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蝶が舞う時… ―絆―
345
:
燐
:2012/01/13(金) 13:59:36 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
それから憐の棺は火葬場に運ばれた。
憐の親戚の人達が次々と火葬場に足を運んでいく。
私はそれに紛れて火葬場に向かう。
私は必死に涙を堪えて火葬場に向かった。
火葬場は葬式場の隣にあり、私は玄関から静かに入った。
「大丈夫か?」
誠が私の肩に手を置く。
「うん…大丈夫。心配してくれてありがとう…。」
そう言った瞬間、目に溜まってた涙が一気に溢れ出した。
「ずっと我慢してたのかよ…。はぁ…。」
誠は呆れた顔をして私の目元についている涙をそっと右手の人差し指で拭き取る。
「我慢してないよ…。憐をちゃんと見送ったらちゃんと泣くから…。」
私はそう言って誠の身体に抱きついた。
「…もう泣いてんじゃねーか…。…俺だって悲しいんだよ…。
憐は俺にとって初めての男友達だったんだからな…。
たださ…泣いてたら憐も喜ばないだろ?こんな時だからこそ笑うもんだって
夜那が教えてくれただろ?」
誠は泣きながらも笑顔で言った。
「そうだよね…。ごめんね…?憐を見送る事が先決なのにね?
行こっ?憐の所に…。」
私は誠の身体から離れて誠の腕を引いた。
346
:
燐
:2012/01/13(金) 14:22:05 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
「そうだな。」
誠は笑顔で返す。
私と誠は笑顔で憐が居る所に向かった。
憐の所に向かうと、ちょうど棺が窯みたいな所で焼かれる所だった。
親戚の人達が2、3人集まっていた。
その親戚の人達の中の一人が私の所に寄ってきてくれた。
「月隠夜那さんですよね?今まで憐君と仲良くしてくれてありがとう。
きっと憐君喜んでいるわ。本当にありがとうね。」
その人は深く頭を下げた。
「いえ…私こそ憐と出会えて本当に良かったって思ってます。
わざわざ礼を言ってくださってありがとうございます。」
私も深く頭を下げた。
そう言った直後、憐の入った棺は窯の中に入れられ、銀色の蓋がそっと閉められた。
「バイバイ憐…。私は貴方に出会えて良かったです。」
私は静かにそう呟いた。
347
:
燐
:2012/01/13(金) 14:58:03 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
それから30分後。
窯の蓋は開いて、白い骨だけになった憐が居た。
「夜那ちゃん。この袋に骨を詰めて?夜那ちゃんと誠でやった方が憐君も喜ぶと思うの…。」
誠のお母さんに言われ私は泣きながらお骨用の袋に手で骨を入れる。
ポタポタと大粒の涙を零しながらお骨を袋に入れる。
一個一個の骨に重みを感じる。
温かさも…感じる。
「憐…。私の傍にずっと居るよね?これからも見守っていてね。」
私はそう呟くと、誠が私の身体を抱き寄せた。
「…憐の為にも生きなきゃな。」
誠は笑みを浮かべて言った。
「そうだね…。」
私はお骨用の袋の紐を縛り、手に持った。
この袋を持っているだけで憐が隣に居るような気がして嬉しかった。
憐の骨は親戚の人達と私と誠に分けられた。
私は強く袋を抱き締めて、背を向けて駆け出した。
「夜那!」
後ろから誠の声が聞こえたけど私は振り返らなかった。
348
:
燐
:2012/01/13(金) 16:05:31 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
「憐…。」
私は無意識に憐の名前を呼んだ。
憐はもう居ない。
私…何やってんのかな?
きっと誠が居なかったら今頃私も死んでたな…。
「夜那…!」
その声に私は掌を握り締めた。
振り向きたくなかった。
でも身体がふいに動いてしまって振り返ってしまったんだ…。
「…どうしたの?」
「どうしたの?じゃねーよ!…辛いからあの場から逃げたのか?」
誠の言葉に私は笑顔で返す。
「ううん。そんなんじゃない。声が聞こえた気がしたの。
“玄関に来て”って声が…。空耳かもしれないけど…その声で目が覚めた気がした。
何時までも泣いてちゃ憐に悪いし…。」
「そっか。憐ってさ…夜那にベタ惚れだったんじゃねーの?今思えばだけど…。」
誠はズボンのポケットに手を入れながら言った。
「ベタ惚れって?」
「辞書で調べろ。」
誠はそっぽを向く。
「ま、いいや。」
そう言った瞬間、誠の背後から声が聞こえた。
349
:
燐
:2012/01/13(金) 16:27:16 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
「2人とも帰るわよ!」
誠のお母さんに呼ばれ、私は誠の手を握って駆け寄る。
「夜那ちゃんは何時まで経っても真面目ね。それに比べて誠は…。」
誠のお母さんは呆れた表情をする。
「悪かったな。不束者で。」
誠は不機嫌そうに言う。
「あら良く分かってるじゃない。さ、家に帰りましょうか。」
「母さん…。今一瞬逸らそうとしただろ?バレバレなんだけど。」
誠は息を吐いて言った。
「母さんって…昔から嘘とか下手だったよな。まるで夜那みたいだな。」
誠は笑いながら言う。
「さ、夜那ちゃん。こんな不束者さんは置いといて帰りましょうね。」
誠のお母さんは笑顔で私の肩に手を置く。
「誠を置いていかないでください…。」
私は俯きながら答える。
「ぷっ…。夜那は真面目すぎるな…。あんなのジョークなのに簡単に信じまってさ。
やっぱ夜那は面白いな。」
誠は腹を押さえて笑っている。
350
:
燐
:2012/01/13(金) 16:57:45 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
「冗談ならもっとマシなのにしてよ…。」
私は怪訝な顔で呟く。
でもそれでもいいと思った。
いつもの誠だなぁ…って思った瞬間だった。
憐…。
ずっとずっと私の傍に居てくれるよね?
憐の黒い蝶も今は居ないけど…見かけたらちゃんと預かるから。
心配しなくていいよ。
私と誠と憐の絆はちゃんと私の心の中に刻み続けてるから…。
憐が此処に生きた証となってきっと死ぬまで残る。
それからネックレスと言うか…ペンダントもありがとう。
憐の形見として毎日見に付けとくからね。
本当にありがとう…。
私達3人の絆はこれからも続いていきますように―――…。
私はふと空を見上げた。
辺りはすっかり真っ暗になっていて空には星屑が散りばめられていた。
「夜那!そろそろ行くぞ〜。」
誠の暢気な声が私の耳に届く。
「うん!」
私は静かに誠の隣に駆け寄った。
絆…それが私の運命を大きく変える引き金となるなんて…。
今は知る由もなかった…。
To be continued…。
351
:
燐
:2012/01/13(金) 21:14:30 HOST:zaqd37c5e53.zaq.ne.jp
第2期は完結と言うか・・・第3期に続いてます。
第3期は・・・たぶん泣けます。
残酷なシーンが一部含んでいるんで・・・。
きっと私自身も書くのが辛すぎて一時期休むかもしれませんが・・。
最後までお楽しみください(-_-;)
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