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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

8崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2019/09/24(火) 22:20:24
「まっ! とにかく、ようこそいらっしゃいました! 歓迎しますよ〜。
 今日は大した襲撃もないと思いますし、何もないところですけどゆっくりしてって下さい。
 明日から劣勢を挽回する作戦を考えていきましょう!」

「はい! よろしくお願いします、マホたん!
 あ、ところで――」

ひとつ、気になっていたことを口にする。

「マホたんのマスター。『異邦の魔物使い(ブレイブ)』はどこにいるんですか? 中の人っていうか――」

今なゆたたちの目の前で会話しているのは、モンスター『笑顔で鼓舞する戦乙女(グッドスマイル・ヴァルキュリア)』だ。
ブレモンは『異邦の魔物使い(ブレイブ)』とパートナーモンスターで一組である。
であれば、当然ユメミマホロの近くにはマスターである『異邦の魔物使い(ブレイブ)』がいるはずである。
だが、少なくとも周囲にそれらしき姿は見えない。
なゆたがきょろきょろと周囲を見回すと同時、マホロが凄い勢いで詰め寄ってくる。
美少女ヴァーチャルアイドルはなゆたの胸倉を一瞬掴むと、

「……中の人などいない」

と、やたらドスの利いた声でぼそ、と呟いた。

「あっ、ハイ……」

触れてはいけないところに触れてしまったらしい。なゆたはドン引きした。
筋金入りのVtuberだけに、中の人の存在に言及するのはタブーということなのだろう。
甚だやりづらいが、それでも『異邦の魔物使い(ブレイブ)』とモンスターの連携は取れているようだし、戦うのに問題はない。
それなら黙っておこう……となゆたは心の中で誓った。
パッと手を離すと、マホロは元の朗らかな表情に戻った。くるりと踵を返し、部屋から出ていこうとする。

「宿泊する部屋の用意ができるまで、城塞の中を案内しますよ。
 と言っても、みんなはもうゲームで間取りについては把握してるかもだけど……。
 何か質問があれば、遠慮なく訊いちゃってください。知ってる情報は全部教えます、ホウレンソウは大事!
 ……あたしもみんなにアコライトで戦うにあたっての『ルール』を説明しておかなくちゃだし」

「ルール?」

「うん。……といっても、難しいことは全然ないですけどね〜。
 ただし、それを守れないと死にます。間違いなく死ぬ。だから、みんなも気を付けて!」

突然物騒な話になった。
どうやら、ユメミマホロを指揮官とする城郭防衛隊はそのルールを厳守してきたために、今まで生き残ってきたということらしい。

「じゃ、城壁の上にあがりましょうか。そこからだと全体が見やすいし……敵の姿も見えるから」

マホロが背中越しに右手の親指で城壁を指す。
側防塔内部にある螺旋階段をのぼり、20メートルほど上の城壁上部の歩廊に行くと、アコライト外郭の内外がよく見渡せた。
背後に目をやると、うっすらと王都キングヒルの白亜の尖塔が見える。
そして、前方には――
城壁前に蝟集する、無数のバジリスクやヒュドラ、コカトリス、巨大なワニやトカゲなどの爬虫類型魔物たちの姿があった。
その数はほとんど地平線を埋め尽くしている。ざっと見ただけでも6000などという当初の情報を遥かに凌駕していた。
このモンスターがすべて、二ヴルヘイムの尖兵――。
絶望的というしかない彼我の兵力差に、なゆたはぞっとした。
だが、マホロは眼下に群がる魔物たちを見慣れているのか、顔色ひとつ変えない。

「大丈夫ですよー。数だけは多いけど、空を飛んだり壁をよじ登ってこられるようなモンスターはいないし。
 空も飛べないからね。『今のところは』無害。もちろん真正面から戦うとなったら結構強いし、あたしでも結構てこずるけど。
 こっちから手を出しさえしなければ、ね」

「そうなんですか……。それにしても、これだけの数のモンスターを操るなんて……。
 敵の指揮官はどんな相手なんですか? やっぱり、ニヴルヘイムの三魔将の誰かだったり……?」

「んー。そういうんじゃないかなー。知ってる人は知ってると思うけど」

「知ってる人は知ってる……?」

「煌 帝龍(ファン デイロン)って知ってる?」

「!!」

煌 帝龍。

その名を聞いて、なゆたは思わず身体をこわばらせた。


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