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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

69明神 ◆9EasXbvg42:2019/10/21(月) 03:45:20
映像の主は、俺と同じくらいの歳の若い男だった。
痩身矮躯を上等なスーツで包み、丸眼鏡の奥には冷たく鋭い眼光。
オールバックの髪型は俺みたいに毛羽立ってない、きっちりまとめたエグゼクティブスタイルだ。

>《――おやおや。おやおやおや! これは驚いたアル!》

……アル?
俺は猛烈に嫌な予感がした。

このいかにも金持ちそうなシャッチョサンじみた風体。
世界のあらゆるものを見下してそうな、傲岸不遜な立ち振舞い。
なによりも、男を見上げるマホたんの、怒りと敵意に満ちた視線。

>《ここしばらく、城塞の中に引きこもっていたのが――今日は姿を見せてくれるとは思わなかったアル。
 ようやくワタシの軍門に下る気になったアルか? マホロ》
>「バカなこと言わないで。
 たとえ死んだって、あなたのところへなんて行かないわ! 今日はあなたに宣戦布告するために出てきたのよ――
 覚悟しなさい、帝龍!」

マホたんの告げた名前が、嫌な予感がカンペキに的中したことを表していた。
煌・帝龍。中国最強のブレモンプレイヤーにして、暗黒メガコーポ帝龍有限公司の若き総帥。
そんな……ウソだろ……お前……お前!

「アルって!!カザハ君の妄言ドンピシャじゃねーか!!」

なんなんだよアコライトとかいう土地はよぉ!
ござる口調のオタク殿と言い、語尾にアル付ける中国人と言い、ステロタイプの見本市かよ!!
ここだけ二十年くらい前にタイムスリップしてんじゃあねえだろうな!?

俺のどうでも良い驚愕をよそに、マホたんは帝龍と舌戦を繰り広げる。
わぁーマホたん怒るとこんな感じなんだぁ。そういうところもしゅきぃ……。

>《正直言って、オマエたちを捻り潰すのは造作もないことアル。
 しかし、ワタシはそれをしたくないアル。事と次第では軍を引き、オマエたちの命を保証してもいいアル》

帝龍はどこまでも不遜な態度で、終戦の可能性を示唆する。
やっぱりか。この膠着、大軍をずらりと並べた示威行為は、交渉材料。
奴はアコライトを包囲したうえで、より大きな譲歩を引き出そうとしているのだ。

兵士の命と引き換えに要求するものは何だ?
将であるマホたんの首級か?キングヒルまでのフリーパスか?
無血でアコライトを開城できるなら、アルメリア全土に無傷の侵攻部隊を送り込めるだろう。

兵士をかばい全ての責任を負ったマホたんに対し、
敵軍の主、中国代表帝龍が言い渡した示談の条件とは……

>《マホロ……ワタシの許に来るアル。ワタシのものになるアル。ワタシだけの戦乙女に――
 オマエの『戦乙女の接吻(ヴァルキリー・グレイス)』を、ワタシに捧げるアル》

一瞬、脳味噌が全ての機能を停止した。
遅れて理解がやってきて、俺は叫んだ。

「はああああああああああああああっ!!!???」

カザハ君も同時に叫んだ。

>「はいぃいいいいいいいいいいい!?」


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