さて、準備は整った。双剣をかき消す。ここからは魔力の一滴も無駄に出来ない。ただ一言、世界ではなく自身に働きかける言の葉を告げる。
「――I am the bone of my sword」
そう、体は硬い剣で出来ている。
さあ、その刀身を磨き上げろ。
「……はっ、づ……ッ!」
回路を廻せ。もっと速くもっと速くもっと疾く。ギアを上げろ。アクセルを吹かせ。ロー、セカンド、サード、トップ、オーバートップ。あまりの負荷にエンジンが悲鳴をあげる。構わない。そのうち歓喜の嬌声に替わる。重要なのは初撃。重さは要らない、鋭ければいい。無茶な強化に指先の毛細血管が弾けた。ぽたぽたと滴り落ちる。少しでも動けばこれが全身で起こるだろう。ああ、眼球の血管まで音をあげた。赤い視界。その真紅の世界で、敵だけが蒼い。もっと速くもっと速くもっと疾く――。唸りをあげろ。
さあ衛宮士郎、Are you ready?
そして、
「いくぞ機械人形――――剣技の模倣は十全か」
お前も。
サイト「月光華園」ttp://www2.odn.ne.jp/~aac25730/
千年雨氏投稿SS『Fate / ANCIENT Ys VANISHED THE LAST CHAPTER』Vol.3より
我に返った士郎の視界を凶暴な極光が蹂躙する。黒真珠が、向こう側より導き出す魔力を全て破壊の波動へ変換して、抗う人間を灰燼に帰そうとしていた。
「――確かに、受け取った」
だが恐れはない。畏れる必要は何処にもない。
「オマエの世界、アンタの剣――ああ、確かに譲りうけた」
毅然と立ちあがった彼の脳裏には二人の男の影がある。アイツに笑われるわけにはいかない。アンタの頼みもちゃんと聞いた。
鋼鉄が鳴り響いて、二十七の撃鉄が次々上がる。閉じていた回路が覚醒する。否、新生する。芽吹いた回路は貪欲に動き始める。力が、漲る。
だったら、後は往くだけだ。士郎は赤い荒野より貰ってきた詩を口ずさむ。
「I am the bone of my swords」
そして俺は、剣だけで出来ているわけではない――。
空間が熱を帯びる。黒真珠より伸びる滅びの閃光へ、士郎は右腕を翳し、謳った。
Loneliness is my home(孤独は我が住処、) and refusal is my route. (拒絶は我が道筋。)
A huge rampart retreats others(巨大な城壁は他を退き、) and isolates my world.(己が世界を隔離する。)
It is the origin not changing.(それは変らぬ根源、)
It is restraint which is not changed.(それは変えられぬ束縛。)
Therefore, nobody exists in my world.(故に、我が内なる世界には、何人たりとも存在しない。)
It is the “empty heart.”(そこは、“拒絶した虚空界”)
「さあ、グッバイ人生!
インパクトフルストライク! 心象風景最大展開!!
I am the bone of my sword――――――――!」
『YA-HA! okay, all right, Yes, master, yes!!
Steel is your body, and fire is your blood.
We have created over athousand blades.
set up all ………… Green! Green!! Green!!!
pattern select 《U.B.W.》!!