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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章
59
:
embers
◆5WH73DXszU
:2019/10/18(金) 23:12:41
【フレイミング・リグレット(Ⅱ)】
夕日が沈み/月が浮かび/暁に溶け/朝日が昇る。
その間、焼死体は身動ぎ一つせず、戦場を眺めていた。
ただひたすら、まだ名も知らぬ敵を殺す術に、思いを馳せていた。
『午前中は待機で。各々好きなことをしてくれていて構わないよ。
ただ……正午までには絶対にこの中央広場へ集合して。いい? それがこのアコライト外郭のルール。
それを守れないと……死んでしまう、から』
やがて城内を見回る戦乙女が傍を通り掛かると、そう警句を残していった。
中央広場――兵士達が何らかの搬入作業を行う様が見える。
魔物の残骸――骨や内臓を、山と積み上げている。
何故かは分からない――だが理由あっての事に違いない。
焼死体は城壁を降りると、暫し骨と臓物に塗れる労働に従事した。
そうして気付けば、周囲に人が集まっていた――皆、険しい顔をしていた。
『……来る』
俄かに曇る空を見上げて、戦乙女は張り詰めた声を零す。
「何がだ。俄か雨か?洗濯物の取り込みなら手伝えないぞ。煤塗れにしても――」
『総員、退避! 建物の中に入って!』
「……俺が最後尾に立つ。リーダー、チームを引率しろ」
避難が完了し、鉄扉が固く閉ざされる。
扉の外からは幾重にも連なる/絶え間ない羽音が響いていた。
焼死体が、衣擦れの音一つ立てず――守るべき者/少女へと、寄り添う。
『……マホたん、これは……』
『静かに。息を殺して、喋らないで』
やがて羽音が遠のき、消え去ると――戦乙女から安堵の吐息が漏れた。
『もう終わったみたいね。お疲れさま、みんな。……でも、まだ今日はやることがある』
「ああ、そうだな。まずは今、何が起きていたのか――」
《――おやおや。おやおやおや! これは驚いたアル!》
不意に天から降り注ぐ声/頭上を見上げる。
空を切り抜いたようなスクリーンに、一人の男が映っていた。
煌帝龍、中国最強と歌われたその男に――焼死体は確かに、見覚えがあった。
――何故だ。何故、俺はあいつを覚えている?どうして、あいつだけを……。
脳髄を切り裂くような頭痛/頭を抱える/考えても答えなど出る筈もない。
今更記憶を取り戻しても、何の意味もない――分かっている。
それでも――考えずにはいられなかった。
要するに、焼死体は己を、過大評価していた――記憶の欠落など、とうに割り切った心算だった。
割り切ったと思える事自体が、自身の記憶喪失が不完全である証左だと――気付いていなかった。
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