したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

86embers ◆5WH73DXszU:2019/10/25(金) 19:31:38
【ディスユナイト・ディスカッション(Ⅰ)】

『明神・・・分ってるとは思うがメインは勝つ事だ、兵士はあくまでも二の次だぞ』

左の紅眼/燃える紅蓮が揺れる――混濁する[焼死体/■■■■]の意識と共に。
記憶とは人格――記憶なき不死者が、ただの魔物に過ぎないように。
つまり――不完全な記憶は、不完全な人格を形成する。

『一番大切なのは、兵士達の命なんかじゃない――』

死を厭う敗者の魂が叫ぶ――違う。失われていい命なんてない。

『僕達は君の矜持の為に、本来もっと楽な作戦にできるはずなのに――』

栄冠無き王者の魂が嘯く――違う。大切なのは俺とあいつの、どちらが強いか。それだけだ。

『当然だが僕の考えた作戦は穴もあるだろう――』

魂をも凍りつく恐怖/死してなお再燃する未練――そのどちらも、嘘偽りのない、本心。
故に[焼死体/■■■■]は思考する――矛盾した行動原理を、両立させる為の方程式を。

『僕はなゆ達を必ず守ると誓おう』

「……待て。結論を出すのは……まだ、早い」

不規則に揺れる、紅と蒼の双眸――[焼死体/■■■■]は曖昧な意識の中で言葉を紡ぐ。

「要約しよう。求められる条件は、こうだ……第一に、兵士と街は見捨てられない。
 否定はしないよ……特に、兵士は重要だ。アコライト外郭を守り抜くのは彼らだ。
 俺達は、ずっとここにはいられない。なら……置き去りも見殺しも、後々に響く」

《第二に、余計なリスクを背負うのは御免だ――当然だな。
 どうせ勝つなら、より完璧で、より合理的であるべきだ》

「……誰も死なせられないのは、俺達だって同じだ」

《二つの条件を満たす作戦が、一つだけある》

「……いや、二つだ。二つある」

《簡単な事だ――ここに置き去りにすべきなのは、兵士じゃない。ユメミマホロ、お前だ。
 お前が残れば、帝龍に外郭防衛隊は勝算が立たず撤退したと証言出来る。
 助命するという約束は、信じられなかったとも》

左眼が紅く燃える――時を超え再燃した未練/野心/矜持を誇示するように。

《この作戦の一番のメリットは、城郭制圧後の帝龍の行動が制限可能という点だ。
 お前は自分自身と、戦乙女の接吻を人質に出来る――それで夜まで時間を稼げ。
 契約の履行は、俺達が追撃不可能な距離まで逃げてからだと言えば、筋は通る。
 隠れんぼは……もし不安なら、アコライトの外まで隠れる範囲を広げればいい。
 何より、これなら全てリスクは、ユメミマホロに集約する――文句なしだろ?》





「……或いは、全てのリスクを均等に分け合うのも一つの手だ。
 恐らくこちらの方が、お前にとっては好みのやり方だろうな」

右眼の蒼炎が俄かに燃え立つ――視線の先には、少女がいた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板