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蝶が舞う時… ―絆―

132:2011/11/03(木) 09:21:04 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
私と誠は蝶の後を追いかけた。

青い蝶の行きついた先は――――…。


――――――…

「此処は…。現実?」

私は右目を右手の甲で擦る。

あの夢は肝心な所で途切れてしまう。

まだ真実を知ってはならない。っと伝えてるように思えた。

真実って…予知夢の真実?

じゃあの憐の別人みたいな表情は何だったの?

憐は二重人格とか…そんな所なのかな?

結構、願望強かったりして?

私はそんな事を頭で考えながら一人で悩んでいた。

「うーん。はぁ…。」

そんな声を漏らしながら誠は目覚めた。

「起きたんだね。誠。」

私は誠の顔を覗きながら言った。

「…ああ。さすがに寝起きはキツイ…。はぁ…。」

誠は上半身を起こして背中を壁につけた。

「憐の表情が別人だった。あれは本当に憐自身だったのかな?」

私は言った。

「さぁな。むやみに聞くのはあまりいけねーと思うが…どうする?」

誠はあぐらを掻いて言った。

「今の所…様子を見ようと思う。憐は私の大切な友達ながら。
 何かに悩んでいるんだったら絶対助ける。そう決めたから!!」

私は立ち上がって胸に手をあてて言った。

「……そうか。明日から頑張れよ。」

誠は私の頭を撫でて立ち上がった。

133:2011/11/03(木) 09:22:38 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
訂正です。

夜那の言葉に「大切な友達ながら」の「な」を「だ」に

変えておいてください。

宜しくお願いします!!

134:2011/11/03(木) 09:47:21 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「うん!!」

私はそう言うと私の部屋の扉がノックされた。

「はい…。どうぞ。」

私は言うと扉が開いた。

「夜那ちゃん。今日は隣の夜霧さんの家庭と歓迎会をするんだけど…
 準備を手伝ってくれないかしら?」

赤のギンガムチェックのエプロンをした誠のお母さんは言った。

憐は家に来るの?

普通に接して居れば大丈夫だよね?

私はそう思った。

「じゃ手伝う。誠も手伝ってよ。」

私はそう言って誠の服の袖の裾を引っ張った。

「いいけど…。何手伝えばいいんだ?」

誠は尋ねた。

「とりあえず誠には料理を手伝ってもらうわ。結構料理は得意でしょ?」

誠のお母さんの言葉に誠は動揺した。

「…得意じゃねーよ。別に……。」

誠はつい顔を逸らす。

「あらあら。照れちゃって。夜那ちゃんと共同でやりなさいよ。」

誠のお母さんの提案に私と誠はもちろん賛成した。


そして私と誠は2人で階段を下りてリビングに向かった。

部屋の飾りつけもちゃんとして、これで準備は万端だった。

それから1時間後―――…。

リビングのテーブルには数々の料理が並べられた。

中華系からフランス系まで。

まるで料理のフルコースみたいだった。

「これで終了。」

誠は最後の料理を皿に入れ、テーブルに運んだ。

「凄い…。何かとても豪華……。」

私は驚きながら関心した。

135:2011/11/03(木) 13:04:38 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「料理なんてやったの…半年振りだし…。手が鈍ってないのが幸いだった。」

誠は私にグットサインをしながら言った。

「凄いね誠は。私には一生出来ない事だよ。料理だって少し手伝うぐらいしか出来ないし…。
 そんな人が私の好きな人で良かった。」

私は満面の笑みを浮かべて言った。

「…っ。。そうか…。今日は俺の自信作ばっかだから好きなだけ食べろよ!」

誠は着ていた黒のエプロンを外しながら言った。

「でも今日は歓迎会だから…そんな張り切って作ってよかったのかな?」

「良かった。って思っておけばいいんじゃね?そんな事より憐の事をよく観察しとけよ。」

誠は言った。

「分かってるって。それぐらい。でもそれってある意味調査の一環みたいな物なの?」

私は言った。

「そう言われてみればそんな感じだな。でもこれってストーカー行為に当たらねーか?」

誠は笑いながら言った。

「当たらない当たらない。そう思っとけばいいって。」

私も笑いながら言った。

それから2時間後――――…。

憐は来ない。

誠のお母さんは憐の家に電話したが、不在だった。

「お母さん。憐は来ないの?」

私は聞いた。

「ええ。家に電話したけど不在みたいで。せっかく部屋の飾りつけもしたのに…。
 しょうがないわ。3人で楽しみましょ。」

誠のお母さんはそう言って椅子に座った。

「母さん…。父さんは?」

誠は尋ねた。

136:2011/11/03(木) 13:31:04 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「お父さんなら昼の仕事があるとかで出かけたわ。今日は残業するらしいの。」

誠のお母さんは悲しそうに言った。

「そうか。分かった。」

誠はそう言って椅子に座った。

何か深刻な悩みでもあるのかな。誠には…。

私の胸の中が急に痛くなった。

誠が遠くに感じる気がした。

私は…。誠にとって邪魔な存在?

その時。私の頭にお母さんの言葉が過った。

半年前…誠はアメリカに渡って私より特別な存在が出来たかもしれない。

その言葉が急に頭に入って来た。

特別…。

じゃ私は誠の特別な人じゃなかったのかな…。

もしそうなら私は消えなくちゃならない?

私はそれでも構わない。

誠が幸せになれるのなら私は…。

私は、手を握り締めて俯いた。

「…ごめん。ご飯はいらない。。」

私はそう言って泣きながらリビングを出て階段を駆け上がった。

下から誠の叫び声が聞こえてくる。

137ねここ ◆WuiwlRRul.:2011/11/03(木) 13:35:11 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp

ども、ねここですノ

久し振りに一気に読んだら凄く話しの内容に吸い込まれていく感じがしておもしろかったよ!
人の小説見るのもいいもんだと改めて実感したぜ(`・ω・´)←




で、ちょっと下に書くのはあんまり良い内容ではないからなんだけど…
小説じゃなく人間関係とかそっちの方の注意です^^;

燐が友達いっぱいいるのは凄く良くわかるし、燐ノリ良いし面白いし話してて楽しいんだけどね?
人のスレで関係無い話しするどうかと思うな;(どこのスレとはいわないけど)
たまーにそういう面が見られるから気を付けてね!


これからも頑張ってくださいノ

138:2011/11/03(木) 13:40:50 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
ねここ>>あ・・・それはたまにあるw

私の場合・・話し出すと止まらんタイプやしなw

妹にも言われたし・・・。

これからは気をつけます。

でもいざとなったらまた止めてください。

たまに暴走する時もあるんでw

139:2011/11/03(木) 14:03:20 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
振り向きたくない。

振り向いたら余計辛くなる。

ごめん。誠…。

私は自分の部屋に駆け込み、鍵をかけた。

此処から離れたくない。

私はポケットからケータイを取り出した。

すると“Eメール1件”と言う言葉があった。

私はそのメールを何気に見ると誠からだった。

「何ですぐ逃げるんだよ。悩みなら俺に相談しろって言っただろ?
一人で溜め込むな。」

と書かれていた。

「…私の事……嫌いなくせに。そんな言葉言わないでよ!!」

と私は誠に返信した。

その1分後。

誠からのメールの返事が来た。

私は少し戸惑いながらもメールの内容を見る。

「嫌いな訳ねーだろ!!お前…とうとう疑心暗鬼になりやがったか。」

140:2011/11/03(木) 14:08:19 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
コメします。

第2章は結構長いです。

ネタバレは一切なしです。

でも・・憐には悲しい過去があるので・・

その辺もご理解してください。←ネタバレやんw

一応・・第5章まであります。

続編なのに第1期より長くなってしまうかもしれません。

でも・・これからどんどんヒートアップしていくので

楽しみにしておいてください。

141:2011/11/03(木) 14:37:37 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「疑心暗鬼なのかな。。分からないよ。。」

と私は返信した。

そんなメールのやり取りを1時間以上もした。

142:2011/11/03(木) 15:03:40 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
メールだと自分の伝えられない事も話せるから気が楽だった。

「聞きたい事があるの。…半年前、誠はアメリカに渡ったけど
 そこで特別な人は出来た?」

そう送ると扉の向こうから誰かがこう言って来た。

「出来てねーよ。何心配してんだよ。」

その声に私は我に返った。

「そんな事。偽りに過ぎない。」

声の主はもう分かっていた。

私は扉に背をつけてため息をついた。

「偽りの訳ねーだろ。ったく…。話の飲み込めないやつ……。」

誠は言った。

「誠には分からないよ。私の気持ちなんて…。」

私は服の裾を強く握り締めながら言った。

143:2011/11/03(木) 17:06:57 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
どうせ私の気持ちなんて誰も分からない。

私は絶望のどん底に落ちそうな気分になった。

だから怖いんだ―――…。

私はそう心の中で叫んだ。

私はそのまま地面に縋りついた。

144:2011/11/03(木) 20:11:20 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
どうしても怖い。

また私はふきだしにに戻ったのかな?

弱い自分に…。

強くなるってあの時そう誓ったのに――――…。

約束を守れなかった。

貴方の約束を…。

私はこれからどうすればいい?

私の心を満たせる者は居るの…。

私は立ち上がろうとした。

でも身体に力が入らない。

駄目…。このまま意識を失ったらまた夢から出られなくなるかもしれない。

それは嫌だ……。

145:2011/11/03(木) 20:59:57 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
誰か助けて…。

誠でも誰でもいいか…ら。。

私は右手を伸ばした瞬間、意識を失った。

私が意識を失った瞬間、私の部屋の扉が開いたような気がした。


――――…

「夜那!!大丈夫!?」

誰かの声で私は目を覚ました。

「れ…ん?どうし…。」

私が上半身を起こすと、憐は正面から私を抱擁した。

「良かった。夜那が無事で…。これでやっと二人きりになれたね。」

憐は笑みを浮かべて優しく言った。

「えっ…あっ…。そうだね。。」

私は憐の背中を持った。

温かい。

私の心の中を優しく満たしてくれる。

そんな優しい憐が私は好きなのかな?

でもそれは友達として好きで…。

恋愛としては好きでもない。普通なのかも…。

「僕は夜那が好きだよ。愛してるとも言えるね。でも夜那は誠が好きなんだよね…。
 僕はそんな二人を応援するよ。」

憐はそう言って私を強く抱擁する。

「でも今日…誠と喧嘩しちゃったから。私は邪魔なのかもしれないの…。
 誠は私以外に特別な人が出来たかもしれない。それが怖くて…。」

私は頭を抱えながら言った。

「そうなのか…。でもそれってただの思い込みじゃない?僕はそう思うよ。」

憐は私の身体から離れ、そう言った。

「でも…怖いの。今だけ一緒に居させて…。憐。。」

私は泣きながら憐に頼み込んだ。

「夜那…。もう夜那を泣かせなくないよ…。」

憐はそう言って私の左手を自分の左手と絡めて、私の唇にそっとキスをした。

憐……。

私の心の中を満たしてくれるたった一つの望み。

どうしても憐の傍に居たかった。

忘れられない愛しさが込み上げてくる。

憐の唇が離れると、憐が照れた表情を見せた。

「ずっと傍に居たい…。だからこれからも……。」

私は涙を零しながら涙声で言った。

「ずっと居るよ。夜那の為なら死んだって構わないから…。」

憐はそう言うと再び私を抱擁してくれた。

もう決めたんだ。

誠とは縁を切ろうと。そう私は思った。

146:2011/11/03(木) 21:13:52 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「この夢が覚めてもずっと一緒に居てね。絶対…嫌いなんて言わないでね。」

私は憐の身体に顔を埋めながら言った。

「僕が夜那を嫌う訳ないよ。今なら言える? Je t'aimeって…。」

憐の言葉に私はそっと頷いた。

「Je t'aime…。それが私の気持ちだから……。」

私はそう言った。

憐の言葉には偽りなんてない。

憐に着いて行けば私は…楽になれる。

そう心から思っていた。

「現実でも貴方を愛してるから…。誠とはもう別れる。もう縁を切る……。」

私は操られているように言った。

「本当?それなら良かった。これからはずっと一緒だね。」

憐はそう言った。

「うん。」

私も笑った。

「…今日は此処でお別れ。また明日待ってるよ。じゃあね。」

憐はそう言って立ち去ってしまった。

それで良かったのかな…。

心に穴が空いたようにとても悲しい気持ちになる。

147明優:2011/11/03(木) 21:23:37 HOST:i114-185-33-87.s41.a005.ap.plala.or.jp
久々のコメント♪
最近来れなくて。。。
見る時間なくて悲しい(涙
見れないときもあるけど応援してます!

148:2011/11/03(木) 21:24:30 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
明優>>全然エエよww

この後の展開がガチでヤバイって言う・・・。

ありがとう。

嬉しい。

149:2011/11/03(木) 21:29:54 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
今日の更新はこれで終了です。

今回は10回以上更新したかな?

何か昨日・・更新あまり出来ないとか言いながらバリバリ更新できましたって

言う・・変な達成感が多少残ってますけど・・;

明日も夕方から更新したいと思います!!!

なのでお楽しみに(-。-)y-゜゜゜

150:2011/11/03(木) 21:34:13 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
※お知らせ※

前前のコメで・・ネタバレで一切なしと言う事が一応取り消しと言う

形でお願いします。

何か・・ネタバレ一切なしって言った直後からすでにネタバレが・・;;

それはあまりにもアレなので・・・。

少しだけネタバレを更新していく事にしました。

と言っても公開出来る範囲だけですが・・・。

ま、何はともあれ今後とも「蝶が舞う時に… ―絆―」をよろしくお願いします!!!

151ねここ ◆WuiwlRRul.:2011/11/03(木) 21:45:45 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp

うあ、今日二回目のコメントです。
何回もごめんね!でもあまりにも早くコメントしたくて(´;ω;`)
言い訳にしかならないry←


燐にねここが注意したあと、すぐ直してくれて嬉しかったです(´;ω;`)
何だか注意したねここに罪悪感がry
ありがとね(`・ω・´)!

そしてお知らせのこと、了解ですノ
ネタバレ大歓迎なねここって一体ww

たくさん更新お疲れ様!
これからも頑張ってね^^

152:2011/11/04(金) 14:05:29 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
私はしばらくその場で佇んでいた。

本当にこれで良かったのかな…。

誠は…どうなるの?

そんな気持ちが私の心の中に残った。

…そんな事。考えるな。

自分で決めた事なら実行に移すのみ。

私は地面に仰向けになり、目を瞑った。


――――…

「はぁ…。複雑……。」

私はそう呟きながら天井を見上げた。

誠と別れる。

私の心を満たせるのは憐だけなんだ。

私は服の胸の辺りを右手で握り締めた。

誠に何て言えばいいのかな…。

そう思っただけで身体が熱くなる。

「夜那。」

その声に私は慌てて首を横に動かした。

「誠…。話があるの。。」

私はゆっくりと立ち上がり、俯きながら言った。

「何だよ。いきなり。」

誠は聞いた。

「あの…。私と別れてほしいの。もう誠とは一緒に居られない。」

私がそう言うと誠は激怒した。

「何でだよ!!?お前は俺が嫌いなのか!?だから別れるのか!!?」

誠は怒り顔で言った。

「そ、そうじゃなくて…。私の心を唯一満たしてくれるのは憐だけだから。
 誠…本当にごめん!!」

私は頭を下げた。

153:2011/11/04(金) 14:34:11 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
ねここ>>

エエよwそんなん気にせんでもさww

気楽にいこーぜいこーぜwwみたいなw←何だよそれw

罪悪感とか気のせい気のせいww

ネタバレ大歓迎なんかw

よっしゃw

ねここの為にも頑張るぜw

154:2011/11/04(金) 17:17:59 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「ったく…。勝手にしろ!!」

誠はそう言って私を睨み、部屋を出て行った。

ごめん。誠…。

私はその場で地面に座り込んだ。

155:2011/11/04(金) 19:22:49 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
私と誠はあの日以来、目を合わしていない。

まるで疎遠してしまったみたいな気持ちを味わった。

そんな日々が1週間を過ぎようとしていた。

憐は毎日家に遊びに来る。

それは嬉しかった。

気まずい日々でも憐の笑顔を見れば頑張れた。

そんな某日。憐はまた私の家に遊びに来た。

明後日には正月に入ろうとしていた頃だった。

私は今、憐と一緒に自分の部屋に居た。

憐には全て事情を話し、理解してもらえていた。

事情を話した時は、凄く喜んでいた。

そんな憐を見れてとても私は嬉しくなった。

「憐…黒い蝶の事を教えてほしいの。」

私は泣きながら言った。

「いいよ。教えてあげるよ。何から教えて欲しい?」

憐は聞いた。

「何で黒い蝶なの?蝶は人の闇で黒く変色する。それは悩んでいる事がある証拠。」

私は肩を落として言った。

「それは…その…。あるのはあるけど……。個人情報だから。」

憐は戸惑いながら言った。

「そう…。」

その時。私の扉が開いた。

出てきたのは誠だった。

「誠…。」

私は視線を逸らして言った。

「夜那。もうこれ以上調査しても無駄だ。一応、情報は取れたと言う所か。」

誠は薄く笑って言った。

「そう…はぁ…。長かったな。この芝居。」

私は立ち上がって言った。

「ど、どう言う事…。僕を騙してたの…?」

憐は震えながら言った。

「…うん。。ごめん。人を欺くにはこの方法しか無かったから。
 蝶の謎と予知夢の謎は未だに分からないけどいつか解いてみせる。」

私は憐の正面でしゃがみ込んで言った。

「…。今日はもう帰る。この事は絶対許さないから。」

憐は強く私を睨み、私の部屋を出て行ってしまった。

156:2011/11/04(金) 19:41:30 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
「もう少しで蝶の真相が解けるはずだったのに…。演技力が足りなかったのかな?」

私は言った。

「そんな事ないと思うけど…。寧ろバレるかと思って冷や冷やしてたがな。」

誠は笑いながら言った。

「そう?でも憐には酷い事しちゃったな…。」

私は俯きながら答えた。

「…んな事。。気にすんなよ。それより夢の件はどうするんだ?」

誠は右手で頭を掻きながら言った。

157:2011/11/04(金) 19:57:15 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
今日の更新は終わりです!!!

何か・・変な展開ですみません><

努力してるつもりなんで・・先に謝っておきます。

そろそろ第2章は短いので・・・。

もうすぐで終わりです。

ではでは、引き続きお楽しみください!!(p_-)

158:2011/11/05(土) 13:51:10 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
「まだ真相を知ってはいけない気がする。あの夢は肝心な所で途切れてしまう。
 それは、きっと私に何かを伝えてる気がするの。」

私は言った。

「真相はまだ闇の中か…。ますます謎が深まるな。アイツには深刻な理由が
 あるんじゃねーか?」

誠は真剣な顔で私に言った。

「深刻な理由って例えば?」

「それは分かんねーけど…。知って欲しくない事とか…そんな所じゃね?」

誠は腕を組みながら言った。

「うーん。ま、いっか。いつか分かる事かもしれないし。」

私は地面に仰向けになって目を瞑りながら言った。

「夜那。」

その声に私は目を開けた。

「ひっ…。ど、どうしたの!?」

誠は私の左手首を掴んでいた。

「……っ。。」

誠は私の右肩に顔を埋めた。

「……。」

私は無言で誠の頭を撫でた。

「誠の心を満たすのは私なの…?」

私は天井を見上げてそう呟いた。

「…そうだよ。だからお前と憐が一緒に居ると胸が引きつるような痛みに
 襲われるんだ。」

誠は涙声で言った。

「…そうなんだ。私の心を満たす者は居ないかもしれない。分からないんだ…。
 ただ悲しいんだ。」

私は目から溢れる涙を右手の甲で拭った。

「俺だって悲しいさ。お前が泣いてる姿を見ると心が痛くなる。」

誠は私の肩から離れ、地面に手をついた。

「心が痛く…?私は誠の笑顔を見るたびに泣いてしまうから…。何か悩んでるじゃないかって。
 思ってしまうから…。」

私は泣きながら誠の頬に右手を当てた。

温かい…。

「これから私…誠を泣かせないから……。」

私はそう言って右手を添えてる頬にそっとキスをした。

どうしてもそれだけは言いたかった…。

悲しくても私はそう誓いたかった――――…。

私はそっと唇を離すと、誠は笑みを浮かべていた。

「これからも私の傍で笑っていてね。たとえ悲しくても苦しくても
 私と誠となら乗り越えていけるから…。」

私はそう涙を流しながら言った。

「…ああ。それからも宜しくな。」

誠は笑い顔をして私にそう言った。

159:2011/11/05(土) 13:54:03 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
訂正です。

誠の言葉に「それからは宜しくな」とありますが・・

「それから」の「そ」を「こ」に変えてください。

最近・・訂正ばっかですみませんm(__)m

後、160レスには書き込まないでください。

160:2011/11/05(土) 13:56:19 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
コメします。

第2章はこれで終わりです。

で、第3章に突入します!!!

第3章はたぶん長いと思います。

第1期より第2期の方が短くてすみません・・・。

何か展開も早くてすみませんm(__)m

でも、これからも頑張っていくので宜しくお願いします!!

161:2011/11/05(土) 14:32:49 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
episode.3 約束

心の痛みが和らいでいく。

「何か安心した。」

私は立ち上がって服についている汚れを両手で取りながら言った。

「そうか?夜那がそう思ってるだけじゃね?」

誠は呆れた顔で言った。

「そうなのかな?て言うか今、馬鹿にした気がするんだけど…。」

私は誠を睨みながら言った。

「気のせい気のせい。」

誠は笑いながら誤魔化した。

162:2011/11/05(土) 20:54:10 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
第3章スタートしました!!!!

名前は「約束」ですね。

たぶん・・誠さんの出番は少ないかもしれません。

(もしかしたら多めかもしれない・・)

憐さんの過去が明らかになる第3章だと思います。

ではでは。明日書きます。

今日は寝ます。おやすみなさ〜い(-。-)y-゜゜゜

163:2011/11/06(日) 09:33:24 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
「今、誤魔化したでしょ!!」

私は誠に指を指しながら言った。

「誤魔化してねーよ。」

誠は目を逸らして言った。

164:2011/11/06(日) 17:07:48 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
「絶対誤魔化した。私には分かる。」

私は誠のおでこにデコピンをした。

「いたっ…。地味に痛いぞこれ……。」

誠は右手でおでこを触る。

「ならもっとしてあげる。」

私は誠のおでこに2発デコピンをした。

「止めろ止めろって…。」

誠は笑いながら言った。

私はそんな誠の笑い顔が見れて嬉しかった。

165:2011/11/06(日) 21:14:29 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
今日の更新は2回だけです。

少なくてすみません。

明日は3回以上更新します!!

166:2011/11/07(月) 19:32:49 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
※お知らせ※

最近・・蝶の方を書く気になりません。

ネタはあるんですが・・・。

やる気が失せるというか・・。

なのでしばらくお休みさせていただきます!!!

ま、書く気になったら書くのでその時はまたよろしくお願いします!!!

167そら ◆yC4b452a8U:2011/11/08(火) 18:26:45 HOST:p180.net112139158.tokai.or.jp
燐の小説面白いノノ
Σえぇえ??しばらく休みになっちゃうのか‥。トホホ‥(←

168:2011/11/08(火) 18:29:49 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
そら>>そうなんさ・・。

最悪なんや・・←

いや・・・今、別の掲示板で小説を書き始めたからさ・・;;

169そら ◆yC4b452a8U:2011/11/08(火) 18:36:33 HOST:p180.net112139158.tokai.or.jp
そっか‥oyz
お疲れちゃん‥←
>燐

170:2011/11/08(火) 18:37:13 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
そら>>うんw

しかも短編って言う・・・。

171:2011/11/09(水) 17:06:54 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
※お知らせ※

復活です!!!←案外あっさり。

やっと短編の方が書き飽きたので・・・こっちの方も更新しますw←今からではないよw

最近・・第1期の方のエピローグも書いているのでそこも要チェックです!!w

172ゆめ:2011/11/10(木) 17:04:59 HOST:p2152-ipngn100102niho.hiroshima.ocn.ne.jp
来たよ〜←
ゆめも描こうかな〜って気になった♪

173:2011/11/10(木) 17:06:46 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
ゆめ>>おお!!!

久々やんかw

此処ではやけど・・・。

まさか私の小説見たんか!!?

174:2011/11/13(日) 12:47:06 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
少しお休みしますw
では。

175:2011/11/16(水) 17:29:44 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「はぁ…。いじるのやめた。」

私は立ち上がって、窓から景色を眺めた。

「お前もSだな。俺と一緒だな。」

誠は少し馬鹿にしたように言った。

「あーそうですか。私はどうせSですよ!!」

私はそっぽを向いて言った。

「何だよ冗談半分に言ったのに、本気になりやがって。」

誠は不機嫌そうに言った。

「別に本気になってないし。話逸らすけど、憐は…また私の所に現れるよね。
 真実と向き合う事がこんなに辛い。」

私は俯きながら両手を握り締めた。

「…そうだな。そこは辛抱しなきゃいけねー所かもな。」

誠は私の横に来て、背中を壁に貼り付けた。

「でももう迷いはないって決めたから。辛いけどもう少し我満すればきっと
 真実に近づける。深刻な理由も分かる。」

私は真剣な顔で正面見て言った。

両手の震えが止まらない。

怯えている。と言う事は分かっている。

これが私の弱さかもしれないけど、その弱さに立ち向かう事も大事だ。

「誠…。着いて来て欲しい所があるの。」

私は深呼吸して言った。

「そこって…。憐の所か?」

「うん。真実に背いては駄目だから。直接聞きに行く。」

私はそう言って、クローゼットに向かい、黒いコートを取り出した。

「そうか。無理だけはすんなよ。いざとなったら俺が守るからな。」

誠はそう言って私にグットサインを出した。

「ありがとう。」

私はコートを着て、机の上に置いてあった白の手袋をはめて、手を右手を握り、目を瞑った。

憐…。

貴方が何を企んでいるか知らないけど、私は貴方に嘘をついてしまった。

私にとっては初めての嘘を、憐についてしまった。

どうしても情報が欲しかったから、そうしてしまった。

許されないかもしれない。

でも許されなくてもいい。

私は目の前の真実から逃げない。

今は一人じゃない。

一人で解決出来なかった問題も今なら出来るような気がする。

私の中で起こる予知夢と憐の真相を私がこの手で解明するまで絶対私は死なない!!

176:2011/11/16(水) 17:40:57 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
お母さん…。

見ててね。

幼い記憶はもうあまり残ってないけど…。

あの手紙を見た時は、少しだけお母さんの事は知れたような気がした。

お母さんの形見なんて物はもう何処にもないけど…。

空の向こうで見守っててね。お母さん。

私は目を開けて、大きく深呼吸した。

「覚悟はもうしてる。でも普通の覚悟じゃない。決死の覚悟だ。
 不安定な気持ちで行かれないから。十分な覚悟が必要。それを今、此処に誓ってたの。」

私は胸に右手をあてて言った。

「決死…か。俺もそんな覚悟がある。お前が危険な目に逸らされても俺が全力で守る。
 そうだろ?」

誠は明るく言った。

「そうだね。さ、行こう。憐の所へ。」

私はそう言って誠の右手を握って部屋を出た。

177:2011/11/16(水) 18:02:09 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
※お知らせ※

episode 3 は短くなる可能性大です!!

何か・・展開を早くしたいもんで;;

でも全力で頑張るのでこれからも宜しくです!!

178:2011/11/16(水) 20:51:35 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「ちょっと待て。俺も着替える。」

そう言って誠は自分の部屋の扉を開けて、閉めた。

数分後。

誠は毛皮コートを着て、出てきた。

「これで大丈夫だ。」

誠は私の右手を引き、階段を下りた。

階段を下りると、誠のお母さんと目が合った。

「あらこんな時間に何処行くの?」

誠のお母さんは洗濯物を両手に声をかけた。

「憐の所に行くの。でもすぐ済むから。」

「そういう訳で母さん。後は宜しく!」

誠は右手で敬礼した。

「そう。出来るだけ早く帰って来るのよ!!」

「おう!!」

誠と私は靴を履いて、家を飛び出した。

179:2011/11/18(金) 20:01:56 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
私と誠が家を飛び出すと雪が降っていた。

私は左手を握り締めて誠の腕を引き、憐の家まで走った。

真実を知りたい。

ただそれだけだった。

憐の家の前に着いた私と誠はインターホンを鳴らした。

でもインターホンを鳴らしても憐は出て来なかった。

「留守なのかな。」

私がそう言った瞬間、後ろから誰かに声をかけられた。

「夜那さん?夜那さんじゃないですか。」

私が後ろを振り向くと、憐の家政婦さんがバックを抱えて立っていた。

「貴方はたしか憐の家政婦さん…。」

私はそう言って軽く頭を下げた。

「憐は何処に居るんですか?」

私は尋ねた。

「…憐さんは今病院にいらっしゃいます。今日は月に1回の検査の日なので。」

家政婦はそう言った。

180:2011/11/18(金) 20:10:49 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
今日は1回しか更新出来なくてすみません。

明日は3回ぐらい更新するので宜しくです。

181ゆめ:2011/11/18(金) 20:16:11 HOST:p2152-ipngn100102niho.hiroshima.ocn.ne.jp
けっこう来てなかったから話しについていけない←

182:2011/11/19(土) 11:51:58 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「ありがとうございます。」

私はそう言って病院に向かって走り出した。

「おい。夜那!」

誠の声に私は、何?と答える。

「ちょっと強引すぎないか?押しかけて行ったって本人が話してくれるかどうかだろ。」

誠の言葉に私は無視した。

「…大丈夫。心から信じればきっと話してくれる。」

私はそう誠に言った。

「お前らしい判断だな。」

誠は私の言葉を指摘した。

「ありがとう。それって褒めてるんだよね?」

私は振り返って笑顔で言った。

「どっちだろうな。」

誠は笑いながら言った。

「誤魔化したでしょ。ま、いい。今はそんな事で喧嘩してる場合じゃない。」

私は再び視線を正面に戻した。

「そうだな。今は前進あるのみだぜ。」

誠は妙に張り切りながら言った。

そんな会話をやっているとあっという間に病院に着いた。

そこは半年前、誠が一時期入院した病院だった。

半年前とあんまり変わってない壮麗な建物。

当時とあまり変わりなかった。

「着いたね。」

「だが、本当に此処で合ってるのか?」

誠は頭を掻きながら言った。

「絶対合ってる!さ、入ろう。」

私は誠の腕を引き、病院内に足を踏み入れた。

183:2011/11/19(土) 12:13:11 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
病院内に入ると、温かい風が入って来た。

「はぁ…温かい……。」

私は息を吐いて両手を擦った。

「とりあえず病室の番号を聞こうぜ。」

誠はそう言って私の腕を引き、ロビーの受付カウンターに向かった。

「あの…夜霧憐さんって此処に居ますか!!」

そう言うと受付の人は私の顔を一瞬見て手元にあるファイルのページを捲っていく。

「今は外科の方に居ますけど…。案内しましょうか?」

受付の人は立ち上がってこちらに着いて来てください。と言った。

私と誠は小さくはい。と答え後に着いて行った。

「貴方…まさか半年前の女の子じゃないかしら?」

受付のお姉さんは前を向きながら言った。

「えっ…。」

私は耳を疑った。

「ほら…憶えてない?貴方を見た瞬間、すぐ分かったわ。元気そうで良かった。」

お姉さんは振り返って笑顔で言った。

「はっきり憶えてます!!お姉さんも元気でほっとしました。」

私は嬉しい気持ちでいっぱいになった。

「そう。後、私の事は佳代って呼んでいいわ。あらそっちの男の子は彼氏?」

佳代は笑顔で言った。

「ありがとうございます佳代さん。えっ…まぁ…そうです。」

私は少し動揺しながら言った。

184ライナー:2011/11/19(土) 14:44:34 HOST:222-151-086-011.jp.fiberbit.net
お久しぶりです、コメントしに来ましたライナーです^^
最近は忙しくてコメントできませんでした。済みません(_ _;)ペコペコ

やはりいつ見ても、文章力が良いですね!
雰囲気がとても伝わってきます。
あと、新キャラでしょうか、佳代さん……まあそちらの方も活躍を期待したいと思います!

アドバイスとしては、隠喩、直喩、擬人法。この3つを使うと良いです。
隠喩とは、ある物を別の物に例える語法です。
例を挙げて、地震を隠喩化してみましょう。地が寒さに震える、地球の貧乏揺すりなどと表せますね。
直喩とは、例えば、あたかも、さながら、〜の如し、〜に似たりなどを使う語法の1つです。
例を挙げて、速く走る人を表してみましょう。さながら雷光のような走り、雷光の如し走り、とこんなふうに使えますね。
最後に擬人法です。擬人法とは、その名の通り人間以外の物を人間に例えた言い方のことです。
例を挙げて、太陽を表してみましょう。日光が温かく見守ってくれている。
以上です、これを駆使してよりよい上達を目指して下されば光栄です(というか、いつもいつも上から目線ですみません^^;)

ではではwww

185:2011/11/19(土) 16:46:35 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
ライナーs>>ご無沙汰してますm(__)m

いや・・新キャラでは無いんですよね・・

第1期の方にも出てきてるんですけどね・・。

サビキャラとして;

隠喩と直喩と擬人法・・・・。

どうも活用形?は苦手なんですよね・・。これが・・。←

少し変に解釈するかもしれませんが入れて見ます。

186:2011/11/20(日) 13:11:43 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
今日は夕方に更新します。

ただ更新率がやや低めなんで微妙です。

そこは理解の上お願いします!!

187:2011/11/20(日) 17:43:49 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「何だよ。そのぎこちない話し方は。ったくよ…。」

誠は呆れた顔で言った。

「ぎこちなくない!!これでも私は…!!」

私はそこで話を止めた。

188:2011/11/23(水) 12:03:08 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
最近、更新出来てなくてすみません。

ネタはあるんですが・・・・。

更新率がとても低くてすみません。

今日の夕方にはたぶん更新出来ると思います!!!

189:2011/11/23(水) 18:20:07 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
あっという間に憐の居る病室に着いた。

「ここよ。また何かあれば言ってね。」

佳代はそう言って去って行った。

私と誠は小さく頭を下げた。

私は扉のとってに手をかけて、思いっきり横に開けた。

病室に入ると、憐が椅子に座って景色を眺めていた。

「憐…。」

その声に憐は振り向く。

片目には包帯がしてあった。

「夜那…。何しに来たの?」

憐は本能を剥き出しにしていた。

明らかに怒っている顔だった。

「怒ってる?」

私は冷静に言った。

「別に…そうだ夜那。後で屋上に来てくれない?話したい事があるんだ。」

憐は不気味な笑みを浮かべて言った。

「いいけど…此処で話せないの?」

私は訊く。

「うん…。」

憐は笑顔で言った。

私にはその笑顔がとても悲しそうに見えた。

190:2011/11/23(水) 18:39:40 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「じゃ、屋上で待っとくね。誠。行こう。」

私は誠の腕を引こうとしても誠は動じない。

「…夜那。ごめん…。俺はお前と一緒には行かれない。1人で行って来てくれないか?」

誠の言葉に私は耳を疑った。

「何で?」

私はすかさず訊いた。

「調べたい事があるからさ。ごめん…。」

誠はそう言って立ち去ってしまった。

仕方が無い事だよね。

でも調べ物って何だろう…。

そんな事を考えながら、私は屋上へ向かった。

191:2011/11/23(水) 18:48:18 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
病院の屋上に向かうのは半年振りだった。

半年前と全然変わってないこの病院。

私は屋上に続く扉の前まで来た。

扉に手をかけて、屋上に足を踏み入れた。

屋上は冷たい風が吹いていた。

冷たい風が吹いてるだけで雪は降っていない。

192:2011/11/27(日) 18:31:34 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
と言っても寒い事に変わりなかった。

でも何で憐は屋上で話す事にしたのかな?

私はそんな事を考えながら屋上の柵に掴まる。

半年前と変わらない壮大な景色。

此処で私は誠に告白したんだよね。

“愛してる”って…。

で、指輪を渡してくれたんだ。

あの頃はとても愛おしく感じたな…。

そんな日々が忘れられなかった。

その時背後で扉が開く音がした。

私が振り返ると、憐が笑みを浮かべて立っていた。

193:2011/11/27(日) 18:42:46 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「憐…。」

私はその場に佇んだ。

「やっと話せるね二人で。」

憐の優しい微笑みに私は視線を逸らした。

「で…話って?」

私は訊く。

「そんなに焦らないで。今から話す事は僕の過去についてだよ。」

その言葉に私は動揺してしまった。

過去…。

やっぱ何かあったんだ。

そんな事が頭の中で過る。

憐は落ち着いて私に近づいた。

私は動じない。

どうしても真実が知りたい一方だった。

私と憐の距離が数メートルになると憐は立ち止まった。

憐は静かに口を開いた。

「人に過去を話すのは初めてなんだ。誰にも話した事がないから。」

憐は悲しそうな表情をしながら言った。

「どんな過去でも私はちゃんと受け止めるから。信じて…。」

私の声は微かに震えている。

「…僕は幼い時に両親を失ったんだ。昔の事はもう忘れてしまったけどそれだけは
 憶えてる。両親は僕の為に犠牲になったんだ。僕の習い事の発表会の帰り道に
 事故にあって…奇跡的に僕だけが助かったんだ…。それから叔母の家で育てられて
 5年前の今日…死んだ。」

憐は泣きながら言った。

194:2011/11/29(火) 21:08:52 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
これから更新を1週間に1回にします。

何か色々すみませんm(__)m

195:2011/12/12(月) 18:38:03 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
私は黙って憐の話を聞く。

「でも夜那に出会って僕の何かが変わった。夜那は僕の光みたいな人で
 僕の初恋でもあった。でも夜那には大切な人が居たから…きっと叶わないんだって
 思った…。だから……死ぬしかないんだよ。」

えっ…。

最後の言葉に私は耳を疑った。

死ぬ…って言った?

何で…?

私の目の前が真っ暗になる。

気がつくと憐は目の前には居なかった。

私は横に振り向くと、憐が柵の外側に立っていた。

「憐…。」

私がそう言うと憐は僅かに笑顔を見せてくれた。

「少しの間だったけどありがとう…。夜那の事ずっと好きだった。」

身体が強張って足が竦む。

「憐…!!死なないで!!」

私がそう叫んでも憐の耳には届かない。

「本当にありがとう…。さよなら。」

憐はそう言い残して柵から飛び降りた。

憐が飛び降りた瞬間、私の身体の強張りが解け、柵に掴まり下を見下ろした。

憐の姿はもう何処にも無かった。

死んだ?

そ…んな…。

私はショックのあまり地面に座り込んだその時だった。

「…な。夜那!!」

その声に私は立ち上がり下を見下ろした。

下を見ると、誠が笑顔で手を振っていた。

196:2011/12/14(水) 20:45:02 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
誠…!?

どうして下に居るの?

私は急いで屋上を出た。

数分で病院の1階にある庭に着いた。

庭に足を踏み入れると誠が憐を抱えて立っていた。

「誠…どうして……てか、憐は大丈夫なの?」

私は誠に駆け寄り、震えた声で言った。

「事情は後で。憐の方は気を失ってるだけだから大丈夫だ。
 それにしても本当に飛び降りるとはな驚いた。」

誠はそう言って上を見上げる。

「まさか…知ってたの?こうなる事を…。」

私はすかさず訊く。

「まぁな。」

誠は笑顔で誤魔化す。

197:2011/12/14(水) 20:49:18 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
注意事項

レスの200は書き込まないでください!!!

宜しくです!!!

198:2011/12/14(水) 21:07:52 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「ん…あれ?何で生きてるの?」

憐は片手で目を擦りながら言った。

「誠が助けてくれたんだよ。と言うか…何で死のうとしたの!!」

私が泣きながらそう言うと誠はゆっくり憐を地面に下ろした。

「…それは……。。」

憐は俯いて黙り込む。

「…その憐の命は…自分たった一人の命じゃないんだよ!!
憐のお父さんとお母さんが残してくれた命でもあるんだよ!!
お父さんとお母さんの残してくれた命を死ぬ事の為に犠牲にするなんて…
 人間失格だよ!!!」

私は泣きながら憐に言った。

「人間失格…?」

憐は弱々しい声で呟く。

「そう!人間失格だよ…!!今ならまだやり直せる…。やり直せるから
 一緒に頑張ろうよ…。人ってね…“盾となる人間が居れば変われる”んだよ。
 もし憐が辛い目にあったら私と誠が盾となって全力で守るから。
 私にとって憐は大切な友達だよ。。憐が死んだら私や誠だって泣くよ。
 自虐的になって…私なんか立ち直れないよ…。だから…もう死ぬなんて言わないで。。」

私はそう言うと地面に泣き崩れた。

199:2011/12/14(水) 21:14:02 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
「夜那……。」

憐は地面にしゃがんでそっと頭を撫でる。

その手はとても冷たくて…何処か温かかった。

「憐…。」

私は優しく憐の身体を抱き締めた。

「ずっと辛かったんでしょ?それぐらい分かるよ…。辛くても必死に生きてきたんでしょ?
その想い…ちゃんと受け止めるから…。」

私は左手で憐の頭を撫でる。

「…ごめんね夜那……。夜那にも迷惑かけてごめんね…。
 友達ってこんなに近くに居たんだね。。忘れてた…。」

200:2011/12/14(水) 21:15:11 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
第3章クライマックスです!!!

ここから最終回までどんどんヒートアップしていくので応援してください!!

後、皆さんのおかげで200行きました!!!

これからも「蝶が舞う時に…。」をお願いします!!!

201:2011/12/15(木) 18:27:45 HOST:zaq7a66c1fa.zaq.ne.jp
憐がそう言うと私は身体を離れた。

「…憐。これからも宜しくね。約束しよ。」

私はそう言って憐に小指を出した。

「うん。宜しく!!」

憐は自分の小指を私と絡めて笑った。

「指切りげんまん。嘘ついたら針千本飲まーす。指切った。」

私はそう言って小指を離した。

それが私と憐の約束だった。

「さ、帰ろっか。」

私はそう言って立ち上がろうとしたその時だった。

急に立ち眩みがした。

「うっ…。」

私はそのまま地面に倒れこんでしまった。

「夜那!!」

憐と誠の声がした。

何かが私を追い込もうとした。

私はそのまま気を失った――――…。

202:2011/12/17(土) 16:53:11 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
episode.4 真相

此処は…?

私は真っ暗な世界に居た。

今までの世界とは何か違う。

私の右手にはいつの間にか蝋燭が握られていた。

蝋燭は銀の小型のお皿に乗せられていてとってがついていた。

蝋燭はやたら短くて蝋が垂れてきている。

私…何で蝋燭なんか……。

「夜那。」

その声に私はゆっくりと振り返った。

「憐…。どうし…。」

「僕の過去…聞いてどう思った?」

憐が割って入って来た。

「どうって…そんなの悲しいに決まってるよ!!!
お父さんとお母さんを失った悲しみは私も分かるよ。
 私のお父さんは私を守って死んじゃったの…。
 お母さんは数年前…事故で死んじゃったの…。
 私はたとえ親を失ってもその命を背負ってこれからも生きていく。
 苦しい時や悲しい時は友達と助け合いながら進んでいくんだ。
 それが憐のお父さんとお母さんの一番の願いだったんじゃないかな?」

私は笑顔で言った。

203:2011/12/17(土) 20:25:35 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
「理由もないのに何でそんな事言えるの?」

憐は冷たい視線で私を睨む。

「分かるよ。同じ生きる者として分かるの。」

私は憐に向かって右手でピースサインをした。

「生きる者か…夜那らしい答えだね。」

憐は笑みを見せて言った。

「私らしい…?それって。。」

私はそう言い掛けた時、憐はそっと私の耳元で囁いた。

「その蝋燭は僕の命の期限。もう1週間もないんだ…。
 現実の僕はまだそれに気づいてないけどね。もう夜那に逢えなくなるんだ。
 悲しいよ…。」

憐は言った。

「じゃ貴方はこの世界の何者なの?」

私は言った。

204:2011/12/17(土) 20:40:54 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
「…簡単に言えば現実世界の夜霧憐と僕は対になる関係なんだ。
 現実世界の僕は“陽”、此処での僕はその“陰”。つまり僕は影となって
 此処に居る。君が現実世界の僕を救ってくれた。だからやっと僕は戻れる。
 現実世界の夜霧憐に戻れる。夜那のおかげだよ。」

憐は優しく私の頭を撫でる。

「そ…んな…。じゃもう此処へ来ても影の貴方には逢えないの?」

私は震えた声で言った。

「…そんなに消えて欲しくないの?今になって僕が恋しくなった?」

憐は冗談半分で言った。

「そんなんじゃないけど…ただ少し寂しいから。。」

私はふいに視線を逸らす。

「…じゃ後二日ほど此処に残るよ。ただし二日の午前12時になったら去るからね。
 それまでに訊きたい事があったら訊いて。」

205:2011/12/18(日) 14:23:28 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
憐はそう言って私の隣に座り込んだ。

今だけは一緒に居たい…。

それが私の本心だった。

私は掌を握り締めて憐の隣に座る。

「大丈夫?身体が震えてるよ?」

憐は優しく私の肩に手を置く。

「嫌だよ…消えるなんて…運命って本当に気まぐれ。。」

私は蹲って俯きながら言った。

「…僕だって消えたくない。背いてはいけないから…約束だから。。
 ごめん…。。」

私の肩に置いている憐の手が微かに震えていた。

憐だって辛いんだ…。

なのに私は…。

「でも夜那のせいじゃないから。これは僕の問題。だから泣かないでよ。」

憐の言葉に私は無意識に顔を上げた。

私の頬からは冷たい雫が流れる。

206:2011/12/18(日) 17:33:54 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
いつの間にか私は泣いていた。

両足の膝は涙の雫でいっぱいだった。

「憐だって自分を責めてるんじゃないの?私にはそう見える。」

私はまた俯いて言った。

「…夜那って人の心の中を見た事がある?」

憐が急に話題を変えた。

触れてはいけない所に触れちゃったのかな?今…。

「見た事ないよ。と言うかまず見れないし…。」

私は笑顔でそう言った。

「僕も見た事ない。いつか見て見たいんだ…かけがえの無い友達と。」

憐は上を見上げながら言った。

「何で友達と?」

私は首を傾げて訊く。

「お互いの気持ちを共有し合ったら隠し事もしなくて済むし、喧嘩する事も
 あまり無いと思うから。」

「共有か…それ私も賛成する。いつか見れるといいよね?」

207:2011/12/18(日) 20:00:59 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
私はそう言って立ち上がり背伸びした。

「ありがとう…。」

憐は少しだけ笑顔を見せてくれた。

でもその笑顔は作り笑顔に見えた。

無理して笑わなくてもいいのに…。

「夜那…一つお願いしていい?」

憐の言葉に私は頷いた。

「…思いっきり抱き締めてほしい。」

憐の言葉に私は思わず動揺してしまった。

「何で…?」

「安心するから…だから……。」

憐は悲しそうな表情をした。

その表情は幼い子供のような表情をしていた。

何かこっちが恥ずかしい…。

そんな事を思いながら私はしゃがんで思いっきり憐を抱き締めた。

「温かい…。夜那は温かい人なんだね。」

「憐の身体…途轍もなく冷たいよ!?どうしてこんな冷たいの?」

私は耳元で囁く。

「影となる存在は身体が冷たいものだよ。生きている感じが全然しない…
 まるで死んだ人みたいに全然温かくないんだ。」

憐は淡々と言った。

「じゃ憐は死なないの?」

「いや…影となる存在だとしてもちゃんと生きてると言う事になってるから
 ちゃんと時が来たら死ぬよ?僕だって人間だからね。」

憐は穏やかな口調で言った。

「そうなんだ…。私…憐の鏡になりたい。。」

私が強気で言った。

「どうしたの?急に…。」

「鏡って自分を映す事が出来るでしょ?鏡を使えば人の心も読めるんじゃないかって
 私は思うの。」

私は憐の身体から離れて正座して言った。

208:2011/12/18(日) 20:28:21 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
「はは…実に短絡的な発想だね。」

憐は笑いながら言った。

「短絡的?」

「うん…ま、簡単に言えば浅はかな考え方って事だよ。」

憐は言った。

「浅はかって?」

「夜那って以外と世間知らずなんだね。ま…考えが甘いって事さ。」

憐にそう言われ私は頬を赤くした。

「そう、なんだ…。」

「もしかして恥ずかしいの?」

憐にそう言われ私は憐に背を向ける。

「そんな事…ない。。。」

私はそう誤魔化す。

本当は凄く恥ずかしい。

でも言えないよ…。

「なら何で視線を逸らすの?」

憐にそう指摘され、私は黙り込んだ。

「…冗談だから機嫌直して。」

そう言って憐は私を後ろから抱擁した。

憐の温かい吐息が私の耳にかかる。

緊張する…。

私は俯きながら思ったその時だった。

“…な。夜那…”

低い声が前方から聴こえて来る。

あの声は誠!?

行かなきゃ…。

誠が呼んでるのに…。

「何処行くの?」

憐は優しく訊く。

「誠が私を呼んでるの…。だから行かなきゃ…。」

私はそう言って立ち上がろうとした瞬間、憐に足を掴れた。

209:2011/12/18(日) 20:48:04 HOST:zaq3dc00748.zaq.ne.jp
「…行かせないよ。」

憐の穏やかな瞳から冷たい瞳に変わる。

「い…嫌…!!」

私は強引に憐の手を振り解き、誠の声がする方向へ足を走らせた。

「何で僕から逃げるの?そんなにあの男がいいの?」

私の後ろから憐の低い声が聞こえてくる。

あの男!?

何でそんな事…貴方に言われなくちゃならないの?

走っているとやがて前方に光が見え、誰かが手招きしていた。

もうすぐ出口なんだ…。

その時。私の左手首が憐に掴れた。

「何で僕じゃないと駄目なの?あの男はきっと死ぬよ。夜那のせいで。」

憐は不気味な笑みを浮かべて言った。

「そんな事。何で貴方に言われなくちゃならないの!!?誠は絶対死なない!!
貴方なんかに私や誠の何が分かるって言うの!!」

その言葉に憐は私の手首から手を離して俯いた。

210:2011/12/19(月) 20:45:50 HOST:zaq7a66c40f.zaq.ne.jp
「せいぜい地獄を見たらいいよ。」

憐のその声は私の耳には届かず、私は光が差してる方向にまた足を走らせた。

光は下から上に一直線に伸びていて、その真ん中付近で誰かが手招きしている。

やがてその手は手招きから差し出す形態に変わった。

私はその手をしっかりと握って光の中へ引き摺り込まれて行った。

211:2011/12/23(金) 21:57:41 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
―――――…

「ん…。」

私は目を覚ました。

辺りを見回すと私の部屋だった。

私はベッドに寝かされていて御でこには濡れたタオルが掛けられていた。

身体が熱い…。

「誠…?憐…?何処…。」

私はゆっくりとベッドから起き上がった途端、タオルが布団に落ちた。

私はベッドから下りて身体を引き摺りながら、自分の部屋を出た。

自分の部屋を出ると目の前に誠が居た。

「夜那!?寝てなくちゃ駄目だろ…。何してんだよ。」

誠はそっと私を抱き上げた。

「…夢を見たの。私のせいで誠が死んじゃうらしいの…。」

私は震えた声で言った。

「何だよそれ…予言ってヤツか?そもそも何で夜那のせいで俺が死ぬんだよ。
 意味分かんねー…。」

誠は呆れた表情をしながら言った。

212:2011/12/24(土) 17:03:31 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「…でもそれはまだ確定じゃないから別にいいんだけど…。
 だけど事故とかで死んじゃうかもしれないよ?」

私は涙を拭いながら言った。

「大丈夫だ。そんな未来にはさせねーから。」

誠はそう言うと私の部屋の中に入っていった。

誠は私をベッドの淵に下ろした。

「誠…憐は?」

私は訊く。

「帰ってもらった。お前が目覚めるまで帰ってもらったんだ。」

誠は言った。

「…そっか。」

私は俯いて答える。

「…一人にさせねーから。」

誠がそっと私を抱擁する。

「温かい…。やっぱり血が通ってるから温かいんだよね?」

私は誠の胸に手をあてる。

少しだけど心臓がちゃんと脈を打っている…。

「当たり前だろ。変な夜那。」

誠は少し怪訝な顔をして言った。

「…今日は一緒に寝てくれないかな?」

私はふいに言うと誠は驚いた顔をしていた。

「いいけど…随分急だな…。何かあったのか?」

「いや…夢の事で…また一緒に着いて来て欲しいから。」

213:2011/12/25(日) 14:25:46 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
そう言うと誠は快く承諾してくれた。

「あのさ夜那…。」

誠は私の身体から離れて、私の隣に座る。

「何…?」

私は訊く。

「いつか…結婚しないか?」

「えっ…。」

私は一瞬言葉を失った。

誠は真剣な瞳で私を見る。

214:2011/12/25(日) 16:21:25 HOST:122.102.254.139
その眼差しに少しプレッシャーを感じた。

誠の圧力に負けてしまいそうだった。

「でも何で…急に?」

私は頬を真っ赤にして言った。

「前から考えてたんだけど…中々言い出せなくて…。。
 もう半年になるだろ?俺達付き合ってさ…。」

誠は照れくさいのか私に背を向けて言った。

「訊いてるこっちが恥ずかしいよ…。」

私はベッドに置いてある枕に顔を埋めて言った。

「ま…時間はあるし…。ゆっくり考えてくれればいいからさ。」

誠の温かい左手が私の頭をそっと撫でる。

「…うん。」

私は枕を自分の横に置いて誠の左手首を両手で握る。

「夜那?」

誠が私の顔を覗き見る。

「ううん。何でもない…。」

私は首を横に振りながら言った。

「後…ちょっとヤバイ事があるんだけど…。」

誠は俯いて言った。

「何?」

「明日…奴が此処に来るんだよ。」

誠は苦笑いしながら言った。

「奴って?」

「純だよ…。俺の天敵。」

誠は震えた声で言った。

完全にナーバスになっている。

「って事はお兄ちゃんも来るんだね!楽しみだなぁ…。」

私はそう言ってベッドに仰向けに倒れこんだ。

「お前大丈夫かよ…。熱あんのに…。」

誠は頭を掻きながら言った。

「うん…大丈夫。誠と居たら少しマシになったかも…。なんちゃって。」

私は冗談半分に言った。

「なんちゃって。って…何だよそれ…。」

215そら ◆yC4b452a8U:2011/12/25(日) 20:07:57 HOST:p071.net182021206.tokai.or.jp
久しぶり!++
更新頑張ってちょ←w
応援してます。

216:2011/12/25(日) 20:14:58 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
あざーす。

そらs>>

217:2011/12/25(日) 21:23:54 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
誠はため息を吐いて言った。

「ノリで言ってみただけだよ。」

「……。」

誠は急に黙り込んだ。

「誠…?」

私はベッドから起き上がって誠の肩を触ろうとした。

「…初めて俺に嘘吐いただろ?」

誠は俯きながら言った。

「えっ…。そんな…。」

「今日はもう無理すんな。寝ろ。」

誠に命令され、私は渋々ベッドに潜り込んだ。

「明日は一緒に寝てね…。寂しいから…。」

私はそう言って布団を被ろうとした。

「夜那。」

誠の声に私は布団から顔を出した。

布団から顔を出した瞬間、誠に唇を塞がれた。

「ん…。」

私は誠の左手首を握り締めた。

しばらくして誠は私から唇を離した。

「ごめん…。何かもう好き過ぎて…ヤバイ。。」

誠は頬を真っ赤にして言った。

「そう言って貰えると凄く嬉しい…。」

私はふいに顔を逸らす。

「俺…いつかお前を束縛するかも…。」

誠は言った。

「それってお互い苦しいの?」

私は誠を見ながら言った。

「分かんねー…。でも俺が夜那を傷つけてしまう可能性だってあるんだ。
 そうなれば暴走するかもな。お前みたいに狂ってしまうかもしれない。」

「…私はそれでもいいよ。誠が狂ってしまったら絶対私が助けるから。」

私は泣きながら言った。

「…ありがとう夜那。」

誠はそう言うと私のベッドの中に入って来た。

「今日は此処で寝るの?」

私は訊く。

「うん。夜那と一緒に寝たいから。」

誠は朗らかな表情で言った。

「でも風邪移るよ?それでもいいの?」

私は訊く。

「いいよ。大歓迎だから。」

そう言うと誠は私を優しく抱き寄せる。

「そっか…。じゃおやすみ。」

私は誠の胸に顔を埋めて目を瞑った。

誠はそっと私の頭を撫で、おやすみ。と呟いた。

218:2011/12/26(月) 14:59:27 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
―――――…

何処かで鳥の囀る声が聞こえて来る。

私は布団の中で背伸びしながらゆっくりと起き上がった。

誠は私の隣で寝ている。

こうやって見ると誠の寝顔って可愛い…。

私は何気に誠の胸に右手を押し当てた。

心臓は正常に脈を打ってる。

「ん……。」

誠は右手で右目を擦りながら無意識にゆっくり起き上がる。

「ごめん起こしちゃって…。」

私はすかさず右手を離す。

「……。」

誠は黙っている。

「誠?」

私は誠に問いかけると、誠は顔を近づけた。

「ちょっと誠…?」

私は思わず目を瞑った。

手が震えてる…。

「怖がらないで。何もしないから。」

誠は私の耳元でそっと囁く。

「…うん。後…結婚の事なんだけど…わ…私もいつか誠と…
 結婚したい…。」

私は泣きながら震えた声で言った。

219:2011/12/26(月) 16:28:18 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
「…無理しなくてもいいんだぜ?」

誠は言った。

「無理なんかしてない…。本当だから…。」

私はベッドの上で蹲りながら言う。

「良かった…。断るんじゃないかって冷や冷やしてたんだ。
 とりあえず母さんには報告していいか?」

誠はそう言って背伸びしながら立ち上がった。

「…うん。」

私は言った。

正直少し不安だった。

私と誠が結婚なんてしたら誠のお母さんやお父さんはどうなるのかな?

やっぱり反対するのかな…?

そんな事を初めて考えた事なかった私にとっては到底分からなかった。

そんな事を思いながらふいに私の部屋の扉がノックされる。

「2人とも起きてるんでしょ?下まで声が聞こえてきてたわよ。」

扉の向こうで誠のお母さんの声がする。

「さ、夜那行こう。」

誠はそう言って私に左手を差し出す。

私は少し照れながらその左手を右手で握る。

220:2011/12/26(月) 20:27:26 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
誠は何の躊躇いもなく、部屋の扉を開ける。

扉の前には、誠のお母さんがニコニコ笑顔で立っていた。

「母さん…父さんは?」

「下に居るわよ。どうしたの?そんな深刻な顔しちゃって…。」

誠のお母さんは笑顔で言った。

「…大事な話がある。俺達の未来についての事なんだ。」

誠の顔つきが真剣な顔に変わる。

「…分かったわ。リビングで待ってて。お父さん呼んでくるわ。」

誠のお母さんはそう言い残してその場から立ち去った。

私の両手が微かに震えている。

「震えているのか?」

誠は私の異変に気づき問いかける。

「うん…。でも大丈夫だから。」

私は左手の掌を握り締めて震えを抑える。

「そうか。でも何か合ったら言えよ。」

誠はそう言って一歩ずつ歩き出す。

私もそれを追って歩き出す。

私と誠が階段を下りて、リビングに行くと誠のお父さんとお母さんがテーブルの

席についていた。

「さ、座りなさい。」

誠のお母さんは言った。

221:2011/12/26(月) 22:49:54 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
私と誠は肩を並べて席に着く。

「で、話と言うのは何だ?誠。」

少し仏頂面なお父さんは言った。

誠は少し間を空けて言った。

「実は…前々からずっと思ってた事なんですが…。お付き合いしている
 月隠夜那さんといつか結婚したいんです。」

誠がそう言うと誠のお父さんとお母さんは一瞬驚いた顔になったがすぐに真剣な顔になった。

「そう…。いつかそうなるんじゃないかって分かっていたわ。でも何処に住むの?」

誠のお母さんは言う。

「それはまだ分かりません…。」

誠は俯く。

「私は少し心配よ。2人でちゃんとやっていけるの?」

「……それは……。」

誠が言葉を詰まらせた。

「やっていけます!!」

私は勢いで立ち上がって言った。

「ちゃんと二人でやっていきます!!お互い助け合って笑い合ってやっていこうと
 思っています!!」

私は笑顔で言った。

「でもね夜那ちゃん。そう簡単に物事を決めるもんじゃないのよ。
 分かってるの?」

誠のお母さんは言った。

222:2011/12/27(火) 15:19:15 HOST:122.102.254.139
「…分かってます。分かった上で言ってます。たしかに二人でやっていくのは
 とても大変だと思います。でも私は二人でやっていきたいんです!!
大変な事があっても二人で乗り越えて行きたいんです!!」

私は力強い口調で言った。

誠のお母さんはそれに黙ってしまった。

「誠…お前はちゃんと夜那さんを守っていけるのか?」

仏頂面の誠のお父さんが口を開いた。

「…守るつもりです。命を賭けて守るつもりです。」

誠は真っ直ぐな眼差しで言った。

「そうか。お前の気持ちは十分分かった。俺はお前達のこれからの未来に同意する。」

誠のお父さんの言葉に私は涙を流した。

「私も同意するわ。正直…不安な面もあるけど…貴方達二人ならやっていけるような気がするもの。」

お母さんは笑顔で言う。

「あ…ありがとうございます。」

誠と私はそう言って席から立ち上がって頭を下げた。

「で、住む家だけど…色々探してみるわ。見つかった次第教えるわね。
 さ、暗い話はこれぐらいにして朝ご飯を作るわ。」

誠のお母さんは立ち上がった。

私はそっと誠の右腕を両手で握る。

223:2011/12/27(火) 17:07:25 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
誠は私の気持ちを悟ったのか、静かに私を抱き上げる。

「恥ずかしいよ…誠。」

私は両手で顔を覆いながら言った。

何かとっても恥ずかしいよ…。

誠は無言でリビングを出る。

リビングを出て誠は私を抱き抱えたまま、階段を上る。

階段を上って私の部屋の前で私を下ろす。

地面に足が着くと、ひんやりとした感触が足の裏から伝わってくる。

「何で黙ってるの?嬉しくないの?」

私は誠に問いかけた瞬間、私の身体が私の部屋の扉に叩きつけられた。

「えっ…誠?」

224:2011/12/27(火) 19:18:16 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
私は戸惑った。

何だが誠の様子が変…。

それに怖い。

「うっ…。」

私は思わず目を瞑った。

「…俺が怖い?」

誠は何時に無く冷たい視線で私を見る。

「…怖いに決まってるよ。。」

私は泣きながら言った。

「じゃあさ…俺に誓えるか?」

誠は私に顔を近づけて言った。

「何を?」

私は首を傾げる。

「“一生俺の傍に居る”って…俺に誓える?」

誠の眼差しは真剣だった。

そんな眼差しに負けてしまいそうだった。

「誓えるよ…誓えるから……。」

私がそう言った瞬間、誰かがこっちに上がってくる音が聞こえてきた。

誠は無言で私の手を引き、自分の部屋に私を入れる。

誠は扉を閉め、鍵をかける。

「誠…?さっきから変だよ?どうしたの…?」

私はおそるおそる訊く。

「…俺だって怖いんだ…。いつかお前を殺してしまうんじゃないかって思ってしまう…。
 お前が憐と話している時だって苦しいんだ…。お前が俺の傍に居ない分…苦しいんだよ…。
 いつか限界が来たら俺はお前を殺して自分も死ぬかもしれねー…。」

誠はそう言って背を扉につけて地面に蹲る。

えっ…。

じゃ…今まで誠はずっと我満してきてたの…?

なのに私…何も気づけなかった。。

ごめん…誠…。。

私は啜り泣きながら地面に崩れる。

「ごめん…誠。。私…何も気づけなくて…。」

私はゆっくりと誠の隣に座る。

誠は答えてくれない。

225:2011/12/27(火) 21:36:16 HOST:zaq7a66fe8b.zaq.ne.jp
「私…馬鹿だよね。好きな人の異変にも気づけないなんて…。
 本当に馬鹿だよね…。」

私は笑いながら呟く。

「…夜那ってさ…辛い時にでもそうやって笑えるんだな。」

誠は私の頭をそっと撫でる。

「…こんな状況だから笑えるんじゃないよ…。誠と一緒だから笑えるものなの。
 だから私は…一生貴方の傍に居ます!!」

私は笑顔で言った。

「…本当に?」

誠は少しだけ顔を上げて言った。

「うん!だって…私にとってかけがえのない人は誠だから。
 誠が私の傍から居なくなったら私も苦しいよ…。」

私は泣きながらも満面の笑顔で言った。

「…夜那…。」

誠はゆっくり私に顔を近づけ私の唇をそっと塞ぐ。

温かい…。

誠の右手が私の左手をそっと握る。

ずっと傍に居たい…。

誠だけを愛していたい…。

そう思った。

しばらくして唇が離れて誠は強く私を抱擁する。

「夜那が分かってくれるような人間で良かった…。何か我侭でごめんな…。
 自分で言うのも何だけど…独占欲が強い方なんだよな俺って…。」

誠は私の耳元で甘く囁く。

「独占欲?何それ…?」

私は全く独占欲の意味が分からない為誠に訊く。

226:2011/12/28(水) 15:50:34 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「…誰かに聞け。言える訳ねー…。」

誠はそこで言葉を詰まらした。

「じゃ後で訊いて来る。」

私がそう言った瞬間、私の目の前に青い蝶が通り過ぎて行った。

「あっ…青い蝶…。」

私はそう呟き、左手を伸ばした。

青い蝶は青い燐粉を飛ばしながら私の人差し指につく。

「戻ってきてくれた…。最近全然見かけないから死んだかと思ったぁ…。」

私の目から涙が溢れてくる。

「蝶が死ぬ訳ねーと思うけど…。てか…俺の蝶居ないじゃん。」

誠は私の身体から離れて上の空で呟く。

すると蝶は私の人差し指から離れて誠の部屋の窓側に飛んでいく。

私と誠は立ち上がって窓際へ足を走らせる。

「何だ。」

誠は不思議そうに呟く。

「何かあったのかな?あの赤い蝶…。」

私は窓際に着き、鍵を外し窓を開けた。

窓を開けた瞬間、強くて冷たい風が部屋の中に流れ込んでくる。

「寒い…。やっぱ冬だからかな?てか…明日はお正月だよね。楽しみ。」

私はウキウキしながら言った。

「何ウキウキしてんだよ。」

誠はそんな私を見てドン引きされた。

「ドン引きしないでよ…。せっかくボケたつもりなのに…。」

私は頬を膨らまして言った。

「今のボケかよ…。全然ボケになってないから。」

誠は笑いながら言った。

「笑わないでよ。こっちは真剣にボケてるんだから!!」

私は頬を真っ赤にして怒鳴る。

「はいはい分かったから。そんなに怒るな。」

誠はそう言って私を軽く抱き締める。

「誠って…欲求不満だったりするの?」

227:2011/12/28(水) 17:26:53 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
私の質問に誠はすかさず離れる。

「何でそんな事訊くんだ!」

誠に少し焦りを感じた。

相当、訊かれてほしくなかったようだ。

「何でそんなに焦ってるの?」

私は少し意地悪に言った。

「あ、焦ってねーよ…。てか、その情報母さんから訊いたのか!!」

「うん。一月前にね…。」

私は笑みを浮かべて言った。

「どうだろうな。当てて見ろ。」

「…欲求不満!!」

私は自信有り気に答える。

「ハズレ。違う。」

誠は笑いながら言った。

「じゃ…欲求不満じゃない!!」

私は誠に人差し指を指して言った。

「ハズレ。それも違う。」

「じゃ何?」

私は首を傾げる。

「ま…半分だな。普通って事だ。」

誠は空を見上げて言った。

「…そっか。でも良かった。誠が欲求不満じゃなくて…。」

「何でだよ…。」

誠は訊く。

「何となくだよ。何となく。」

私は窓から景色を眺めながら呟く。

でも誠は何処か納得がいかないようだった。

しばらく私は景色を眺めて居ると前方から“何か”が近づいてきた。

青い蝶はそれに気づき、私の隣に来る。

前方からやってくる“何か”はだんだん私と誠に近づいて来る。

「あれって赤い蝶じゃない?」

私は前方に指を指す。

「ホントだ。でも何か可笑しくねーか?」

誠は怪訝な顔をしながら言った。

「何で?」

「だってさ…急にふっと消えるんだぜ?俺らの蝶。」

誠の言葉に私は“それは単なる偶然だよ”と言った。

「偶然…だといいんだがな。」

「そんな事心配しないでよ。私まで心配になるよ…。」

私はそう言った瞬間、誠の肩に赤い蝶が止まった。

228:2011/12/28(水) 17:49:51 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
「寒いから窓閉めるね。」

私はそう言って窓を閉め、鍵をかける。

「あのさ夜那…。」

窓に鍵をかけた途端、誠に呼ばれる。

「ん?どうしたの?」

私は訊く。

「受け取ってもらいたい物があるんだ。」

誠は照れくさそうに言った。

「何だろ…楽しみ!」

私はワクワクしながら言った。

「とりあえず目瞑ってくれ。」

229:2011/12/28(水) 21:16:31 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
誠にそう言われ私は目を瞑る。

30秒後…。

「いいよ。」

誠にそう言われ私はゆっくりと目を開けた。

私の手元にはリボンで結ばれた小さくて立方体の白い箱があった。

「開けていいの?」

私がそう言うと誠は小さく頷く。

私は丁寧にリボンを解いて、箱を開いた。

「えっ…。」

箱の中に入ってたのは2つのペアリングだった。

シンプルなデザインで中心には50カラットのダイヤが埋め込まれていた。

それ以外飾りは一切なかった。

「どうして…。」

私は箱を握り締めながら呟いた。

「正式な指輪だ。まだちゃんと渡してなかっただろ?ま、俺達の結婚指輪だ。」

誠は笑顔で言った。

「結婚指輪って…恥ずかしいよ…。」

私は顔を真っ赤にして地面に座り込む。

「たしかに恥ずかしいかもな。俺だって恥ずかしいし…。
 でも夜那にあげられた事が何よりも嬉しいんだ。好きな人に受け取って貰える
 ってのが俺の要望だったしな。」

誠は私の頭を乱暴に撫でながら言った。

何か無邪気な撫で方だよ…。

230:2011/12/29(木) 14:43:18 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
誠は乱暴に私の頭を撫でた後、頭から手を離した。

「左手の薬指に嵌めている指輪貸して。」

誠に言われ私は左手の薬指の指輪を外す。

「でも外した指輪はどうするの?」

私は指輪を右手の手の中で転がしながら言った。

「記念に夜那が持っとけ。」

誠は朗らかな表情で言った。

「…うん。ありがとう…。」

「ほら、左手の薬指に嵌めてやるから手出して。」

誠に言われ私は震えながら左手を出す。

「何震えてるんだよ。」

誠は笑いながら私の左手の薬指に指輪を嵌めた。

「ありがとう…。」

私の左手の震えは止まらない。

「俺にもつけてくれよ。」

誠は笑顔で言った。

「うん…。」

私は作り笑顔で箱から指輪を取り出し、誠の左手の薬指に嵌める。

「これで俺と夜那は繋がっている。婚姻の証。」

誠のその言葉に私は涙を流した。

「何か今まで以上に恥ずかしい…。」

231:2011/12/29(木) 15:57:30 HOST:zaq7a66fd57.zaq.ne.jp
私は顔を逸らして言った。

「恥ずかしがってる夜那って案外可愛いな。」

誠は私の頬についていた雫を右手の人差し指でそっと拭き取る。

その仕草がとても愛おしく感じた。

「誠…。」

私の瞳から涙が溢れ返って来た。


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