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○。やっぱりさ、運命には逆らえないんだよ ○。
1
:
櫻
◆jZgVcLWus2
:2010/11/16(火) 20:10:14 HOST:i114-183-128-120.s04.a011.ap.plala.or.jp
初めまして、櫻(sakura)です。
此処では私が兄弟愛の物語を書いていきたいと思ってます。
あらかじめ言っておきますので気分害したなどのコメントはおやめ下さい。
荒らしは駄目です、来ても無視ですので…。コメントを下さる場合は1行レスだけは控えて下さい。
では駄文で宜しければどうぞ…―――
>>2
17
:
名無しさん
:2011/12/19(月) 17:16:39 HOST:wb92proxy09.ezweb.ne.jp
中途半端が一番最低っていう
18
:
櫻
◆jZgVcLWus2
:2011/12/19(月) 21:45:37 HOST:i121-113-148-121.s04.a011.ap.plala.or.jp
+弟だから…いけないの?+
「有彩(arisa)」
授業終了のチャイムが鳴り響く。あたしは秋からそっと離れた。
「有彩…放課後、空いてる?」
秋はすぐに声を掛け、放課後の予定を尋ねてくる。あたしは少し考えたふうをする。
その様子に秋が俯く。あたしは少しおかしくなってくすくすと笑ってしまう。
「な、なんで笑うんだよっ」
慌てたように秋がそう言って少し不機嫌そうな顔をする。
「ごめんごめん。…放課後のことだったよね。」
まだ若干笑いながらあたしは謝る。小さく深呼吸して話を戻す。
秋はコクリと頷きあたしのことを見る。
「…心配しなくても空いてるよ。もう、部活も引退したし…他にも今日は用事はないから。」
安心した様子でほっと胸を撫でおろす秋の姿はやはり前とは変わってないんだなと思わせた。
「じゃあ、校門で…待ってるから。」
嬉しげな笑みを浮かべて秋は言う。
「分かった、あとでね。」
軽く微笑んで秋に抱きつく。顔を上げで秋と目を合わせる。
「うん…あとで。」
秋はそう言って少しかがむ。逆にあたしは少し背伸びをして秋の頬にキスをする。
あたしはすっと秋から離れてドアへと向かう。
「じゃ、放課後…っ」
手を振りながら少し振り返って言う。秋は少し手を挙げて「校門でね」と付け加えた。
in教室
「あ、有彩…っ 大丈夫だった?」
朝、声を掛けてきた子たちが声を掛けてきた。もう皆教室にいる。
「うん、まぁね…。」
苦笑しながら席に着くとチャイムは鳴った。
早く放課後にならないかな…?
授業中、ずっとそればかり考えていた。
続く――
19
:
櫻
◆jZgVcLWus2
:2011/12/20(火) 21:52:32 HOST:i121-113-148-121.s04.a011.ap.plala.or.jp
+弟だから…いけないの?+
「秋(aki)」
授業の終わりのチャイムが鳴っている。このままじゃまだ有彩と会えなくなってしまうような気がして…
冷静になれば、同じ家の同じ部屋で寝起きしているのだから、そんなことはないのだけれど…とにかく次に繋げておきたかった。
「有彩…放課後、空いてる?」
本当は昼休み。いや、次の休み時間が良かった。でも、いきなりそんなんじゃウザがられるかもしれない…そう思うと俺にとって放課後がちょうど良かった。
有彩を見ると何か考えてるようだった。その様子からもしかしたら友達との予定があるのかもと思い少し落ち込んでしまう。
少し俯いていると有彩のくすくすと笑う声が聞こえてきた。
「な、なんで笑うんだよっ」
「ごめんごめん。…放課後のことだったよね。」
俺が文句を言うと笑ったまま有彩は謝った。有彩の言葉に俺は頷く。
「…心配しなくても空いてるよ。もう、部活も引退したし…他にも今日は用事はないから。」
その答えを聞いて安心した。
「じゃあ、校門で…待ってるから。」
「分かった、あとでね。」
有彩は微笑み抱きついてきた。…目が合う。
「うん…あとで。」
言いながら少しかがむ。有彩は少し背伸びをして頬にキスしてきた。
驚いている間に有彩はもう離れていて、ドアに向かっていた。
「じゃ、放課後…っ」
有彩は振り返り、明るくそう言って手を振る。俺は少し手を挙げて「校門でね」と付け加えるように言った。
有彩が出ていくのを見送ってからゆっくりと教室へ戻った。
in教室
体育ももう終わっていて皆が教室にいた。
俺が席に着くと同時にチャイムは鳴った。
授業が始まる。
有彩と話が出来た。有彩が大好きと言って頬にだけどキスしてくれた。
何か別のことを考えなければと思うほど、そのことばかりが浮かんでくるのだった…。
続く――
20
:
燐
:2011/12/20(火) 21:57:53 HOST:zaq7a66c40f.zaq.ne.jp
おお!!!
何かエエやんw
21
:
櫻
◆jZgVcLWus2
:2011/12/21(水) 21:59:08 HOST:i121-113-148-121.s04.a011.ap.plala.or.jp
+弟だから…いけないの?+
「有彩(arisa)」
もうすぐ秋に会える。そう思うといつもは眠くつまらない6限目の授業も少しは楽しく思えた。
「有彩、有彩…」
名前を呼ばれて後ろを振り返る。
「何?」
「これ、まわってきた。書いて前にまわして?」
1枚の紙切れを渡された。
「了解。」
一応そう言って前を向く。紙切れに視線を落とし書かれていることに目を通す。
内容はまぁ、簡潔にまとめるとこうだ。
(3ヶ月後の卒業式の後でクラス会を開く。全員強制参加と言いたいが、予定がある者もいるだろうから、参加する人だけ名前を書いてほしい。)
「…3ヶ月後とかまだ分かるわけないじゃん…」
呆れたように呟く。そういえばもうすぐ私立受験だった。あたしは秋に合わせて低いレベルの公立高校を受験する。
だから…そう、つまりは受験勉強らしいことをしていなかった。ただ、授業の予習復習をしてるだけ。
ともかく分からないから名前は書かずに前の子を突く。
「これ、書いて前に回してだって…」
そう言って渡す。出来れば卒業式の日は家に帰ってやりたい事があった。
と言っても、まだ3ヶ月後のこと…そのことはまた今度考えればいい。
今は秋と早く会えさえすればいいのだ。チャイムが鳴った。
「授業は此処まで。p158の問3と練習問題宿題なー。」
そう言って授業は終了した。
「ほらほら、さっさと帰った帰った。」
あたしの学校に帰りの会というものは存在しない。
6限目の授業が終わるとそのまま解散。
掃除当番の人だけが残って教室と廊下を掃除して帰る。
「有彩ーっ 掃除当番だよ?」
「え?」
さっさと校門へ向かおうとしていた所を友達の優里に呼びとめられる。
掃除当番…そういえばそうだった。あたしは慌てて掃除をするはめになるのだった――…
続く――
22
:
櫻
◆jZgVcLWus2
:2011/12/22(木) 22:23:26 HOST:i118-20-59-218.s04.a011.ap.plala.or.jp
+弟だから…いけないの?+
「秋(aki)」
今日の授業はとても長く感じられた。やっと6時間目だ。
勉強嫌いの俺が寝ないで授業を受けられるようになったのは有彩のおかげ。
お母さんに「あたしは秋と同じ高校行くよ?」と言っていたのを聞いてからだった。
有彩と一緒の高校に行くために今は必至で勉強をしている。
「あ、ここ違うよ。」
前の席の佐々木君が俺のノートを見て言う。
「え…そうなんですか?」
俺はクラスの人とはほぼ敬語で話す。
「うん。だって源清盛なんて人いないもん。」
そう言うと声をあげて笑いだした。両隣の人も一緒になって笑っていた。
「……答え、本当は何が正解なんですか?」
分からないから聞く。笑われてもしょうがない。今まで勉強をサボってきた罰だ。
「ん? 答え教えて欲しいわけ? そこは足利尊氏だよ。全然違うしーあはははは。」
また声をあげて笑われた。
「そうなんだ。有難う御座います。」
あえてその笑いをスルーするように笑みを浮かべてお礼を言う。するとつまらなそうに前を向いてしまった。
もっと頑張らないとと思った。公立を受けるからには社会も理科も手を抜けない。
気付けば授業終了のチャイムだった…。
急いで校門へと向かう。もう有彩は来てしまっているかもしれない。
と思ったのだけれど…まだ有彩は来ていなかった。
その頃有彩は忙しげに掃除当番をしている最中であるが、そんなことは知らない。
なかなか来ない有彩の事を考え「どうせなら教室に迎えに行くにしとけばよかった。」と、あとから後悔したように呟いてしまうのであった。
続く――
23
:
櫻
◆jZgVcLWus2
:2011/12/23(金) 22:23:49 HOST:i58-93-127-151.s04.a011.ap.plala.or.jp
+弟だから…いけないの?+
「有彩(arisa)」
思った以上に掃除が長引いてしまった。秋は呆れて帰ってしまっただろうか?
いや、それはない…そんなこと考えてる暇があったら早く待ち合わせ場所に行くべきだ。
「じゃ、また明日っ」
クラスの子に挨拶をしながら鞄をぐしゃっと掴み取るとダッシュで教室を飛び出していた。
…あ、秋!! 秋の後ろ姿が見えると走っていた速度を少し緩めながら飛びついた。
「うわッ」
いきなりで吃驚したらしく、秋は大きな声を出す。そして、少し体制を崩したものの上手く立て直すと不機嫌そうにこちらを見る。
「遅いよ…有彩の馬鹿っ!!」
今にも泣きそうなくらいの声で少し裏返ってもいた。
「来ないかと、思った。」
俯きながら秋は言う。あたしはそっと抱き寄せた。秋は…とても冷たかった。
「遅くなって、心細くさせてほんとごめん。」
抱きしめる腕に力が入る。どうして掃除当番を忘れていたんだろう?
もっとちゃんと覚えてれば秋はこんなに寒い思いをしなくて済んだのに…
「良いんだ、有彩。掃除当番だったんでしょ?」
「うん。でも…なんで知ってるの?」
「制服じゃないのと…髪に埃が付いてるから。」
秋には何も言ってないのに、こういうことにだけはいつも察しが良かった。
秋が髪に付いてしまった埃をとる。
「ありがと。」
「どういたしまsはっ…クシュンッ!!」
「ごめん、風邪ひいちゃったかもしれない…あたしのせいだ。」
秋がくしゃみをする。ぎゅっと抱きしめてあたしはそう言う。
「俺は大丈夫。それより有彩が冷えちゃうからもう帰ろう?」
「そうだね。」
別にあたしが冷えるのなんてどうでもいい。今は早く家に帰って秋にあたたまって欲しかった。
秋にとって…今学校を休むのはとても辛いこと。風邪なんてひかせてたまるかっ!!
あたしと秋は足早に家へと向かった。
続く――
24
:
櫻
◆jZgVcLWus2
:2011/12/25(日) 19:26:34 HOST:i121-113-144-44.s04.a011.ap.plala.or.jp
+弟だから…いけないの?+
「秋(aki)」
「うわッ」
いきなり誰かが飛びついて来た。思わず大きな声を出してしまうのと同時に、自分に向かってこういうことが出来るのは有彩しか居ないと思う。
崩しかけた体制を立て直しながらむっとした表情を浮かべて有彩を見る。
「遅いよ…有彩の馬鹿っ!! 来ないかと、思った。」
声が裏返ってしまった。恥ずかしいのと安心したのとで俯いてしまう。
有彩がそっと抱きしめてくれる。有彩の呼吸が荒い。走ってきてくれたんだ…。
「遅くなって、心細くさせてほんとごめん。」
有彩の腕に力が入る。有彩の髪に埃が付いてる…しかもジャージだし。
「良いんだ、有彩。掃除当番だったんでしょ?」
「うん。でも…なんで知ってるの?」
「制服じゃないのと…髪に埃が付いてるから。」
有彩の髪に付いている埃をとる。
「ありがと。」
有彩が微笑みながら言う。
「どういたしまsはっ…クシュンッ!!」
「ごめん、風邪ひいちゃったかもしれない…あたしのせいだ。」
有彩はすぐ自分のせいにする。今日のは俺が悪いのに…。それにこの程度で風邪ひくほどやわじゃない。
「俺は大丈夫。それより有彩が冷えちゃうからもう帰ろう?」
「そうだね。」
家に帰ったら有彩とこたつに入りたいな。勉強も一緒にやりたい。
お母さんやお父さんはどう思うのかな? 姉弟仲良しだって思ってくれるのかな?
それとも……
昨日の夜のような事を思うのかな。
続く――
25
:
櫻
◆jZgVcLWus2
:2011/12/28(水) 21:33:56 HOST:i114-181-39-43.s04.a011.ap.plala.or.jp
+弟だから…いけないの?+
「有彩(arisa)」
in子供部屋
「はッくしゅっ……ズルッ」
「大丈夫?」
あぁ、馬鹿は風邪ひかないって本当なのかもしれない。
あの一回以来秋はくしゃみも咳も全くない。それに比べてあたしは…
「んー…平気。」
人の心配しといて自分の事を疎かになるとは情けなさすぎる。
「そう? 有彩って意外と体弱いんだよね。」
苦笑しながら秋はそんな事を言う。
「そこまでじゃない。休み明けで身体が鈍ってただけだし。」
確かにこの時期は毎年風邪をひくけど、それはお正月という生活リズムが崩れる行事があるからで…
「そっか。というか鼻かみなよ。」
秋がティッシュを差し出しながら言う。あたしはそれを取って鼻をかむ。
「ありがと。…この部屋寒い。」
少し身震いしながら呟く。そういえば今年は正月も明けたというのにカーペットも無ければヒーターも無い。
確かにエアコンの暖房は点いているけども寒い。
「じゃあ、下行こう? ここよりはあったかいよ。こたつもあるし。」
「うん、そうしようか。」
秋の意見に賛成してあたし達は下へ向かった。
in居間
ドアを開けると温かな風があたし達を包みこんだ。廊下がひんやりと冷たく寒かったのもあって居間がとても温かく感じられた。
「有彩、宿題やろうと思うんだけど…。」
「うん? それで?」
「分からないところ、教えて欲しいんだ。」
あたしはにっこりと微笑む。
「そっか。分かった、全部答え教えればいいんだね?」
「…それ、何か酷くない?」
「ううん、全然酷くないよ。」
秋が不満そうな表情をして言う。それに対しあたしは微笑んだまま返す。
「有彩って…変なところで笑顔になるよね。」
「そう? 普通に優しいお姉さんのつもりなんだけど?」
「いや、優しいお姉さんだったら一つ一つ教えてくれるものでしょ。」
分かってないなーという様子で秋がペラペラと話しだす。こうなると15分は平気で喋ってる。
「全部答え教えたんじゃ意味無いんだよ。分かってくれた?」
「あーはいはい…分かったから。というか教えてもらう側の人が15分も延々と説教じみたこと言わないでよ。」
呆れたようにあたしがそう言うと秋は溜息をついた。
「15分も話してるのに分かってくれないんだね…。」
いきなり涙目になると秋は言った。この泣き虫があ!!と怒鳴りたいところだが、まぁここは抑えることにする。
「分かってる。だからさ、早くこたつ入ろうよ。また洟が垂れてきたんだよね。」
「ごめん…。こたつにも入らずに寒かったよね。現に俺も寒いし。」
あたしと秋はこたつに入る。近くにあったティッシュを取り鼻をかむ。
「さ、何処を教えればいいの?」
こうしてあたしと秋の勉強会(宿題編)が始まったのである。
続く――
26
:
櫻
◆jZgVcLWus2
:2012/01/01(日) 23:10:10 HOST:softbank219183155041.bbtec.net
+弟だから…いけないの?+
「秋(aki)」
in子供部屋
「はッくしゅっ……ズルッ」
「大丈夫?」
家に帰ると有彩はくしゃみをたくさんした。やっぱり俺のせいで風邪をひいたんだ。
「んー…平気。」
有彩の返事はちょっと頼りない感じだった。
「そう? 有彩って意外と体弱いんだよね。」
「そこまでじゃない。休み明けで身体が鈍ってただけだし。」
明らかに言い訳にしか聞こえない。でも、毎年この時期だからそれもあるのかもしれないと思った。
「そっか。というか鼻かみなよ。」
ティッシュを差し出すと有彩はそれを取って鼻をかんだ。
「ありがと。…この部屋寒い。」
寒そうにしている有彩は少し震えているようだった。確かに寒い。
「じゃあ、下行こう? ここよりはあったかいよ。こたつもあるし。」
「うん、そうしようか。」
俺の意見に有彩はすぐ賛成して下に行くことになった。
in居間
ドアが開くと温かな風が俺達を包みこんだ。廊下がひんやりと冷たく寒かったのもあって居間がとても温かく感じられた。
「有彩、宿題やろうと思うんだけど…。」
「うん? それで?」
「分からないところ、教えて欲しいんだ。」
有彩と一緒に宿題をするなんていつ振りだろう? そんなことを思っているとふいに有彩はにっこりと笑った。
「そっか。分かった、全部答え教えればいいんだね?」
その言葉に少しイラッとする。全部教えるということは全部俺が分からないということになる。
「…それ、何か酷くない?」
「ううん、全然酷くないよ。」
未だ笑みを浮かべたままの有彩に向かって俺は言う。
「有彩って…変なところで笑顔になるよね。」
「そう? 普通に優しいお姉さんのつもりなんだけど?」
すると有彩はわざとらしい口調で言う。
「いや、優しいお姉さんだったら一つ一つ教えてくれるものでしょ。全部答え教えたんじゃ意味無いんだよ。分かってくれた?」
一生懸命話したつもりだったが、有彩は全然聞いていてくれなかったようだった。
「あーはいはい…分かったから。というか教えてもらう側の人が15分も延々と説教じみたこと言わないでよ。」
俺は溜息をついてしまう。
「15分も話してるのに分かってくれないんだね…。」
有彩には分かってもらえないのだと思うと急に悲しくなった。
「分かってる。だからさ、早くこたつ入ろうよ。また洟が垂れてきたんだよね。」
有彩にいわれてはっとする。そういえば有彩は風邪気味だったのだ。なのに15分も立ったまま話を聞いていてくれたんだ。
「ごめん…。こたつにも入らずに寒かったよね。現に俺も寒いし。」
俺は謝りありさとこたつに入る。有彩が鼻をかんだ。
「さ、何処を教えればいいの?」
こうして俺と有彩との勉強会(宿題編)は始まった。
続く――
27
:
櫻
◆jZgVcLWus2
:2012/01/05(木) 20:01:48 HOST:i114-185-54-207.s04.a011.ap.plala.or.jp
+弟だから…いけないの?+
「有彩(arisa)」
…あたし達、姉弟なんだよね。ほんと疑いたくなる。
顔も性格も全く似てない。いや、それ以上に…同じ中3でなぜここまで学力に差が出来るんだ?!
「あー…だから此処はこうだって。ほんと理数系+英語できないんだねぇ?」
あたしは笑みを顔に張り付けたまま秋の宿題の面倒を見ている。
そう、宿題を見るだけ。なのに…っ!
「ねぇ秋、なんで此処に中1の教科書を広げなきゃいけないのかなぁ?」
「しょ、しょうがな良いじゃん…分かんないんだから。」
秋は、中学に入ってからの勉強内容が頭に残ってない。
それはもう確信に近かった。秋の馬鹿さ加減がそれを認めざるを得なくさせるから。
「…あと、質問。何で数学やってる時に国語と社会開く?」
秋が国語と社会が好きで得意なのは知っている。
でも、なんで今それに触れる必要があろうか? 秋の大っ嫌いな数学をやっている時に。
「好きなものも一緒にやった方が効率的かと思って。」
などとわけ分からんことをぬかす。もう、救いようがない…
「要するに、飽きたんでしょ。はっきり言いなさよ。」
溜息をつきながら秋を見る。
「うん。でも、付き合って貰っといて"飽きた"って言うのはちょっと…」
おずおずとした様子で言う。そういう所が嫌い。
なんではっきりしゃっきり出来ないのか?
もっと自分に自信を持てばいいのにと何度も思ってしまう。
「まぁいいわ。今のままで、高校いけずに困るのは秋だから。」
こればかりはあたしには何にも出来ない。
高校に合格するかどうかは秋次第。
あたしはただ受かるかどうかも分からない秋に合わせて高校受けるだけ。
秋には出来る限り勉強教えるけど、やる気がないならそこでおしまい。
「……有彩は俺と一緒の高校行きたい?」
秋があたしの様子を窺いながら聞いて来る。
「そうじゃなかったら同じ高校なんて受けないけど?」
あたしはそう言って立ち上がる。
「有彩?」
「なんか疲れたから寝る。頭痛いし。」
「え…大丈夫なの?」
全く、秋は心配性だ。まぁ、それが良いとこでもあるんだろうけど。
「あーあ、大丈夫じゃないかも。誰かさんのせいで無駄に頭使ったし。」
「ご、ごめん。」
「別に秋のせいなんて言って無いじゃん。」
素直に謝れる秋が羨ましい。でも、冗談通じないのは…微妙。
「とにかく寝るから。お母さん帰ってきたら寝てるって言っといて。」
「うん。分かった。」
「あ、余計なことは言うんじゃないからね?」
秋はコクリと頷いた。あたしはそのまま部屋に戻ってベッドに横になった。
今思うと、今日1日が本当に長く感じられた。
続く――
28
:
櫻
◆jZgVcLWus2
:2012/01/07(土) 20:05:26 HOST:i58-93-118-220.s04.a011.ap.plala.or.jp
+弟だから…いけないの?+
「秋(aki)」
「あー…だから此処はこうだって。ほんと理数系+英語できないんだねぇ?」
有彩が怖い。それは俺の本能の叫びだった。にっこりと笑ったまま、宿題を教えてくれている有彩。
さっきからずっとこの顔。もう、怒ってるんだか呆れてるんだか…分からない。
「ねぇ秋、なんで此処に中1の教科書を広げなきゃいけないのかなぁ?」
もう、分からないんだからしょうがないとしか言いようがない。
「しょ、しょうがな良いじゃん…分かんないんだから。」
数学なんて嫌だ。どうして算数だけじゃいけないんだろう? 算数だったら分かるのに。
「…あと、質問。何で数学やってる時に国語と社会開く?」
数学に飽きると他の教科がやりたくなる。多分誰だってそうだ。これは俺だけじゃない!!
でも、そんな事有彩に向かって言えるわけもなく…咄嗟に思いついた言い訳を言う。
「好きなものも一緒にやった方が効率的かと思って。」
「要するに、飽きたんでしょ。はっきり言いなさよ。」
有彩が呆れたように溜息をついた。口下手な俺に呆れたのか、それとも馬鹿な俺に呆れたのか。…多分その両方だ。
「うん。でも、付き合って貰っといて"飽きた"って言うのはちょっと…」
これは本心。しかし、はっきりとは言えない。俺は臆病者。
「まぁいいわ。今のままで、高校いけずに困るのは秋だから。」
やっぱり、自分のことは自分でやらなきゃいけない。いくら有彩でも俺が高校に受かるようにするのは無理だ。
俺がもう少しやる気を出せれば有彩にだって勉強を教えるくらいのことは出来る。
「……有彩は俺と一緒の高校行きたい?」
「そうじゃなかったら同じ高校なんて受けないけど?」
その言葉が嬉しかった。もう少し頑張ってみようと思った。有彩ばかりではなく自分の力で。
有彩が立ち上がったので声を掛ける。
「有彩?」
「なんか疲れたから寝る。頭痛いし。」
「え…大丈夫なの?」
頭が痛いと聞いて咄嗟に出た言葉。いつも大丈夫かと聞いてしまうけれど、やはり心配性だとか思われているのだろうか?
「あーあ、大丈夫じゃないかも。誰かさんのせいで無駄に頭使ったし。」
「ご、ごめん。」
「別に秋のせいなんて言って無いじゃん。とにかく寝るから。お母さん帰ってきたら寝てるって言っといて。」
今の場合、誰かさんて言われたら俺以外に当てはまる人なんかいないじゃないか…。
「うん。分かった。」
「あ、余計なことは言うんじゃないからね?」
一応頷いておく。でも、有彩はどうした?と聞かれたら答えてしまう気がする。
有彩が居間を出ていくのを見てから残りの数学の宿題にとりかかった。
「有彩、自分の宿題もちゃんとやってたんだ。」
さっきまで全然気付かなかった。自分の事でいっぱいいっぱいだった。だけど、有彩は違う。
俺は、2年と数カ月分、有彩と違う。その分だけ有彩が先に行ってしまった。
俺が有彩に追い付くには、有彩よりも早くかつスピードを落とさずに行かなければならない。
それはきっと考えてるよりも何十倍も何百倍も大変で辛いんだ。
今まで、俺は大変なことは後回しにしてきた。あとで辛くなると分かっていても…。
今日は特別な日。有彩の気持ちを聞いた、大切な日。自分の気持ちを伝えた、記念日。
今日からは変わろう。今ままでと違う俺になる。もう逃げない。正面から立ち向かう。
もう、自分で自分を臆病者だと言わない為に、思わない為に。
続く――
29
:
櫻
◆jZgVcLWus2
:2012/01/22(日) 20:08:26 HOST:i114-185-55-174.s04.a011.ap.plala.or.jp
+弟だから…いけないの?+
「有彩(arisa)」
in子供部屋
気付いたらもう朝だった。まさか本当にお母さんが来ないとは…ちょっと計算外だった。
秋の事だからどうせ余計なこと言って秋以上に心配症のお母さんが来ると思っていたのだが…。
まぁ、いいか。ゆっくり眠れたし。
「秋…相変わらずだなぁ。」
こんな寒いというのに布団から手足が飛び出てる。一体どう寝たらこうなるのか…?
そんな事を考えながら布団の中に手足を入れてやる。普通だったら目を覚ましても良さげだが、秋はこんなんじゃ絶対目を覚まさない。
洗面所へ行き身支度をする。
「有彩ー、秋を起こして来い。」
朝から大きな声出さなくても…もう少ししたらそっち行くのになぁ。
お父さんは気紛れだから仕方ないかと思いつつ子供部屋へと向かう。
「秋ー朝だよ、起きな。」
言いながら秋を揺さぶる。でも、起きる気配はない…。
「しょうがない、今日もお目覚めの一発いきますか。」
息を吸って勢い良く――
ゴンッ
「…っ」
「おはよ、秋。」
秋は額をおさえながら寝ぼけ眼であたしを見る。
「おはよ…有彩。」
秋の声の調子が沈んでる気がする。気のせいかもしれないが聞いてみた。
「何か不満でも?」
「別に。」
何故か秋はそう言って布団に潜ってしまった。何がいけなかったのか、あたしには分からない。
「…秋?」
「何?」
返事はすぐに返ってくる。でもこれは明らかに拗ねてる。一か八か言ってみるか。
「秋、おはようのキスはないの?」
返事がない。図星か…多分秋が不機嫌なのは昨日のあれがあったのにいつもと変わらず頭突きで起こされたからだろう。
「…あるよ。」
その言葉を聞いたと思うと同時に秋の顔が目の前にあった。
「秋、怒ってる?」
唇が触れ合う。それはほんの少しの時間だった。
「怒ってない、今はね。でも、明日からはもうあんな起こし方はしないで欲しいな。」
「それは構わないけど、起きれるの?」
少しの沈黙があった。
「有彩が苦しくなるまでしてくれたら絶対起きれるよ。」
秋が笑った。冗談で言ったのか、それとも本気で言ったのか、笑いで分からなくなってしまった。
「…あのさ、それってこっちも苦しくない?」
「まぁ…その辺は上手くやってよ。お姉ちゃんなんだからさ。」
秋は簡単に言うけど、そんなのどうすればいいのか分からない。
キスだって、生まれてから秋としかした事ない。親を除けば。
こんな時ばっかりお姉ちゃんなんだからって片付けるのはずるいんじゃないかな?
「有彩?」
「じゃあ、練習させて…?」
続く――
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