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Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜
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:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2011/08/28(日) 21:42:54 HOST:i121-116-245-124.s04.a001.ap.plala.or.jp
そんな湊とは対照的に刹は心底不愉快そうな表情のまま、息を吐く。対立が表面化してきたと思ったらこうだと悪態をつくかのように呟く。もっと事態が悪化していてくれた方がいいのになんて考えて、笑う。歪んだ不気味な笑み。周りに残っていた数名の生徒が震えたのを見てフイッと顔を逸らす。鳴り響くのは銃声。どうやら第一走者が走り出したようだ。短距離走は闇、光、双方の一般チームから十一人の代表を出して行う。一回に走るのは六人程度。生徒会のメンバーは人数が少ないので出す代表は一人で、一位から三位までに入ると一般生徒のチームの倍の点数をもらえることになっている。まぁそうでもしなければ人数の関係で代表を出せない生徒会メンバーは勝てないし、逆に生徒会メンバーが四人も出れば一般生徒に勝ち目はないのだ。
全く面倒だ、そんな風に呟いたところで、とてつもない強風が吹き渡る。闇側の生徒が光を攻撃したようであった。あまりの強風に同じ闇の生徒までもがなぎ倒されている。刹は顔色一つ変えずにそれを眺めていた。怪我はないだろうかと大慌ての湊のほうがよほどイレギュラーに見えるような反応。闇の生徒達も多くは口元に笑みを浮かべ様子を眺めるだけ。仲間であろうと防ぎきれなかった連中の心配はしない主義のようだ。
「やれやれ、とでも言えばいいんでしょうか?」
小さな声で湊が呟いた。念入りに準備体操をして、スタートラインに立つ。どうやら刹も一緒の順番のようで湊の横に無言で並んだ。その横に着くかのように並ぶほかの生徒達の表情は何処か強張っていて……、何が起こっても大丈夫なようにと幾重にも能力を張り巡らせているようである。まぁ生徒会チームの人間と走るとなると、流れ弾がかすっただけでも酷い目に遭う可能性があるのだから仕方がないのかもしれない。第一走者がゴールして、次は大二走者。深く息を吸ってピストルの音だけに神経を集中させるのは湊。それに比べ刹はあちこちを見渡して余裕の表情。
鳴り響く銃声。刹と湊が走り出したのはほぼ同時であった。全力で走り抜ける。どうやらお互いに能力を使うつもりはないらしく、周りで火花が散ったりしても基本的には無視。ひたすらゴールに向かって走るのみ……といっても所詮は短距離走。あっという間にゴール間近まで来てしまっている。先にスピードを上げたのは刹だった。慌てて湊もペースを上げるも結局は無駄。一位は刹の手に渡ることになる。二位でゴールして明るく「あーあ。相変わらず早いですね、刹さんは」なんて言って笑うも相手にして貰えなかった。少しではあるが流石の湊もショックを受けた。
「危なかったねぇ、刹」
生徒会席でそんな風に言うのは月華。へらへらと笑いながら、能力が見られないのは残念だなぁとかそんなことを付け足すかのように言う。それを聞いていた風雅は「会長惜しかったなー」なんていう風に呟いて天を仰ぐ。腹が立つぐらいの晴天だ。ニィッと笑みを浮かべて頬を叩く。そんな様子を怪訝そうに眺める優希を軽くからかっては、いつものとおりだと自分に言い聞かせていた。なぜだか分からないが妙な不安が彼、風雅の中にはあるのである。どんな? と聞かれると答えることは出来ないが、居心地の悪さを感じる嫌なもの。深く息を吐き出して新鮮な息を吸い込む。
「何を考えてるんだか、俺」
らしくもない、そう考えて首を振る。気にするなどうせ下らない杞憂だ、時間がたてば忘れるさそんな風に思考を持っていく。怪訝そうな表情でちょっかいを出してきた優希にしか仕返しをする。倍返しで殴られて、羽音に慰められて……。そうして笑う。そうしていれば心配事なんてなくなるんだとでも言うかのように笑った。優希には「その笑いが気持ち悪い」と言われたがいつものことだから気にしない。そう、気にしなければいい、いつものことなのだからいつも通り必死に言い聞かせて、勢いよく立ち上がる。
「さぁて、次は俺の番だな!!」
そう言って風雅は待機場所へと向かう。
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