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ここだけ魔術のある世界

1名無しの魔術師:2011/11/21(月) 04:52:24 ID:aE0iMq0A
混乱防止のため、既にイベント進行中等の場合は極力もう一つのスレで。

参加する際の注意事項
・俺Tueeeeeeeeeeeや、厨設定、強さのインフレはほどほどに
・魔法は「魔元素設定」に沿った設定であることが望ましい

・『中の人の』安易な気持ちで人(自キャラ、NPC含む)を殺すな。死んだら生き返りません。
・鬱展開とシリアス展開は違います。ただし、↑と共に『キャラとして』相応しいなら問題はありません。

・場の空気は出来るだけ読もう。カオスな時もあります
・書きこむ前にリロードを
・描写はできるだけ丁寧に。認識のすれ違いを避けるためです。
・本スレの出来事は演技ですから恨まぬように、また演技に私怨を持ち込まない。
・眠い時は無理せず寝ましょう 健康を損ねないように
・多数対少数の場合は、少数の中の人たちのことも考えよう
・スルーされてもめげない
・一番重要なのは楽しませること、そして楽しむことです。

イベント、ストーリー展開に関する注意事項
・乱入されても泣かない。乱入が嫌なら先に断っておきましょう
・あまりにも無茶な振りをしない。されて困る事はしない
・次の日に持ち越す事も考えよう。
・単なる自己満足はほどほどに。
・乱入前に…
 イベント発生場所に貴方のキャラクターが居る可能性がありますか?
 相手のキャラクターとの関係はどんなのですか?
 自分のキャラは何事にも首を突っ込むキャラですか? の3点を確認しよう。
・乱入する前にレスをしっかり読もう。
スレ立ては
>>900 or >>950 or >>980 or >>1000

630名無しの魔術師:2014/06/01(日) 23:53:16 ID:3cQHs10o
>>628
交換屋店主「ほう、そいつは良い取引をさせてもらったね」

商談が成立したのと時同じく、男が一人店内に入ってきた。
どうやら向かいの武器屋のようだ。

武器屋店主「お、おい!さっき変な格好した奴らが
      えらい人数で廃墟エリアに向かって行ったぞ
      警備隊に伝えた方が良くないか?」


交換屋店主「なんだって?物騒だなこんな情勢の時に…
      しかしこんなストリートにすぐに手配してもらえるか?」

会話をしながら、二人の視線はさりげなくハイネケンに向かっている。

631ヒナタ:2014/06/03(火) 00:43:29 ID:???
>>629
そういえば、こちらの素性を教えていなかった事を思い出す。
成る程、彼女の心配も無理のない事だ。

「無論。むしろ二人まとめてでも構わんぐらいだ」

不敵な笑みを浮かべて答えると、自分に近い敵へと向き直った。言葉の通り、任せても大丈夫だろう。

632ハイネケン:2014/06/03(火) 22:32:34 ID:.5Qh7Mlc
>>630
「どうもありがとう。それじゃ」
回路を鞄に仕舞い、盾を手にとって店を去ろうとしたところで男が入ってくる。

そして会話が聞こえてきた。
(ん、変な格好をした奴らが廃墟にねえ……)
さりげない視線も感じる。
(おやおやこいつは……面倒だなあ……)

「俺が行ってみるよ。これも任務の一環かもしれない。
 ところでこの盾、現状で作動するかい?」
交換屋の返事を聞けば、すぐに廃墟エリアへ向かう。

633ディーナ:2014/06/04(水) 21:02:44 ID:3cQHs10o
>>631
「大した自信だな、では任せたぞ」
そう言って笑みを返すディーナの額には、うっすらと汗が浮かんでいた。

敵と向き直ると、双剣を握った白装束の狼面は素早くヒナタに詰め寄り右手に握った黒い剣を振るう
剄が籠っているのだろう。青い光を帯びたその刃がヒナタに迫った。
>>632
廃墟とは、この都市に来て最初の汚染獣戦の時に
ハイネケンがアオイやイーグリット等と共に戦闘した区域だ。

交換屋「おお、ありがたい!
    盾の作動?問題はないはずだよ!すぐに使えるのがうちの自慢さ」

武器屋「ついでにコイツを持ってきな、
    ちょっとばかし心をいれかえなきゃいけなくなってな」
そう言って武器屋の店主はハイネケンに術式兵装に装着する装置を手渡してきた。

武器屋「ラウンドシールドと相性は良いはずだ、
    興味を持ったら取りつけて起動してみてくれ」

634ヒナタ:2014/06/04(水) 23:19:42 ID:???
>>633
「……?」

彼女の額に浮かんだ汗を見て首を傾げていたが、それも束の間だ。
向き直って間も無く、狼面の一人がこちらへと詰めて来る様を見やると、そちらへ意識を集中させる。

(剄を篭めているか、なら)

握った剣を、盾代わりに構える。
だが、盾と言っても真っ向から受け止める訳ではない。自身も剄を扱うならまだしも、現状でそのような真似はしない。
以前の戦いから、剄が膂力の差を埋めるだけの力を宿している事は承知している。

受け止めるのではなく逸らすべく、柄を握る力はあくまで自然に。
迫り来る刃の軌道上にこちらの刃を置く事で、相手の力に殆ど逆らう事無く“受け流す”事を試みる。
剄力次第では最悪、剣が弾かれてしまう事も有り得るだろうが、それは構わない。

重要な点はただ一つ。
危機を脱した上で、相手が取り得る次の一手よりも速く、こちらが動く一瞬の猶予が出来るかどうかだ。

635ハイネケン:2014/06/05(木) 22:52:43 ID:ug9sdVo2
>>633
「ん、それなら早速使わせてもらうよ。
 ……これは?」
手渡された装置を少し眺める。

「そうか、ありがとう。活用させてもらうね」
盾と装置を手に廃墟エリアへと向かう。

(盾と相性のいい装置か。場合によってはやってみるのも悪くないかな)
それとなく左の義手を見遣って、そして前を向き走る。

636名無しの魔術師:2014/06/07(土) 02:50:15 ID:3cQHs10o
>>634
剣同士がぶつかり合う。ヒナタの思惑通り、受け流す事に成功した。
自身の獲物が手から弾かれる事は無かったが、
相応の衝撃が手に伝わる。ヒナタの力量ならば問題はないだろう。

一方、敵はぶつかり合う事を想定していたのだろう。結果的に振り抜く姿勢になってしまう。
そのロスは反撃にあてがうに十分な時間だ。

637名無しの魔術師:2014/06/07(土) 02:53:35 ID:3cQHs10o
>>635
廃墟エリアにたどり着くと、すでに交戦している気配と音が聞こえて来た。
それと、周囲に不自然な人型の砂山がいくつか出来ていた。
これは倒された狼面衆の残骸なのだが、連中の存在を知らないハイネケンには見当つかないだろう。

現場に駆け付ける、または様子を見ると18小隊に所属しているヒナタ・アキツキ隊員が交戦中だ。
更にもう一人、隻眼の女騎士が盾のみで白いローブに狼面をつけた双剣使いと戦っている。
武器がないのではないのは動きで分かるだろう。ハイネケンと同じく盾使いの武芸者のようだ。

638ヒナタ:2014/06/07(土) 03:46:23 ID:???
>>636
衝撃が伝わり顔を顰めるが、その口元には笑みが浮かんでいた。
僅かな、だが決定的な隙を晒してしまった相手を嘲笑うように、

「――取ったぞ」

言葉を発すると共に素早く踏み込む。
そして、目前の敵の鳩尾を目掛けて、握った柄の先端を叩き付けるべく腕を振り抜いた。

639ハイネケン:2014/06/07(土) 22:33:32 ID:ug9sdVo2
>>637
「始まってるね……ん、これは……砂?」
道中に居並ぶ奇妙な砂山達に意識が向く。
狼面衆と直接渡り合ったことならあるが、倒した彼等のその後を観察する余裕は無かったため、
それが亡骸とは気付けなかった。
「なんでまたこんな形になってるんだ?」
ただ、自然のものでないことは確実だ。何かある可能性は高いと判断。
周囲を警戒しつつ、入手した盾をいつでも展開できるようにしたうえで、
まずは先の様子を伺う。

「あれは18の……確かアキツキさんだったかな?
 あと一人は盾使い、それもかなりの使い手だが誰だろう。
 相手は……狼面の連中!」
以前に交戦した時、狼面衆のすぐ近くには都市内にも関わらず汚染獣がいた。
そしてここは、この都市に来た時に汚染獣との交戦があった区域……。
やはり連中と汚染獣には相当深い関わりがある。そう確信した。

周囲に増援などが来ないか否か、確認する。
彼女たちの技量ならば、一対一においてそうそう破れはすまい。
ならば今、自分がやるべきことは、お邪魔虫の排除だろう―そう考えたのだ。

640名無しの魔術師:2014/06/13(金) 02:30:29 ID:3cQHs10o
>>638
振り抜かれた柄は見事に鳩尾を射抜き、くの字に曲がり吹き飛ぶ。
破損した家屋の壁に叩きつけられる白い狼面。しかし砂になって消える事はなく、よろよろと立ちあがってきた。
頑丈さも向上してるようだ。立ち上がると再び全身に剄を漲らせる。

>>639
学園都市では盾使いとして上位に位置するであろうハイネケンから見ても
目の前の女騎士の盾さばきは見事の一言だろう。狼面の敵の攻撃を全て受け切り、僅かな隙にその大盾で反撃をしている。
終始圧倒と言っても差支えない状況だと言うのに、何故だろうか

女の表情に余裕がない。見れば汗を尋常じゃないほどにかいている。
それを疑問に思った次の瞬間だった。

ディーナ「!…ッ……!!」
女は口を押さえて、突然座り込んでしまった。

反撃を受けて倒れていた狼面の双剣使いは立ち上がりそれを確認すると
右手に握った剣をゆっくりと振り上げた。

641ヒナタ:2014/06/14(土) 00:46:02 ID:???
>>640
「おや、思ったより頑丈らしいな。良いだろう、次の一手で決めてやる」

そう言って剣を構えるが――
すぐ近くに居るディーナの異変に気が付いたのだろう。そちらへと視線だけを向ける。

(まずい、病の影響か……!?)

自身が相手取っている狼面との距離はある。少なくとも一手は猶予がある。
そう判断した上でヒナタが取った行動は――『投擲』であった。

ディーナを仕留めようとする狼面目掛けて、構えていた剣を振り向きざまに一投。
矢の如く空間を疾走し、一直線に貫きに掛かる刃。空手となってしまうが止むを得まい。
全身に剄を漲らせた狼面も相手取る以上、これが最善であったと願うしかない。

もしもディーナを狙う狼面を阻止出来なければ、最悪、対峙した相手を無視して彼女を庇うべく、その身を走らせるだろう。

642ハイネケン:2014/06/14(土) 21:39:57 ID:ug9sdVo2
>>641
「なんだ、様子がおかしい……」
そう感づいた瞬間、ハイネケンは駆け出していた。
目指す先は盾使いと彼女を狙う白狼面の間。

「ちょっと失礼! レストレーション!」
二人の間に割り込みながら、先ほど入手したラウンドシールドを展開。
振りかざされた剣はヒナタの援護もあり女盾使いには届かないだろう。

643名無しの魔術師:2014/06/19(木) 00:07:21 ID:3cQHs10o
>>641-642
ヒナタが投擲した剣は狼面の頭を貫く。
しかし、元々真っ当な人間ではないのだろうコレはそれを意に返さず剣を振り下ろした。

が、貫かれ瞬間に狼面の身体の位置がズレた事でハイネケンは
十分過ぎる隙を得て間に入り込みラウンドシールドを構えた。
遅れて振り下ろされた剣はその丸盾によって防がれる。

ディーナ「め、面目…ない…」
ハイネケンが視線を移すと、ディーナの口を押さえている指のすき間から血が溢れていた。
理由は分からないが彼女はこれ以上戦う事は難しいだろう。

必然的にこの狼面の相手は自分がしなくてはならなそうだ。

一方、
それを確認したヒナタが再び自身の相手の方へ振り返ると
たっぷり時間はもらったと言うように身体に剄を漲らせて双剣を構える狼面の憎たらしい姿が確認できるだろう。
投擲してしまった為、武器はハイネケン達の方にある。

644ヒナタ:2014/06/19(木) 00:20:52 ID:???
>>642-643
「お前は……! 助かった、ありがとう」

ハイネケンの手助けもあり、ディーナが負傷せずに済んだようだ。
と言っても攻撃を受ける事を免れたに過ぎず、彼女が戦闘不能である事に変わりはない。
ディーナが相手取っていた狼面はハイネケンに任せ、改めて、自身が相手にしていた狼面へと向き直る。

「……ふむ、元気そうで何よりだ」

「で、いくら剄が優秀な力とはいえ、まさか扱える程度で私に勝てる等と思い上がってないだろうな?」

ゴキゴキと指を鳴らしながら語り掛ける。
その様子は「お前の相手など徒手空拳で十分だ」と言っているかのようだ。

645ハイネケン:2014/06/21(土) 22:26:43 ID:ug9sdVo2
>>643-644
「何、気にしないでくれ……よっ! と」
右腕に装備した円盾に剄を込め、受けた剣を押し返す。

「それにしても人間離れしすぎだろう……」
ヒナタの剣が刺さったままの狼面の姿に驚きを覚えるが、それも一瞬。

「まあいいや。君たちには聞きたいことができたんでね、狼さん」
女騎士を守るその目つきが鋭くなる。
盾使いにならわかるだろう。背中ごしにでも、その構えに隙がないことを。

646名無しの魔術師:2014/06/24(火) 16:27:15 ID:3cQHs10o
>>644
ヒナタの態度を知ってか知らずか。
狼面の男は双剣に剄を漲らせると、地を蹴り一気に距離を縮めて来た。
そして間合いに入ると殴り飛ばされる前とは比べ物にならない速度で剣を振るう。

気のせいかもしれないが、この狼面からは対抗心のような物が感じられるような、そんな攻撃だ。

>>645
ディーナ「……」
(学園都市と聞いていたが…若いのに随分と堂に入った構えだ)
口を押さえながら、ディーナはハイネケンの実力を伺い感心していた。

押し返された狼面の男は再び構えを直すとすぐさまハイネケンに斬りかかってきた。
手数に任せた乱撃で防御を間に合わなくさせようと言うのだろうか。

647ヒナタ:2014/06/24(火) 17:13:40 ID:???
>>646
(さっきより随分と速い――だが!)

狼面が剣を振るったのに合わせ、回避に動く。
刃の軌道から外れるように体を逸らし、すかさず反撃の前蹴りを放つ。
短い溜めから繰り出されたものであるが、その威力は生身なら命に関わる程の威力を備えている。


――余談だが。
手数を封じる手段として、その一つは“そもそも振らせない事”がある。

ヒナタは剄に頼らずとも超人的身体能力を誇るが、熟練の武芸者が剄を扱う事でその域に迫る。
剄を含めてもヒナタには及ばないだろう。だが、その差は決して圧倒的なものではない。

下手に回避に徹した所で被弾する可能性が高く、ただ逃げていては被弾するだけで相手は無傷となってしまう。
故に、被弾を覚悟の上で、相手に一撃を加える事を選んだのだ。

被弾覚悟の反撃を取ったもう一つの理由は、狼面の男自身にある。
漠然としたものだが、男の攻撃は感情的な行動だとヒナタは感じた。

怒りなのか別の何かか判別のしようがないが――感情の乱れがあるのならば。
回避(にげる)のではなく反撃(やり)返す事で、相手の平常心を奪えないかと考えたのである。

648ハイネケン:2014/06/27(金) 18:49:57 ID:ug9sdVo2
>>647
「おっ、速いな」
再びの刃に即応、少し腰を落とし、ラウンドシールドでやや斜めに受ける。
盾の曲面で刃を滑らせるつもりだ。

だが、受けるだけでは済まさない。

盾を傾けたことで左方に隙―あるいは余裕ができる。
その余裕から、左拳を狼面のわき腹に打ち込んだ。

左腕は兵装と同じ素材の義手、否、"兵装そのもの"。
たとえ作った隙に刃が来ようとも受けられる。
敵手が対応しなければ、武芸者でも膝をつく程に硬い一撃を入れられる。

649名無しの魔術師:2014/07/01(火) 23:48:57 ID:3cQHs10o
>>647-648
>>ヒナタ
白狼面「!」

初撃をかわされての反撃に対してとっさに残っていた片手の剣の腹で受ける。
ヒナタの怪力から繰り出される蹴りには、刃で受ければ多少の傷を与えても
そのまま蹴り抜かれる事が分かっていたのだろうか

勢いを殺しきれず、狼面は蹴られた方向に砂埃を上げながら地を滑った。
そしてその勢いが死ぬと同時にすぐさま剄を込めた剣の片割れを
ナイフ投げの要領で、なんと『投擲』してきたではないか!
魔弾と言っても差支えない勢いでそれがヒナタへと向かってくる

>>ハイネケン
白狼面「!!」
脇腹にハイネケンの義手による一撃が気持ち良く入る

よろよろと後ろに数歩下がり間合いが広がった。
狼面の男は立ち止まったままでいるが、何をしているかはすぐに分かるだろう。

剄を身体にめぐらせ、ダメージを回復しているようだ。

650ハイネケン:2014/07/02(水) 00:06:13 ID:ug9sdVo2
>>649
(回復させるのはまずいな……だが)
盾使いの基本戦法はカウンターだ。
盾でも攻撃は出来るのだが、距離を開けられるとそれだけやり辛い。

剄を足に集約し間合いを詰める、いや、奥の手だが一気に突撃をかけるか?
だがあの速さだ、下手をすれば相打ちではなく一方的にダメージを受けかねない。
考えながらも剄をめぐらせたところでふと交換屋でもらった物を思い出す。

「……使ってみるか」
武器商人から渡された装置を、ラウンドシールドに装着する。

何が起こる――?

651ヒナタ:2014/07/03(木) 01:05:19 ID:???
>>649
(素早い反応だ、だが――!?)

すかさず追撃しようと、前蹴りの姿勢から更に地を蹴ろうとした時だ。
狼面の手から放たれた“魔弾”が迫り来る光景を見てか、流石のヒナタも表情を強張らせた。
無防備に受ければ即死は無くとも、悪魔の肉体とて大きな負傷は免れない。
距離が開いた事も加えて十分回避は間に合う。間に合うが――

(彼女に命中しない、という保証は無いな……!)

この瞬間、背後の位置関係を確認している暇は無い。
回避した所で、結局ディーナやハイネケンが余計なダメージを負う事なく済む可能性もある。だが、

「ふっ――――!!」

その上での決断は、少なくとも他人を巻き込む心配は無いものだった。

強烈な勢いで空間を奔る魔弾を受け止めるべく、両手を合わせる。
それは『真剣白刃取り』と言われる構えである。剄が巡ろうとも、ただ直線的に迫る刃であれば止められる筈だ。
たとえ無傷で済まずとも、それは承知の上だ。

652名無しの魔術師:2014/07/05(土) 18:39:35 ID:3cQHs10o
>>650
装置をラウンドシールド内側にあるいかにもな窪みに装着すると
一瞬発光した後に喧しい音を立てて装置が展開していく。

すると、シールドの円形状に沿う形でいくつもの鋼の刃が現れたではないか!
さらに、装置を装着した装置の部分にスイッチのような部位が存在する。
それを押したならば、
盾は横向きに倒れ円周に取りついた刃は金属が擦れる音と共に回転しだす。
術式兵装の刃はおそらくダイトだ。とんでもなく奇怪な武器に変質したが、
一目見て汚染獣の装甲を抉るのが問題ない攻撃力を秘めているのが察せるだろう。

653名無しの魔術師:2014/07/05(土) 18:41:56 ID:3cQHs10o
>>651
迫る来る弾丸と化した剣を正面から白刃取り――――

以前、ヒナタはアオイの放った剄糸を掴んだ事があった。
その時は何も感じる事はなかったが、今回は違った。

強烈な熱さと稲妻を喰らったような痺れる痛みが、刃を止めた掌を通じて全身を駆け巡る。
それに動揺して手を緩めれば、剣はヒナタの身を傷つけてしまうだろう。

654ハイネケン:2014/07/06(日) 22:19:22 ID:Iw6sXGlw
>>652
「おっ、これは……」
生成されたダイトの刃に軽く目を見張る。
なんとなくスイッチに触れるとその刃が回りだした。

「エルゼが好きそうなギミックだなあ……でももう盾じゃないね」
―だが、これはいい……。

剄力を込めていた足で、一気に間合いを詰める。
 ―この『盾』なら、こちらから仕掛けられる。

盾使いの性か、あくまで盾の構えを崩さず、
ただしその縁を傾け白狼面へ刃を叩きつける。全力はまだ込めない。
聞きたいことがある以上、できるなら生け捕りにしたいのだ。

さらに、敵の姿勢が揺らいだならその隙に左の義手を伸ばし、
刺さったままのヒナタの剣を抜きに掛かる。

655ヒナタ:2014/07/06(日) 22:55:36 ID:???
>>653
「っ」

予想していた以上の強烈な痛みに顔を顰める。
だが負傷は承知の上だ。元よりそのつもりで掴みに掛かったのだから、緩める事などありえない。
投擲された剣の勢いを完全に殺すべく力を篭める。

656名無しの魔術師:2014/07/13(日) 17:55:33 ID:3cQHs10o
>>654
回転する刃の脅威を感じ取ったのか白狼面はとっさに防御の姿勢をとるが
大きく態勢を崩す。そこへハイネケンが、頭に刺さったままの剣に素早く手を伸ばす事に成功した。

蹴り飛ばそうと足を動かしたが、それよりも早くハイネケンが剣を抜く事に成功する。
人間ならば血を含めさまざまな物が噴出したかもしれないが、何も飛び出す事はなかった。
しかしダメージはあるのか、引き抜かれた個所を押さえながら一歩退いた。

>>655
ひと際大きな破裂音が響くと、剣に纏われていた剄は全て放出されたようだ。
痛みと熱から掌を見ると憂鬱になりそうだが、気にしてる暇はないだろう。

何故ならば剣を投げた狼面が駆け出し殴りかかって来たのだから。

657ヒナタ:2014/07/13(日) 18:10:22 ID:???
>>656
「全く、私でなければ泣き言の一つも出てる頃だな」

爛れた掌を見て溜め息を漏らしつつも、開いて閉じてと動作の確認をする。
動くというのであれば、やる事は一つだ。
受け止めた剣の柄を右手で握り、構え――距離を詰めて挑んできた狼面へと、横薙ぎの一閃を見舞う。

出の速い突きではなく薙ぎ払いで迎撃を試みた理由は、至って単純だ。
範囲の広い攻撃で相手の回避方向を制限する事により“最小の回避動作から即座に反撃する”という手段を取らせない為。
その手段とは、先程ヒナタが行った回避→前蹴りの行動……あのようなものである。

もちろん、ヒナタが想定し得る行動を上回っての反撃ならば話は別だ。それに関しては、狼面がそこまで及ばない事を祈るしかあるまい。

658ハイネケン:2014/07/16(水) 23:15:32 ID:Iw6sXGlw
>>656
「本当に人間じゃなさそうだね……」
義手にヒナタの剣を掴みながら呟く。
白狼面が一歩引いてくれたおかげで想定どおりの動きが出来そうだ―

>>657
「アキツキさん、返すよ!」
ヒナタのなぎ払いによって、もう一人の白狼面が回避する方向は予測可能。
タイミングを計り、その方向へと抜いた剣を投げつける!
これを敵が回避したなら、それはそれでヒナタが自分の剣を再び手に出来るはずだ。

 アヤックス・ハイネケンは盾使い、つまり小隊の防御を司る者<ディフェンサー>。
 ディフェンサーに必要なのは自分以外をも見て動くことだ。

剣を飛ばしながらも、異形の盾は後方にいるディーナをすぐに守れるような角度を取っていた。

659名無しの魔術師:2014/07/20(日) 23:49:33 ID:3cQHs10o
>>657-658
>ヒナタ
ヒナタの振るった横薙ぎに反応するように大きく身体をそらし
辛うじて剣檄をかわす狼面。

その動作の直後、ハイネケンがヒナタの術式兵装を投げ返してくれたのをヒナタは見逃さないだろう。
しかし狼面はそれに反応し切る事は出来なかった。剣に視線を向けた時、
ハイネケンが投擲したその刃は狼面の胴を貫いたのだ。

そして、ヒナタの方角へ短い距離ではあるが、くの字の姿勢で押しだされてきた。

>ハイネケン
頭から剣を引き抜かれた狼面は、
黒い砂のようなものがサラサラと零れ落ちている事にハイネケンに気付く。


ちらとディーナを見ると、尋常ではない量の汗をかいており
荒かった呼吸が今度は細くなっていた。あまり時間はかけられない。
そう感じていると、狼面が再び斬りかかってきた。強引に攻めて来たのだ。

660ヒナタ:2014/07/21(月) 00:31:36 ID:???
>>658-659
「っ――!」

狼面が攻撃を回避した際、驚いたように目を見開いた。
それは狼面からしてみれば、回避される筈のない攻撃が回避された故……とでも感じたかもしれない。
しかし、次の瞬間にヒナタが浮かべていた表情は――してやったりと言わんばかりの笑みだった。

それが何を意味するのか。狼面が理解する頃には、投擲された刃に胴を貫かれているだろう。

「良いアシストだ!!」

攻撃を受け、くの字で押し出された狼面の体へと掴みかかる。
掴む事が出来たなら、勢いを付けて地面に叩き付け、すかさず顔面へと剣を突き刺さんと振り翳す!

661ハイネケン:2014/07/21(月) 00:34:51 ID:KbqED1eI
>>659
「砂……」
(なるほど、さっきの砂はこの連中の骸というわけか)
そして、ディーナの様子が目に映った。


「……仕方がない、終わらせようか」


これ以上続けても、何の意味もない。敵手はもう助かるまい。
そしてこれ以上続ける時間はない。ディーナはもう持つまい。

無謀にも見える強引な攻めを、兵装の左腕を盾にして受けた。
同時に右腕の円盾を水平に構え、装置のボタンを押す。

再び回り出すダイトの刃に剄を込め―
「破!」
白狼面の胴へと叩き込んだ。

662名無しの魔術師:2014/07/26(土) 23:53:17 ID:3cQHs10o
>>660
貫かれた狼面はそのまま成すがままに地面へと叩きつけられた。
そして振り翳された剣がその顔面に突き刺さった瞬間

黒い水しぶきが噴水のように刺し傷から噴き出してきた。
>>661
狼面「 」
唸り声のような音と共に、狼面の胴と下半身が二分される。
砂ではなく、黒い水のような物が血渋木のように噴出すサマがハイネケンの視界に広がる。
そして、胴と下半身に分かれた死体はそれぞれ違う方向に倒れ、動き出す事はなかった。

663ヒナタ:2014/07/27(日) 00:07:05 ID:???
>>662
吹き出した黒水をその身に浴びる。間近に居たのだから当然だ。

「フン」

顔に付着した黒水を拭い、不快感を露にした表情で狼面を見下ろすと、突き立てた剣に一度だけ力を篭める。
それはとどめとばかりに、在るかどうかも怪しい肉を抉り千切るかのように行われた。

もう動く気配が見受けられないのならば、ディーナへと視線を向ける。
その際に、ハイネケン側も片が付いたであろう事は認識するだろう。

664ハイネケン:2014/07/30(水) 01:06:34 ID:Dqj2cuck
>>662
「っと……」
黒い血飛沫を振り戻し刃を止めた円盾で受ける。
少しは浴びたが、大半は防ぎきった。
「気分のいいものじゃないね、やっぱり……」
盾についたソレを振り落としてからディーナの傍らに寄る。

「大丈夫かい?」
盾を手放した右手で脈を診ながら、冷たいハガネの左手をその額に当てる。

665ネクロ:2014/07/30(水) 02:10:14 ID:3cQHs10o
>>663-664
物言わぬ死体となった狼面達は、今までの個体とは異なり砂ではなく
ドロリと解けていき黒い水たまりになった後で、日の光も強くないのに煙をあげて蒸発した。
ヒナタ、そしてハイネケンの身にかかった黒い液体も、特に害を与える事なく消え失せた。

ヒナタがハイネケン達の方に視線を向けると、ハイネケンがディーナを介抱してる様子が伺えるだろう。

ハイネケンの方は、そのハガネの左手から感触が伝わるなら
ディーナが異常な高熱を発しているのが分かる。

ディーナ「……く、薬を……連れが…持っていてくれているんだが……
     全く…普段は几帳面な癖に、良く…迷子になる奴でな…ハァ…」

ヒナタならば分かるが、連れとは勿論ユリウスの事だろう。
そしてハイネケンは知るよしもないが、迷子はディーナだ。

666ハイネケン:2014/08/02(土) 00:19:28 ID:NAJw/gk.
>>665
ディーナにとって、腕の冷たさが少しでも安らぎになればと当てた腕を通じ、
異常な高熱を感じとった。
(感じ取れるほどの高熱……ただの病じゃないな……)
とはいえ、腕そのものには感覚はなく、熱も痛みも、何も感じられない。
ディーナの高熱はハガネからの伝導により装着面で感じているのだ。
ちなみに、物を掴んだ時の感覚などもすべて駆動によって発する振動を感じているだけである。

「なら、はぐれた連れの人を一秒でも速く探しにいかなきゃだね。
 その人の名前は?」

そしてヒナタに視線を向ける。
「アキツキさん、頼めるかい?」

667ヒナタ:2014/08/05(火) 00:43:27 ID:???
>>665-666
「……詳しい事情は省くが、彼女の連れに心当たりがある。ここは私に任せておけ」

言うが早いか、素早く駆け出すとその場を後にする。
一々記すまでも無い事だろうが、術式兵装は既に展開を解除してある。人目に付く事は無いだろう。

(確か馬車の区画だったか、急がねばな……!)

668ディーナ:2014/08/16(土) 01:44:20 ID:3cQHs10o
>>666-667
>>ハイネケン
ヒナタが駆け出すと、ディーナと二人にされるハイネケン。

「こんな調子でもなければ、良い楯使いとの出会いを喜ぶのだがな・・・はぁ・・・」
隻眼の女性は苦しそうに息を吐きながら、家屋の壁に背を預ける。

「黙っていると滅入りそうだ・・・君、名は?盾の扱いはどこで・・・学んだ?」

>>ヒナタside
馬車の区画へ進む最中、特に何かに阻まれることはなかった。
馬車のターミナルへとたどり着き、周囲を見渡す。さすがに移動の為にこの場所は人でごった返していた。
こんな時、他人の剄を感じ取ることが出きればと苛立つかもしれないが、探し人はすぐに見つかった。

ユリウスもまた、ディーナとヒナタを待ってターミナルの中央で仏頂面で立っていたからだ。
ヒナタを見つけると、早足に近づいてきた。

ユリウス「その様子では、何かあったのか?」

669ハイネケン:2014/08/17(日) 00:22:20 ID:tNM.Gn2w
>>668
「無理はしないで」
そっと隣に寄り添う。

「俺はアヤックス・ハイネケン。学園都市第5小隊の副長」
 ま、一応だけどね。と付け加える。
「盾は俺の故郷……エイデルで帝国の人から習ったんだ」
この都市が既に廃墟となっていることを彼女も知っているだろう。
「その人は星の智慧事件の調査に来たとか言っていたかな……」

670ヒナタ:2014/08/17(日) 00:43:41 ID:???
>>668
「ああ、お前の探し人が見つかった。
 ただ詳しい話は後でするが、容態が悪化している。急いで来てくれ!」

早口に捲し立てると、案内するから来いとばかりに元来た道を戻っていく。
人混みの合間を全力に近い速度で駆けていくが、ユリウスならば追随する事に何ら問題は無い筈だ。

671名無しの魔術師:2014/08/26(火) 02:26:28 ID:3cQHs10o
>>669
ディーナ「エイデル・・・あの都市国か?
     ・・・・残念だったな・・・あの国のことは・・・私の身が、こんなザマでなければ・・・」
体調の悪い中での譫言のような言葉に聞こえるだろうが、少し気になる言い回しだった。

ディーナ「私はディーナ、中央都市の武芸者さ
     我が盾はクロストヴァイズ家に代々伝わる戦闘術・・・だ」
クロストヴァイズと言えば中央都市でも名家中の名家の一つだ。
学園都市生活が長ければ耳にしたことはあるだろう。

>>670
ユリウス「もう見つけるとは流石だと言いたいが面倒な状態になっているようだな・・・
     だが想定の範囲内だ、全力で走ってくれてかまわんぞ」
すぐさまヒナタを追って走り出すユリウス。ヒナタを見失うことはないだろう。

672ハイネケン:2014/08/26(火) 19:22:58 ID:QGcD3Vy2
>>671
「その人が居なかったら俺も……。
 ああいや、君のせいではないだろうからそんなに気に病まないで……」
(……ん? 何故この人は自分のせいのように言うんだ?)
あの日、故郷に派遣されてきた人の一人だったのか?

「ディーナか。よろしくね。
 ん、中央都市のクロストヴァイズ家……。
 噂は何度も聞いているよ、武門の名家で盾使いの系譜だと……」
この状況でなければすぐさま盾術を教えてもらいたいところだ。

673ヒナタ:2014/08/28(木) 12:10:30 ID:???
>>671
「余計な気遣いだったか、なら遠慮なく……!」

元来た道を疾走し、ディーナ達が居るエリアへと向かう。
病の具合が深刻化していない事を祈るばかりだ。

674名無しの魔術師:2014/08/31(日) 02:35:36 ID:3cQHs10o
>>672
ディーナ「この身が恨めしいな・・・本当に・・・」
声がか細くなっていき、いよいよいやな予感が脳裏に浮かびそうになったところで
ヒナタと、もう一人長身の男性が戻ってきた。
>>673
戻ってくると、ディーナはうつむき気味に座り込んでいた。
まだ息があることは分かるが、全くいい状態ではない。

ユリウス「ギリギリと言ったところか
     あと793秒遅かったら最悪の事態も覚悟していたかもしれんな」
そう話ながら、ユリウスはズカズカとディーナの元に近づき、懐から袋と水筒を取り出した。
袋の中身は粉末らしく、それを水筒に入れて混ぜたと思いきや、無理矢理のディーナの口に流し込みだした。

傍らにいるハイネケンもこれには驚きだろう。

675ハイネケン:2014/09/01(月) 23:35:33 ID:QGcD3Vy2
>>673-674
「ディーナ? しっかりするんだ、もうすぐ来てくれる筈だから!」
このときばかりは、盾術一本の身が恨めしい。
だが自身を恨む感情も二つの影が差した瞬間に消え失せた。

「アキツキさん! よかった間に合った……っと」
ヒナタが連れてきたディーナの連れを通す為動いたところで
手際よくしかし強引な処置を目撃する。

「…………」
 動じることの少ないハイネケンでもコメントできない。

676ヒナタ:2014/09/04(木) 23:40:32 ID:???
>>674-675
「大丈夫か!? ユリウスが来たぞ、もう少しの辛抱――」

言葉に詰まる。
理由は言うまでもない。迅速ではあるが強引な処置を見て驚いただけだ。

「……ま、まぁ間に合ったのなら良いんだが、本当に大丈夫なんだろうな?」

677名無しの魔術師:2014/09/12(金) 02:41:12 ID:3cQHs10o
>>675-676
数秒たっぷり薬を押し込まれた後、ディーナは涙目になりながら噎せかえっていた。

ディーナ「ゲホ、ガホ……!?し、死ぬかと、思ったじゃないか!?」

ユリウス「大丈夫だ、生きてるのが証拠だろう?
     それにしても何で馬車のターミナルに向かうはずがこんなところに・・・」
あきれ顔のユリウスはハイネケンに目を向けてから、ヒナタに視線を移した。

ユリウス「この坊主は口は堅い方なのか?」
と、本人を目の前に聞いてきた。この長身痩躯の男、確かにハイネケンを坊主呼ばわりするだけの
経験はありそうな武芸者にも見える。

678ヒナタ:2014/09/14(日) 19:55:13 ID:???
>>677
「……」

ちら、とハイネケンへと視線を向ける。

「大丈夫だろう。彼の悪い話は聞かないし、何より、ここで下手に隠す方が面倒事に繋がりそうだ」

679ハイネケン:2014/09/17(水) 01:01:24 ID:tvewhphg
>>677-678
噎せ返るディーナの背をさする。
「まあ、一安心、でいいのかな?」

そこでユリウスの言葉とヒナタの視線を感じた。
「自分で言うのもなんですが、秘密に関しての守りも堅いつもりですよ」
(かなり場数を踏んできた人のようだな……。
 クロストヴァイズ家の人か、それとも仕えている人かな?)
ちなみに、第5小隊のネタが欲しければ某魔術師と某大剣使いを懐柔するのが早い
という噂が学園内ではあるとかないとか。ヒナタも聞いた事があるだろう。

----カーツ・第5小隊宿舎----
ヒューガルテン「へーっくし! うは、俺風邪引いたかもww」
レフ「バカは風邪引かないらしいじゃん?」
----学園・第5小隊訓練場----
アダムス「へぇっくしょおい!」
ロシュフォール「変な噂でもされてるんじゃないの〜?」

680ユリウス:2014/10/04(土) 17:45:28 ID:3cQHs10o
>>678-679
ユリウスは少し考えていたが、やがて決心したのかため息を一つつく。
「よし、小僧…この事は他言無用……というには59倍ほど大げさだが
 あまりふれ回らないように頼む」

「俺はユリウス、中央都市クレシェンドに仕える天剣授受者の一人だ
 ……このヒナタ・アキツキとは旧い知り合いだ
 そしてお前が介抱してくれているその情けなさ極まりなき女が…」

「盾の天剣授受者、ディーナ・フォン・クロストヴァイズだ」
なんと、ハイネケンの前にかの有名な天剣授受者が二人(正確には三人)
もいると言うことを告げられる。

「このディーナはある戦いで負傷し、
 汚染大陸の外気をもろに浴びてしまった経験があってな」

「薬をとらないと命に関わるところだった、礼を言うぞ」

681ヒナタ:2014/10/16(木) 21:37:45 ID:???
>>679-680
「うむ、知り合いだ。色々と訳あってな」

ユリウスの言葉を肯定し、うんうんと頷いている。

「……病とは聞いていたが、そこまで深刻とはな。
 薬は常備させておくべきじゃないのか、ユリウス?」

682ユリウス:2016/04/06(水) 23:28:08 ID:3cQHs10o
>>681
「常備などさせては、薬があるから平気だとこいつは何処に行ってしまうか…」
と、これみよがしなため息をついた。

とんでもない重病だが、短い関わりでもわかる程に彼女は武芸者として実直だ。
きっと安静になどしてないだろうと、ヒナタも想像できるだろう。

「…とにかく、世話をかけたな」

683ヒナタ:2016/05/15(日) 12:50:10 ID:???
>>682
「それもそうか」

溜め息混じりの回答に、フッと笑って答える。
彼女が自身の負傷を厭わない性格であろう事は今回の件で把握したからか、無理強いはしなかった。

責任感は信念を確固たる物にするが、強すぎては己の身を傷付ける事になる。
そこに制止を掛けるには、薬を持たせない方が一番なのだろう。ディーナの心情を思えば少し心が痛むが、彼女の命には代えられない。

「なに、気にするな。困った時はお互い様、だ」

手を軽く振って答え――ふと思い出したように、あ、と声を漏らした。

「集合時間……忘れてた」

684名無しの魔術師:2016/11/29(火) 18:15:21 ID:4icmyV8o
ttps://is.gd/SJNUkw

クリスマスプレゼント代がつらい

685名無しの魔術師:2017/01/18(水) 11:44:34 ID:EnHN43hk
ttp://ux.nu/mAVQ8

極上のヤーツ

686ミーナ:2017/04/25(火) 22:18:46 ID:???
騎士団員「先輩知ってます?世の中には、魔元素<エレメント>を利用して造られた武具があって、それを持つものは魔術が使えなくても同等の効果を発揮できるそうですよ!」

先輩騎士「アホかお前。長年騎士やってりゃ、そんな噂は幾らでも聴くわ!!
とまぁ本物はまだ見た事ないけどな」

廊下を移動しながら、雑談を交わす騎士の横を無表情のまますれ違う。

ミーナ「……(サラマンドラ(火の精霊)のエレメントで焼いたパン……)」

廊下の一部で誰かの腹の虫が鳴り響いた。

687ミーナ:2017/08/11(金) 00:36:00 ID:awAfx0uU
昼の公園

昼食を終え、残りの昼休憩の時間にミーナは公園で、何をするでもなくただ考えに耽っていた。

時を同じくして、同公園を訪れた紳士風の男。
傍には飼い犬を連れている。

男は空いているベンチに腰掛けると、懐から取り出したメモ用紙のような小さな紙に何かを書き出した。
ミーナはその様子を偶然目にしていた。

たまたま通りがかった一般人だろうと思っていると、
男が何かを書き出した紙が、小さな"骨"に変化した。

「!」

男は骨を少し離れた地面に放り投げると、飼い犬が従順にそれを回収し、男の下まで持ち帰る。
すると、骨が再びただの紙切れに戻った。

「見間違いか……?いや」

きっとそう言う魔術なのだ。と、心の中で結論づけた所で、男はミーナの視線に気づく。

男は一瞬驚くような仕草を見せるが、
先ほどと同じように、紙切れに何かを書き始めた。

男がそれらから手を離すと、地面に落ちた紙切れは"おもちゃの兵士"に変化し、チャンバラを始めた。
ものの数秒もすると再び紙に戻ってしまったが、ミーナはそれを見て"楽しそうだ"と思っていることに気付く。

男はミーナに微笑みかけて、公園を後にした。

688受験生:2017/08/11(金) 13:27:28 ID:???
俺は宮廷魔導師国家資格を目指す無職……いや、夢を目指し努力して居るのだから、無職だが無職ではないのだ。
ちなみにこの資格試験、俺はもう5回落ちている。履歴書をコピーする魔術なら、そこらの一流魔術師以上にできる自信がある。

俺の得意魔術は、油を操る魔術。
この魔術を使えば、雨の中でも即座に薄い油の膜を纏い、濡れずに外を歩く事ができる。まぁ、油でギトギトになるのは玉に瑕だが、多少のリスクが付きまとうのは魔術の特徴だ。

で、これが宮廷魔導師としてなんの役に立つのか、って?ははっ、愚問を。そんなこと、自分で考えろ。俺にもわからん。

受験生の男は、そんな事を考えながら遊郭に向かった。親からの仕送り金を握りしめて。

689本屋の店員:2017/08/11(金) 14:00:12 ID:???
俺はこの書店に勤め10年が経つ。
これまで何万冊を越える本を完読し、今では読んだ事のない本(今やそんな本に出会うのは稀だが)でも、カバーを一目見れば大体の内容はわかる。
本が、俺に語りかけてくるのだ。

話は変わるが、以前この店に居ると奇妙な出来事に見舞われる事があった。

例えば、
「すみません」という客の声が聞こえたので、声がする本棚の方へ向かうと誰も居なかったり、
不審に思いながら席に戻ると、それまで読んでいた本が席を離れる前には開いていた筈なのに閉じていたり。
最初は俺の勘違いだと思っていたが、2度3度ならず、10度20度同じ事が起きた。

あまり非論理的な事は信じない性格だが、この店には霊が取り付いて居るのではと疑い、一度霊媒師に相談した事がある。

結論から言うと、霊媒師曰く「霊気は感じない」との事だった。

しかしある時俺は目撃してしまった。

その日は、ちょうど満月の日。
読んでいた本を完読し、それと同時に閉店時間となった日だった。
腹も減ったので、本を閉じ、早々に店を出た時、
「いつまで読んでんだよ」と愚痴を吐きつつ、自ら"歩いて"本棚に戻っていく本を、ショーウィンドウ越しに見たのだ。

開きっぱなしであった筈の本が勝手に閉じている現象……ああ、そうか。あの本は、人間でいう"ドライアイ"的な症状的な物を患っていたんだな……そう理解した。

今まで俺は本の事を単純に"読み物"だと思っていたが、この一件以来、本に対しペットのような可愛らしさも感じる事ができるようになった。

690黒騎士:2017/08/20(日) 01:07:06 ID:???
黒騎士と教会の対立が水面下で活発になった頃、
市民の日常的な生活の中にも、少しずつ異変が起こり始めた。

酔っ払いA「そんでよぉ、あのヤローの胸倉を思いっきり掴んでやったら……」

酔っ払いB「ぶわははは!そりゃいいや!!」

個室で男二人が酒を交わしている所、個室の扉が突然開き、黒い鎧の騎士達が部屋の四方に移動し剣を構える。

酔っ払いB「ひっ!な、なんだぇ!?お、俺はただの飲兵衛だぜ!?」

酔っ払いA「……」

神妙な面持ちで、隠し持っていた刃物を手に取る酔っ払い……否、酔っている演技であり、目も前後左右の騎士達をしっかり見据えている。

黒騎士A「かかれ!」

合図を出すと、騎士が一斉に酔っ払いAに斬りかかる。
酔っ払いAも戦う姿勢を見せたものの、斬りかかる寸前、背後の騎士に腕を切断され、
悲鳴をあげる前に正面の騎士に首を斬られ、鮮血を吹き上げながら倒れこみ、窓を突き破って外の地面に落下した。

酔っ払いB「ひゃああああぁっ!?」

黒騎士A「引き上げる!」

黒騎士B「はっ!」

殺害された男は表向きは不動産の店を構える商人ではあるが、黒騎士の"ブラックリスト"に載っている処刑人でもある。

こうした事件が帝都内でも度々目撃されるようになっていた。

691ショウヘイ・ヘーイ:2017/09/09(土) 01:46:07 ID:???
路地裏の教会、そこに二人の人影があった。
辺鄙な場所にあるため、教会の周りに人数は少なく
また立ち寄るものも少ない。

その教会の中、神父が一人と椅子に座る男が一人。
椅子に座る男は、本で顔を隠しながら静かに喋る。

本を読む男「また一人やられたらしい。
  黒騎士とかいう連中、最近妙に勢力を伸ばしている」

「そうかい。俺たちの存在が公になるのは困るよなー。
 しかし処刑人を相手取れるってことは、奴らかなり腕が立つな」

本を読む男「黒騎士を統率する人物が有能でもあるんだろう。
      何人か目立つ奴がいる」

「それに処刑人は単独でいることが多いからな。
 こりゃこちらも徒党でも組むかー」

本を読む男「協調性のない連中ばかりだから無理だろう」

(レノ…あいつが差し向けたわけか?黒騎士の連中を…
俺も正体を知られている可能性が高いか)

本をぱたんと閉じた男はゆっくりと立ち上がり

本を読む男「情報は以上だ。せいぜい気を付けることだな」

そう言い残し教会を立ち去った。

692テレンス:2017/09/12(火) 22:27:50 ID:???
>>691
男が教会を後にした後(実感として1〜2分後)、
一人の騎士が教会へと足を踏み入れ、中央辺りの列の席に腰掛ける。

ただ何をするわけでもなく、ぼんやりステンドグラスの窓を眺めている。

「神父様。私は今、悩みを抱えています。私の身に余る情熱……例えば恋に燃えるが、相手に想いを伝える事が出来ない少年少女の様なこの気持ち……聴いては頂けませんか」

693ショウヘイ・ヘーイ:2017/09/12(火) 23:13:26 ID:???
>>692
「ええ、この場では皆平等。お話し下さい」

神父は穏やかな声で男に促した。

694テレンス:2017/09/13(水) 00:11:14 ID:???
>>693
「たまにいるタイプだとは思いますが……
私は常日頃、気がつくと"自分は何の為に生を受けたのか"と気にする性格でしてね。

子供の頃は何度も自問自答し、相当やらかしましたよ」

そう言って、テレンスは左腕の袖を捲る。すると、左腕の皮膚にはいくつものリストカットの痕があった。

「辛い日々でした……金もなく、趣味もなく、人脈も無く生きる希望すら無い。しかし、何故か死ねずに生き永らえている事が私の心を兎に角追い詰めた。」

今にも泣きそうな声でそう告白するが、次の瞬間には堪え切れない笑いが口元から漏れていた。

「ククク……ですがね、何の運命か、いつの間にか帝都に住む人々を守る様な仕事につき、その仕事の中である運命的な出会いがあった。その出会いがきっかけで、私は生きる事が少し楽しくなって来た」

もはや笑いを隠す様な様子も無く、酒に酔っているかの如く饒舌になった。

「その男は元・処刑人。現役の頃は兎に角人を殺しまくっていた癖に、今更自分の力を少しでも人の役に立てようと考えているそうな。
その男、可愛らしい妹さんが居ましてね。妹さんはごく一般的な女性で、幸せに過ごしている!
耳を疑いましたよ……こんな哀れで恥ずかしい人間が居るものかと。こんな目に遭って何故自ら死を選ばないのか……考えに考えを重ねて居たら、私……」

「彼を好きになりましてね」

695ショウヘイ・ヘーイ:2017/09/13(水) 00:33:58 ID:???
>>694
突然笑い始めた男に、神父は少し驚きはしたが
すぐに平静を取り戻した。

「処刑人、それがどのような方なのか私には分かりかねますが、
 悔い改め人々の役に立とうという心掛けは素晴らしいものです」

(こいつはまさにさっき話してたあれかー…黒騎士って連中か?
 とすると俺のことを予め分かった上で現れたか?)

「そうですか、あなたはそんな彼のことを気にかけているのですね」

696テレンス:2017/09/13(水) 01:27:50 ID:???
>>695
「ええ、まあ」

少しの間笑い続け、次第に落ち着いた様子を見せる。

「私はそんな彼を観察する事を生き甲斐にしようと思ったのですが、問題があります」

先程までの表情とは打って変わって、眉間に皺を寄せる。

「彼は、一般的な視点で見れば単なる罪人。人々の敵にはなっても、決して好かれる存在にはなれない。ましてや、処刑人から見れば裏切者。もはやこの世には彼を受け入れる者より排除しようとする人間の方が多い。
そんな事をされたら、また私は路頭に迷う事になるでしょう?だから、私の障害になる者には舞台からご退場願う事にしました」

テレンスは、鎧の内側から取り出した本と"何か"を床に投げ捨てる。

本は、先程までこの場にいた男が読んでいた本で、所々血に塗れている。
また、同時にテレンスが投げ捨てたものは、人間の手首。血が固まりきっておらず、先ほどまで生きていた事がわかる。

697ショウヘイ・ヘーイ:2017/09/13(水) 02:07:10 ID:???
>>696
「……!」

神父は男が床に放り出したものを見て目を見開いた。

「おお、なんということでしょう。
 あなたには改心をする権利があります。
 悔い改めるべきです!」

神父は男の所業を見て、そう述べる。
なるほど神父とはかくも寛容なものか。

「私はあなたを裁く立場の者ではありません。
 騎士団へ行くことをお勧めいたします」

698テレンス:2017/09/13(水) 22:58:15 ID:???
>>697
「全ての事が済んだら、私も悔い改めましょう。
ですが、私がそうもいかない立場にいる事は、
おそらくご存知では?」

ニヤリと笑い、席を立つ。

「自分の判断や感覚で物事を決めつけるのはあまり好きではありません。ただ、彼が言う人物と貴方の特徴が、よく似ているものですから……クク」

そして、教会の出口へと戻っていく。

「お話を聴いてくださって、ありがとうございます。今日は本当に、お話をする為に伺ったので失礼します。次に会う時があれば、貴方の本当の心も聴きたいですね」

では、と一言残し、テレンスは教会を去っていく。

699ショウヘイ・ヘーイ:2017/09/14(木) 10:02:44 ID:???
>>698
「さて、どなたと勘違いしていらっしゃるのか」

姿勢を崩さずに受け答えをする神父。
そして教会を出ていく男を見送った。

「やーれやれ、どうやら今のが目立つ奴の一人ってことかー。
 こっちから反撃にでも出るか…情報が必要だなー」

床に転がっている手首へと声を掛け、十字を切った。
そして本と手首を拾い、後に目立たないところへ埋めた。

700テレンス:2017/09/16(土) 12:03:58 ID:???
>>699
その翌日

アニカ「何描いてるんですか?」

テレンス「次の処刑人の人相書きです。街に張り出すのではなく、皆さんとの情報共有用にと言いますか」

意外と美術センスがあるのか、テレンスが向かう人相書きの紙には、ショウヘイの輪郭が綺麗に描かれ始めていた。

アニカ「あ〜……なるほど。……えっ、処刑人を見てきたのですか?」

テレンス「えぇ。レオンさんの話は聞いてましたが、実際のイメージは必要でしょう?だから、一言二言話もしてきましたよ」

テレンスはアニカとの話をしながら、素早く手を動かしている。

アニカ「そうですが……テレンスさん、まさか貴方の事も向こうにバレたなんてことは……?」

テレンス「……あっ!!」

アニカ「あっ!?」

テレンス「ちょっと暗めに描き過ぎました!!もっと温厚そうな顔付きだったのになあ〜」

描き上げた人相書きをアニカに見せる。
目元があまり笑っていない、冷酷そうな男の顔が描かれている。

アニカ「ほう、絵が上手いですね。……じゃなくて、貴方の事が向こうに伝わってしまったら、迂闊に街を歩けないですよ」

テレンス「大丈夫ですよアニカさん!思い出してみて下さい。私が今まで暗殺者に不意を突かれて殺された事がありますか!?」

アニカ「いや、それは確かに無いですけど。今この世に生きてる方は皆"暗殺者に不意を突かれて殺された事"は無いと思いますが」

テレンス「その観点は無かった……アニカさん賢いですね!」

アニカ「(小馬鹿にされた気分……)」

結果的にテレンス自身の情報が漏れてしまったが、
ショウヘイの情報も黒騎士内で情報共有される運びとなった。

701ショウヘイ・ヘーイ:2017/09/22(金) 00:34:45 ID:???
>>700
ショウヘイの人相書きから数日
人目に付かない路地裏を、更にマントを羽織りフードをした人物がいた。
そこに数名の黒い鎧をした騎士が通りがかる。

黒騎士A「おい、そこのお前顔を見せろ」

そう言って勢いよく掴みかかろうとする。

「な、なんですかあなたたちは?
 騎士団の方たちですか!?」

ぐいっと肩を掴まれた人物はそう問いかけた。

黒騎士B「そんなことは重要じゃない。
    我々は顔を見せろと言ったんだ」

無理やりにフードをはぎ取ると、先日共有された人相書きの人物だった。

「やめておいた方がいい。
 命はみな平等だ。粗末にするべきじゃない」

黒騎士が剣を抜こうとした手に、そっとショウヘイの手が置かれていた。
剣を抜こうと勢いよく引き抜こうとしてもぴくりとも動かない。
そしてにこりとショウヘイが笑みを向け、黒騎士の一人を足払いを掛けなぎ倒した。

すかさずもう一人が背後から斬りかかろうとしたが、空から巨大な十字架が落下してきて
そのまま背後の黒騎士を潰した。一瞬のことで、潰された黒騎士は苦しむ間もなかったことだろう。

黒騎士A「十字架…?なんでそんな、ものが」

「そりゃー神父には付き物だろ。
 サイズはちょっと大きいかもしれないけどよー」

そうしてもう一人の黒騎士も巨大な十字架に潰された。

「単独で動くのはやっぱり役職付の連中だけっぽいかー。
 各個撃破を狙いたいところだけど、俺一人じゃ荷が重い。
 まあ着実に数を減らしていくか、今回みたいだと楽だなー」

そう言ったものの、黒騎士の鎧の一部を拾い、
あえて見つかりやすい騎士団の近くに捨てた。
ショウヘイが明確に宣戦布告をしたのだ。

702テレンス:2017/10/13(金) 11:48:14 ID:???
昨今の騎士団員が犠牲になる事件を受け、テレンスは黒騎士のみならず一部の一般騎士団員を会議に召集した。

まずはテレンスが起立し、集まった騎士達に説明する。

テレンス「率直に申し上げて今回の会議で提案したい事は、処刑人一斉掃討作戦の立案と、人員不足を補う為一般騎士団員の協力についてです。概要はお手元の資料をご覧下さい」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
我々は今までも、処刑人を対象に小規模な作戦を展開してきたが、
今回の事件により、それら作戦が処刑人の冗長の原因となった事が判明した。
当然これは看過できるものでは無く、暴徒化しつつある処刑人を抑えつつ市民を守護する為、大規模な作戦により処刑人側に致命的な損害を与える事が必要不可欠となっている。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

また、上記作戦は処刑人の本拠地襲撃を想定しており、◯×人規模の隊を編成する必要があると考えられる為、騎士が隊を跨いで協力することが急務である。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ー:開始位置・終了位置 〜:以下省略)

……と、以上の様なことが、資料には書かれている。

一般騎士「……君は、街中で戦争でもする気なのかね?」

テレンス「勿論、そんな事はしません。そうさせない為、皆さんのお力をお貸しいただきたい。いいですね?」

テレンスの当たり前だと言わんばかりの口調に対して、一般騎士のチッ、と言う舌打ちが会議室に響いた。

一般騎士「今回の事件は君の言う通り、確かに無視できない問題だ。しかしね、処刑人の本拠地を襲うというのはどうか……。犯人は特定されていないが、万一勘違いであるという事は想定したのか?」

テレンスは渇いた笑いを零し、すぐにキッと眉を釣り上げた。

テレンス「先程から、何ですか?処刑人は以前から市民に害を及ぼし、今回は面と向かって我々に牙を剥いたんですよ。戦争?勘違い?そんな事を言っているから、貴方達はダメなんです」

突然、テレンスが怒りを露わにしたような口調で、一般騎士の姿勢そのものを否定する。

一般騎士「君!!」

その言葉に反応し、一般騎士も音を立てて立ち上がる。

テレンス「私にここまで言われて愚かさに気がつかないとは、感心します。わかりました。貴方の協力は不用です。私自ら呼び掛け、協力頂ける部隊を集めます。流石に警邏業務だけでは持て余している部隊はあるでしょうから」

703絶対正義のクリシュターナ:2017/10/14(土) 22:25:11 ID:???
>>702
「臆病者は黙っていてくださいよ」

立ち上がった騎士に対し、ギラつくような笑みを浮かべそう告げた。
そして漆黒の鎧に身を包む女騎士も立ち上がり、騎士の目の前で止まった。

「悪は私が断罪しますので、あなたは震えて安全な場所で守ってもらえばいい。
 そのお飾りの騎士の誇りと共にね?」

威圧感を放った後、そう言って静かに席に戻った。

704テレンス:2017/10/20(金) 23:01:05 ID:???
>>702-703
一気に険悪な空気が広がって行く中、静かに挙手をし、立ち上がる騎士がいた。

騎士T「私は(テレンスに)賛成します。恐らく、隊の者も反対しない筈……」

騎士Tの発言を受け、テレンスは表情を崩した。

テレンス「これはこれは……」

一般騎士らの半数程がざわつく中、
構わず、騎士Tは話を続ける。

騎士T「まず、作戦の是非については議論の必要はないでしょう。ここで踏み切らねば我々騎士は、単独では処刑人の恰好の獲物である事を、今回の事件が示しています」

テレンス「言いたかった事を代弁頂き、大変感謝します」

騎士T「……私は、テレンス殿は非常に意味のある提案をしたと思います。私は元処刑人のレノを暫く見てきて、激しい戸惑いを感じています。
処刑人の犠牲者またはその親族友人は勿論、無念でしょう。しかし、我が子を突然知らぬ間に人殺しにされた処刑人の親族も同じこと。レノの家族や知人と何度か話した事があるが、皆健気で逞しく、こんな事件に巻き込まれてしまった事は不憫で仕方がない」

ざわつきが無くなり、まともな騎士は騎士Tの話に耳を傾ける。
テレンスもまた話に耳を傾けるが、表情はむしろ険しくなっていく。

テレンス「(皆の感心が、彼に傾いている……?)」

騎士T「私が言いたいのは、最も罪を償うべきは、処刑人という咎人を作りあげた教会の上層部であり、その為の本拠地襲撃は騎士が一丸となり取り組むべきだという事です。その為ならこの騎士T、火の中水の中、どこへでも飛び込みましょう」

そう言い残し、騎士Tは着席した。
再びざわつく場内だが、今回のざわつきは、騎士Tに賛同しようとしてのざわつきであった。
やがて、"我が隊も協力する"と名乗り出る隊がいくつかあった。

テレンス「御協力の程、とてもありがたく思います。……また、率先して下さった騎士T殿には、個人的に賞賛の意を送らせて頂きたい」

そう言って、テレンスが拍手を送ると、他の騎士達も続いて騎士Tに拍手を送った。

テレンス「(持って行かれたか……ならば)」

テレンスの思惑は、黒騎士主導による処刑人討伐であったが、今や皆の注目は騎士Tに向けられて居る。

705テレンス:2017/10/21(土) 14:20:59 ID:???
>>704

テレンス「という事で、私は今回の作戦の指揮を騎士T殿に執って頂きたい。
今の話は騎士T殿の信念が伺え、感動しました。そして、他の皆様も同じ様な気持ちを抱いたからこそ、協力頂ける事になったと思います。そうした現状を鑑みて、リーダーに相応しいのは騎士T殿ではないか、と思いますが……」

如何でしょうか、と周りに視線を送るテレンス。
しばしの沈黙の後、多くの騎士はその意向に賛成の意を表した。

騎士T「私は、そんなつもりは……」
騎士Tは立ち上がり、テレンスに異議を唱えようとする。

テレンス「どうか、お願いします。後は、貴方の了承を得るのみ」

テレンスは騎士Tの言葉を遮り、頭を垂れた。

騎士T「……そこまでされるのであれば……」

706絶対正義のクリシュターナ:2018/07/01(日) 20:58:09 ID:???
「このテレンスさんから頂いた人相書き……
 街ですれ違ったことあるような気がするんですよね」

人相書き片手に街を歩く黒騎士の一員の女性騎士は、辺りを注意深く見回していた。
今日も腰に数本の短剣を携え、通常の騎士とは違った装備が目を引く。


沙耶「今日もタイムセールで良いもの買えたわね。
   これでシロウに美味しい料理作ってもらいましょ。
   シロウ家の今日の食卓、なんてね」

両手に食材を抱えご機嫌で歩く沙耶
どこか遠くの国で邪竜が倒されたという記事を見たが、どれ程の存在だったのか。
まあでもうちの家には関係がない話か、と目の前の食材を眺めた。


「わわ」
「きゃっ」

「すみません!人相書きを見ていたばかりに気付かず」
沙耶「こちらこそすみません。余所見をしていたらぶつかってしまって」

二人は顔を見合わせ同時に「あっ」と声が漏れた。

707レーナ:2018/07/03(火) 22:28:39 ID:???
「か〜もんべいび〜あめりか〜♪」
例のダンスを踊る

708ソフィー:2018/07/05(木) 09:44:10 ID:???
「オーサコ半端ないわ!アイツ半端ないわ!!」

たまの休暇に、スタジアムへ来て球を足で蹴るスポーツの観戦中

709絶対正義のクリシュターナ:2018/07/15(日) 20:43:42 ID:???
>>706
「この間はありがとうございました。
 あれから騎士団内でもお噂をお聞きましたが、あなたたちは以前からこういうことを解決してきた」

クリシュターナが沙耶に前のめり気味に話す。
少し興奮しているようだ。

沙耶「え、ええ。そのなんというか色々と巻き込まれやすいというか」
沙耶(圧が強いわね〜この子。ただなかなかスタイルは……レーナと並べたいわね)

「ところで、この間のエミヤさんという方、同僚の騎士に聞いたのですが
 腕のいい鍛冶屋という話ではないですか。」

補足しておくと、同僚とは騎士クラのことだ。

沙耶「ええ、確かにうちの大黒柱は鍛冶屋だし騎士の人たちにも個別に対応してるわ」

その話を聞き目を輝かせる黒騎士

「私もこれからエミヤさんちまでご一緒させていただいてよろしいですか?
 少し武器についてお話を伺わせていただきたいのですが」

沙耶(ん〜まあお客様ということかしら?
  それなら私が断るわけにもいかないか。シロウが判断するでしょう)
沙耶「分かったわ。お客様なら断るわけにいかないもの。案内するわ」

かくして、クリシュターナをエミヤ家まで案内した沙耶。
シロウは困惑するかもしれないし、持前のお人よしでも歓迎するかもしれない。
ひとまず、鍛冶屋としてのエミヤ家へと引き連れていくのだった。

沙耶「シロウ〜?お客様を連れてきたのだけど大丈夫かしら?」

クリシュターナは礼儀正しく姿勢を正している。

710エミヤ:2018/07/17(火) 02:26:25 ID:???
>>709
鍛冶屋としてのエミヤ家は、居住区横の鍛冶場スペースに用意されている。

とは言っても、規模は小さい。
居住区である屋敷横に建てられた大き目の物置を、鍛冶場として改修しただけだからだ。

「――ん?」

鍛冶場を覗いてみると、仕事着に着替えたエミヤが立っているのが見える。
沙耶達に気づいて向き直ると、

「ああ、大丈夫だけど……ってクリシュターナさんじゃないか。その節はどうもお世話になりました」

と、丁寧にお辞儀をしてみせた。

711絶対正義のクリシュターナ:2018/07/18(水) 09:57:03 ID:???
>>710
「おお!お久しぶりです。こちらこそ感謝を言わせてください。
 ご協力ありがとうございます!」

クリシュターナもお辞儀を返す。

沙耶「ところで、シロウに話を聞きたいって言ってたけど」

そこで沙耶が話を切り出した。

「そうなんです。実は私短剣をメインに扱っているのですが、今のものより質の良い短剣を探していまして」

そういってエミヤの前に数本の短剣を置いた。至って平凡な短剣だ。
何の変哲もない一般的なもので特徴がないのが特徴と言ってもいいだろう。

「理由はもちろん悪と戦うためにです」

712エミヤ:2018/07/19(木) 20:56:44 ID:???
>>711
「いえ、そんな……おっとそうだった、お客様だったな」

軽いお辞儀の後、クリシュターナの話を聞き始める。
置かれた短剣を眺めて考え込んでいたようだが、ふと口を開いた。

「……特に他意は無いんですが、クリシュターナさんにとっての悪ってどのようなモノを指しますか?」

クリシュターナが見る限り、深刻な様子は感じられず――本当に何気ない質問のようだった。

713絶対正義のクリシュターナ:2018/07/26(木) 11:35:11 ID:???
>>712
「私にとっての悪ですか?それはこの国を脅かす者たちです。
 私は騎士ですので、この国の民を護ることが職務であり使命です。
 もちろんお二人のことも含まれますよ!」

沙耶「国を脅かす者?敵対している国や魔術師ってことかしら」

隣で工房内をきょろきょろと物色している沙耶が問い掛けた。

「そうですね。そういう分かりやすい悪もいれば、窃盗や裏取引などそういった犯罪行為ももちろん悪です。
 最近だとそう、処k……おっと、これは機密事項ですね。気にしないでください」

純粋にそう答える。
思ったことを口に出していることはエミヤにも伝わるだろう。

沙耶「例えばだけど、あなたに愛する人がいてその人が何か悪いことしたらどうする?」

「断罪します。悪の前には愛も情も必要ありません。
 最も、私には愛する人はいませんが」

沙耶(何かしら…言ってることは正しい気もするけどどこか歪んでるような)

「ただ悪を断罪するのに今の短剣だと少し心許ない気がしていまして。
 一般的な短剣なので、安価で潰しもきくところが利点ですが、
 やはりいざという時に頼れる武器も所持しておいた方が悪を斬れますし」

714エミヤ:2018/07/28(土) 00:40:16 ID:???
>>713
「ふむ。――ああ、それじゃ今の短剣に“強化”の魔術を施しましょうか。
 使い慣れた武装の切れ味や耐久力を向上させただけなら、使い勝手が変わる事も無いですし」

一つ一つの短剣を軽く、手の中で弄びながらクリシュターナへと提案する。

その最中、沙耶を一瞥した。
クリシュターナが、問い掛けに対して即答した様子を見ても表情を変える事は無い。
ただエミヤが沙耶と同じように、何かしらの感想を抱いている事は分かるだろう。

「それか、短剣以外に得意な武装があれば、そちらを用意しますか?」

悪とはなんたるや。その返答について今は触れる事無く、あくまで此処に来た目的についての話を続ける。
それは何処か、クリシュターナという人間の性質を図ろうと努めているようでもあった。

715絶対正義のクリシュターナ:2018/07/30(月) 00:09:06 ID:???
>>714
「ああ、それは名案ですね!是非お願いしたいです!」

前のめりにエミヤへと申し出るクリシュターナ。
沙耶はというと、エミヤからの視線に視線を重ねて返事をした。

「それでは短剣を全て一度お預けすればいいですか?
 お代は先払いでしょうか」

クリシュターナはエミヤが何を感じているか、そこは気にしていないようだ。
先日出会ったばかりだが、既に彼女の性格についてはエミヤも身を持って知っていることだろう。

716エミヤ:2018/07/30(月) 22:24:01 ID:???
>>715
「では、そのようにします。短剣は一度こちらでお預かりしますね。
 いえ、代金は後払いで良いですよ、出来栄えに納得して頂けるかどうかもありますし――
 そうだ、武器に属性のエンチャントなど施しますか? その場合は、数日ほどお時間を頂く事になりますが」

沙耶へ視線を向けたのは一度だけで、それ以降はクリシュターナと平凡な商いのやり取りを続けている。

(人に文句を付ける立場でもなし、自分を顧みれば尚更だし。
 ――――ってのを踏まえても、うん、こりゃ相当な曲者だな)

そして会話の最中、頭の片隅ではそんな考えを抱くエミヤであった。

717絶対正義のクリシュターナ:2018/08/02(木) 00:56:53 ID:???
>>716
「エンチャント、とても魅力的ですね!
 戦術の幅も広がりそうです」

少し伏し目がちに思案する。

「どんな属性が出来るのでしょう?」

沙耶(こうしていると、普通の娘に見えるのにねぇ…)

718エミヤ:2018/08/05(日) 18:28:43 ID:???
>>717
「火、水、風、土の四大属性であればどれでも。その他の特殊属性だと内容次第になりますね。
 ただ一つの武器に対して一つの属性でお願いしますね。こちらでは複数エンチャントは出来ませんので――」

エミヤの言では友人のエンチャンターに依頼する事になる、との事らしい。
日数を要する理由はその為らしく、追加料金も発生するようだ。
と言っても、ボッタクリ価格などと言うことは無い。むしろお安めではないだろうか。

(『生まれつきそういう人間だった』って可能性が、全く無いわけじゃないけど。
 いったいどうして、何が彼女をここまで“悪憎し”としたんだろうか。過去に何かあったのか?)

719絶対正義のクリシュターナ:2018/08/09(木) 00:31:50 ID:???
>>718
「それではお試しと言ったら失礼ですが、火の属性をひとまず短剣1本にお願いします!」

目を輝かせつつ依頼した。

「悪を焼き尽くす炎。かっこいいですね!」

沙耶「あはは、そこまでの期待をされちゃうとエンちゃんもプレッシャーね」

720エミヤ:2018/08/13(月) 22:34:14 ID:???
>>719
「火ですね、分かりました。それでは……うん、二日後に取りに来て下さい。
 強化を施すのと、火属性エンチャントとで――これでどうでしょうか」

と言って、価格を提示する。
適正価格より少々安く、いわゆる“お買い得”というやつだと分かるだろう。

(ま、エントなら大丈夫だろ)

沙耶の言葉には、そんな思考と共に苦笑いで返すのであった。

721絶対正義のクリシュターナ:2018/08/17(金) 00:29:52 ID:???
>>720
「こ、これはお安い!非常に懐に優しいお値段です」

商談は成立したようだ。
一礼してクリシュターナは去って行った。

沙耶「正義に固執しすぎてて、なんだか危うい娘ねぇ。大丈夫かしら」

722エミヤ:2018/09/28(金) 22:28:51 ID:???
>>721
「なんというか……奥底が見えてこないな。
 言ってる事は分かるんだけど、彼女にとっての正義/悪が“なぜそれらなのか”が分からないというか」

深く理由を尋ねた訳では無いので当然とも言えるが『それにしても不気味だ』とエミヤは続ける。

「ま――良いか。
 とりあえず仕事を請け負った訳だ、しっかり仕上げないとな」

肩をぐるんぐるん回しつつ、さっそくエントに連絡しなきゃなー、と張り切り調子で言うのであった。

723とある功名な魔道士:2019/12/31(火) 10:20:14 ID:InazQMq6
ここは、魔道士が好んで生活に使っている洞窟の最深部。
入り口までは自然の光が届いていたが、この場所は蝋燭の火だけが輝いており、まるで異界の雰囲気さえ漂う。

壁沿いには、魔物の骨で作られた家具や、儀式用の剣や杖等が置いてある。
そして、怪しげな釜の中では緑色の液体が湯気を立ち上らせながら、ぼこぼこと沸騰している。

「…………出来たか」

部屋の隅の暗闇のなかで、魔道士は呟く。

空間内が、地震が起きたように揺れ、壁沿いの道具が揺れる。
しかし、魔道士は揺れを気にすることなく右手を揚げると、煮立った釜から小さい"謎の物質"がひとりでに浮上し、魔道士の右手に収まる。

「……ククク、これだ!これこそ我が悲願の……」
揺れが更に激しくなる。

「ギャルのおパンティー、永久保存版!!我が魔法薬で、100年は劣化しないのだっ!!」

揺れでぐらついた骨の家具が崩れ、一斉に魔道士の頭部に倒れ、魔道士は下敷きになってしまった。

「地震、いやん……」

724エメ:2021/04/12(月) 23:20:26 ID:.rgmTDoE
「オホッ!オホホホッ!ノー自粛」

帝都の町をジョギングしている。

725ハーヴェスト・ポンティヌス:2021/04/23(金) 23:26:14 ID:.rgmTDoE
ポンタ「ここが帝都か……このような都会は、初めてだ」

都会の喧騒の中、一人たぬき人間が辺りを見回している。

「様々な噂を聞くが、今のところ変わった雰囲気はないな。まずは、暫く住む為の宿でも探そう」

そうこうしているうちに、周囲に数人の人集りが出来上がった。人間ともたぬきとも付かぬ見た目の生物は、この帝都でもなかなか珍しいらしい。

「いかんいかん」

懐から1枚の木の葉を取り出し、短く何かを唱えると、ポンタを覆い隠すように煙が沸き立つ。
そして、煙が晴れた頃にはその場には誰もいなかった。

数人の証言によると、その時煙の中を荷物を持った狸が路地の方へと走っていったらしい。

726アモルフ:2021/05/24(月) 19:25:40 ID:???
BAN!BAN!BAN!
「クリア!」
キルハウスで近接戦闘訓練を行うアモルフ。
設置してあるターゲットを撃ちながら前進。
「リロード!」
弾倉を素早く弾き飛ばし、新しい弾倉を入れる。
最後のターゲットは5個…
BAN!BAN!BAN!BAN!BAN!

コマツ「しゅうりょーっす。」
ヒラオカ「すげー新記録じゃん。」
タナカ「あれっすよ…」
タナカが壁の張り紙を指さす貼り紙には

禁酒!禁煙!禁女!

と赤字ででかでかと描かれている

コマツ「溜まってんなあ…」
ヒラオカ「嫁さんに元カノと遊んでたのバレたかな?」
タナカ「元凶僕らっすけどね。」

727名無しの魔術師:2021/06/30(水) 19:38:15 ID:TwyIVDyI
カンパニー帝都支部。
特別収容房。

「記録官、記録を開始してください。収容ナンバーK251。予言書に関する実験及び収容作業を開始します」

黒いローブを頭からすっぽり被り、仮面をつけた者が2人とオレンジ色のローブを着た男2人が狭い房の中で立っている。
オレンジローブの男たちの足には枷が付いていた。
狭い房の中には小さな丸椅子が一脚。その上には黒く焦げた様な本が一冊だけ置かれていた。

「D0721。本を手に取り椅子に座ってください」

D0721と呼ばれたオレンジローブの男は本を手に取り椅子に座った。

「この本を読めば釈放されるんだな? でも、俺は文字は殆どわからんぞ?」

「はい、本を読み終わればあなたの罪は赦されます。読めなければ読める部分だけを読んでください。ただし朗読は絶対にしないでください」

「D0120。記録する準備はてまきましたか?」

「出来たけど、俺だって知っている字の方が少ないぜ? 読み書きできりゃ盗賊なんて…」

「わかる範囲で問題ありません。それでは私の合図で実験を開始してください」

黒ローブの者たちは耳栓を装着して更に防音魔術を自分たちに施した。
お互いが声を発し互いに聴こえない事を確認すると、

「D0721、D0120。実験を開始してください」

D0721は本を開き、D0120はペンを手にとった。

1分後。
D0721の瞳が常軌を逸した速さで不規則に動き同時に頁が高速でめくられる。あきらかに本の厚みより多い頁がめくられている。
更に残像が見えるほど高速に口を動かし何か言葉を発している様な動きをする。

D0120も同タイミングで顔を上下左右に、首の骨が折れそうなぐらい早く動かし、ペンをめちゃくちゃに走らせ何かを書き始める。

3分後。
D0721、0120。両者の目、鼻、口、耳から血が噴き出す。それでも2人は動きをやめない。

5分後。
同時に床に倒れる。動きは完全に停止し絶命したのが窺える。
その際、偶然にも本は元あったように椅子の上に落ちた。床や壁が血だらけになったにもかかわらず。本に付着した様子は無い。

黒ローブの者たちは耳栓を外し防音魔術を解除した。

「魔術反応無し。結界に反応無し。外部からの介入の可能性は低いと考えます」

D0721、0120の死体を確認し、

「同じく痕跡無し…死因は解剖調査予定」

D0120が書き殴った紙を拾いあげる。
血で汚れてはいるがはっきりと読める文字で、

「…記録官、古代語は得意か? おっとこれは記録しなくていい」

記録官は今の発言を塗りつぶし、紙を除き込んだ。

「かじった程度ですが…えーっと明日は雪ですね」

「はあ? もう一度言ってくれ…あ、記録しなくていい」

「ですから、明日の天気は雪と書かれています」

「…記録再開。紙には明日の天気が書かれていた。至急除雪部隊を手配する必要有り」

恐る恐る本に近づき、ゆっくりと開いた。
そこには何も書かれていなかった。

「不活性化を確認。以上で実験及び収容を完了とする。記録終わり」

黒ローブはそのまま房を出た。
すぐさまオレンジローブが部屋に入り死体を片付け血を拭き取り始めた。


解剖の結果2人の死因は不明であったが、魔術、呪術的痕跡は皆無であり、翌日の天気は夏にも関わらず猛吹雪であった。
しかし、翌々日には積もった雪は水も残さず消えており、魔術的痕跡も見つからなかった。

728名無しの魔術師:2021/07/03(土) 21:31:43 ID:???
帝都某繁華街の裏路地


「こちら交通誘導員チーム。現場に到着した」


野良着を着た大人がオーブに話しかけている。
対になるオーブに周囲の声や光景を伝えるアーティファクトだろうが、一作業員が持てるほど安価な物ではない。


「状況を確認した。カバーストーリー工事中を使い部外者の立ち入りを阻止しろ。また、侵入者はアノマリーに接触する前に処理して構わない」

「了解しました。カバーストーリー工事中を実行します」


指揮官と思わしき男の指示を受けながら素早く路地は封鎖された。
全ての侵入路は塞がれ、建物の屋上から侵入されない様に人員を配置する念のいれようだ。

素早い展開、高価な装備。作業員とは建前でよく訓練された者たちだろう。


「あー、すんません。この先で地下道が崩落したみたいでこの先通れないんですよーすんません。ご迷惑おかけします」


しかし身のこなし、口調は上手くごまかせている。
通行止の看板には帝都の道路管理局の名前も入っているので疑う者はいないだろう。

帝都では見慣れた光景だ。誰もが何も疑わずその中で何が起き何が行われたか知るよしもない。

後日、害虫駆除の炎魔術が暴走し周囲は焼け野原になったと発表された。
また、毒性が強い害虫が地上に逃げた恐れがある為、当時付近にいた人々には癒術士や医者により投薬治療が行われた。

その後は何もなかったかの様に復旧され、誰もが事件を受け入れ日常に戻っていった。

729名無しの魔術師:2021/09/09(木) 16:47:47 ID:Xyxxqg1s
カンパニー帝国支部
カタコンベ特別収容所

教会内部でもごく一部の限られた者しか知らないカタコンベの一角に厳重に封印された収容房が存在する。
収容房は一見するとただの岩だ。外部からは中が見えない造りになっている。唯一中を見る方法天井にあけられた通気孔のみである。

その収容房は常に機動部隊888-カノンにより警備されている。
他の収容施設は収容物を押さえ込むようにして防備を固めているが、この収容所では外敵から収容物を守る為の造りになっている。

収容房の中で1人の少女が祈りを捧げている。
誰もが異質な光景だと思うだろう。少女を縛る鎖は肉に食い込み、肉を腐らせている。
だが、誰がみても神々しさを感じ少女と共に祈りを捧げたくなるだろう。

房から離れた職員休憩所。


「折角機動部隊に配属されたのに、こんな地下暮らしになるとは思いませんでしたよ」


「ラッキーだと思え。ここは殉職率が低いから長生きできるぞ」


「でも、あんな岩を守るだけじゃやり甲斐がありませんよ。しかも女の子を閉じ込めてるんですよね」


「岩に女の子って…配属の時に説明されなかったのか?」


「途中から寝てましたよ。その肝の太さで採用された様なもんですからね」


「自慢げに言うことじゃねえだろ…まあいいもう一度教えてやろう。中にいる少女じゃない神の子だ」


「なんの神様の子供なんです?」


「わからない。だから収容されている。そしてあの少女を見た者は少女が信奉している神と同じ神を崇める様になる。
 そして自らの罪を代わりに背負う少女を神の子とし崇拝するんだ」


「……それだけで収容されてるんですか?」


「話は最後まで聞けよ。信者の数一定になると邪教徒として弾圧される様になる」


「帝国では信仰の自由は認められていますよ」


「いいや。必ず弾圧されるんだ。そして少女は邪教祖として処刑されるんだ」


「……それだけですか?」


「そこから先はわからない。前回はここ何とか阻止したらしい。だが研究者の予想だと世界は救済され新しい世界が始まる」


「……それって世界再構築ということですか?」


「推測だがな……」


カタコンベの地上部にある教会には今日も多くの礼拝者で賑わっている。

皆が祈りを捧げる先には鎖で縛られた少女の石像があった。


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