないけどね」

アルはもったいない、と隣でわめいていたがそんなのは気にしなかった。
「外も見てみたい」と僕は言うと、アルが「案内する」と学校の校庭に連れて行ってくれた。
二人でそこにあるベンチに座って休憩していると、「おい」と上から声がしたので見上げてみた。
そこには数人の強そうな男たちと、やけに体格が良いボスのような男が立っていた。

5ゴミ:2011/12/17(土) 01:22:33 HOST:p6786fe.hkidnt01.ap.so-net.ne.jp

「何ですか」
僕は自分の中ではよくやった、と栄誉賞をあげたいくらいの勇気をふりしぼって言った言葉だった。
声が震えているのはまあ仕方ない事として。

「お前、朝の日本人だろ。そんな奴と一緒にいたらお前もいじめるぜ」
「そんな奴だって!?」
面倒くさいことに、アルはキレたらしい。思わず立ち上がった。

「あぁ?うるせえよ!」
「ジョーンズ。僕は日ごろから思っていたけどね、キミのその髪色!
ピンクを少しいれるなんてどうかと思うぜ、ダッサいったらないや!」
何だかしらないがアルは威勢だけは良いようだった。...悪い意味で。

「ふざけんじゃねーぞ!」
バコッ、と鈍い音がした、僕は思わず目をそらす。「次刃向ったら半殺しだからな」ジョーンズたちは去って行った。
僕がゆっくり目を開くと、アルは倒れていた。「ア...」僕が声をかけようとすると、
「やだ、どういうことよコレ!」という甲高い声が聞こえてくる。
赤毛のロングの女の子が走ってきて、アルを見て「あーあ…」と呟いた。

「あの、さっきジョーンズ達に絡まれて」馴れ馴れしくジョーンズと呼んだが、彼らはいないし良いだろう。
「ひどいわね、保健室に...あら、貴方見かけない顔だけど」
「あ、今日転入してきた礼人、っていいます」
「そう、私はベラ・アーロン。亜細亜人?」
「はい、日本人です」
「そうなの、私はイギリス人なのよ、留学中。貴方も?」
「いえ、家の都合で...」
「さっさと僕を保健室に運んでくれないか」

アルが起き上がって言う。「あらごめんなさい、立ち上がるくらい元気じゃないの」
「あれ、キミはいじめられてる子じゃないか」アルがキョトンとして言う。
「失礼ね!私にはベラ・アーロンという名前があるのよ、それに貴方だってギークだしいじめられてるでしょ!」
「ギークは関係ないだろ、これだからイギリス人は...まあ君はイギリス人にしては良い歯並びだね」
「イギリス人を馬鹿にしてるのね!?変人なフランス人さんは友達もいないくせに!」
「僕には礼人がいる、君はどうだ、いるのか!?」

僕は「あの」と割って入った。
「そろそろ教室に戻った方が良いかと」

「全く、ベラ・アーロンもジョーンズもロクでもないやつだ!」
「ベラさんは学校で有名なの?」
「嗚呼、Eクラスの連中にいじめられてる、いや、全校生徒からね」
「なんだ、隣のクラスか」
「顔も合わせたくない!」

僕は笑うとさっきのピンク色の...ジョーンズがこちらに向かってズンズン歩いてきた。
僕たちは危険を察し、急いで教室に飛び込む。
だがそれも間違いだった。教室の連中は皆いじめっ子だったのを忘れていた。

「おい、そこのジャップとギーク」
この時、もう全力で土下座をするしかないと思った。
ジョーンズさん、さっきはごめんなさい!と。


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