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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

289崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2020/02/13(木) 19:25:06
「ぅ……ぉ……」

アジ・ダハーカが撃破されたことで精神が限界を迎えたのか、
『浮遊(フライト)』で宙に浮かんでいた帝龍の身体がぐらりと傾いたかと思うと、地面に向かって真っ逆様に落ちてゆく。

「ポヨリン!」

なゆたが鋭く命じる。ゴッドポヨリンが素早く跳ねて帝龍の真下につき、クッションの要領でその身体を受け取める。
なゆたはほっと息をついた。たとえ憎い敵であったとしても、死ぬことはない。
助けられる命ならば助けたい。その想いは、マホロが戦死した今でも変わらない。
戦いは終わった。あとは、帝龍を拘束すればいいだけだ。
帝龍はニヴルヘイム側の『異邦の魔物使い(ブレイブ)』。当然、あちらの情報も多く握っていることだろう。
それを、これから何とかして吐かせる必要がある。虜囚とするのは申し訳ないと思うが、今は戦争中だ。やむを得まい。

そして。

「うおお……やっべえ! まじでやっべえな! アジ・ダハーカをやっちまったぞ、あいつら! まじやべぇ!」

「う〜ん、でぇら魂消たにゃぁ。あの魔皇竜をこわけさすとはにゃ……」

そんな戦場の光景を、数キロ離れた高台から眺めている人影があった。
両者ともフードを目深にかぶっており、その顔は見えない――が、特徴はある。
ひとりは左脇に竪琴を抱えており、声音からして女性のようだ。
もうひとりは男のようだが、背の高さが隣に立つ女の鳩尾あたりまでしかない。
背の低い方が女を見上げる。

「なぁ、あいつらと遊んできてもいいか? いいよな? ちょっとだけ!」

「たぁーけ、そんな時間にゃーでしょお。おみゃーさんは何かっちゃそればっかだで。
 兄さんに怒られても知らんよぉ」

「くっそー。つまんねーの」

女に窘められると、男はぶつくさと文句を言いながら腕組みした。
腕が太い。矮躯だというのに、その鍛え上げられた腕の太さはヒュームの戦士のそれを上回る。
ふたりの見ている先で、ゴッとポヨリンが帝龍を地面に下ろし、守備隊がその身柄を拘束している。

「助けなくていーのか、アイツ」

「いいんじゃにゃー。アタシらの役目は戦いの見届け人ってことだけだにゃぁ。
 結果については知らんがね」

「ふーん」

「とはいえ、なんもせんで帰ると兄さんがおそがいにゃ。
 最低限の仕事はしとかにゃきゃにゃ……」

女はそう言うと、徐に持っていた竪琴の弦にしなやかな指をあてがった。
そして、ぽろろん……と一曲を爪弾く。
と、その瞬間に竪琴から鳴り響いた音色が魔力の矢に変わり、凄まじい速さでなゆたたちのいる戦場へと飛んで行った。
その狙いは、いまだ気を失ったままの帝龍。――だが、その命を奪おうというのではない。

バキィンッ!!

硬質の破砕音。女の放った魔力の矢は、帝龍のスマホを正確に射貫き、破壊していた。

「これでよしっと。さ、帰ろみゃあ」

「うーい。あー、戦いたかったなぁー」

「それはまた今度にしよみゃあ。物事には順序ってものがあるんだにゃ。
 アタシらがアイツらを片付けちゃったら――出番を控えてるマル兄さんに怒られるでね」

「おれは別にいーけど」

「アタシがヤだにゃ」

短く返すと、女はその場から瞬く間に消え失せた。少し置いて、男もまた姿を消す。

アコライト外郭での戦いは、こうして決着した。


【幻魔将軍ガザーヴァ復活。魔皇竜アジ・ダハーカ撃破。
 煌 帝龍の身柄を確保するも、帝龍のスマホは何者かによって破壊されてしまう。
 アコライト外郭の戦いはアルフヘイムの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』の勝利に終わる】


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