したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

286崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2020/02/13(木) 19:12:57
「がああああああああ!!させるかァァァァァァァ!!!」

カザハのスマホをキャッチした明神へと、ガザーヴァが手を伸ばす。
しかし、届かない。カケルが足を引っかけると、ガザーヴァはいともたやすくバランスを崩して突っ伏すように転倒した。
そして、その直後に地面から無数の槍が出現する。
槍衾は狙い過たず明神を標的としていたが、明神はぎりぎり半歩でそれを避けた。
ガザーヴァのトリッキーな攻撃を熟知している明神だからこそのファインプレーである。

「く……!」

奇襲が失敗に終わり、ガザーヴァは転んだまま忌々しそうに顔を上げた。
そして、その鼻先。至近距離にスマホが突き付けられる。
チェックメイト。これでガザーヴァに打つ手はなくなった。
この状態ならいつでも問答無用でガザーヴァを捕獲できる。――が、明神はそうしなかった。

>もう一度言うぜ。――俺と組めよガザーヴァ。
 バロールもカザハ君も関係ねえ。俺は!お前に!一緒に来いって言ってんだ!!

「……お前……」

>俺がお前に会いたいのは、お前がカザハ君のコピーだからじゃない。
 手前の価値を安く見積もってんじゃねえぞガザーヴァ!
 俺達がそのケツを追っかけ続けてきた幻魔将軍は、お前以外に居ないんだよ
>俺はブレモンが好きだ。アルフヘイムも、ニブルヘイムも、パートナーも――敵キャラも。
 俺の愛したブレモンの中に、お前も確かに入ってるんだ。
 お前をこんなところで終わらせない。絶対に幻魔将軍を取り戻す
>自分を取り戻したいと願うなら、俺達のパートナーになれよ。
 お前が死ぬまで見れなかった、アコライトの先の景色を見せてやる

「アコライトの先の……景色……」

ただただ、バロールのためだけに生きてきた。
バロールの言うことを聞けば愛してもらえると。必要としてもらえると。自分の方を見てくれると、そう信じて。
けれど、そうではなかった。バロールにとってガザーヴァは駒のひとつでしかなく、代替が可能なもので。
何よりバロールはガザーヴァのことなど見てもいなかった。

でも。

ここに、そうじゃないと。そう言ってくれる人がいた。
このひとは。自分を必要としてくれている。代替が可能なコピーじゃないと言ってくれている。
自分のことを。見てくれている――。
それなら。

このひとなら、ボクのお願い。ボクのたったひとつの望みも、聞いてくれるかもしれない……。

この世界に何も残せないまま、ただのコピーとして消えていくなんて、イヤだ。
ボクは何かを残したい。ボクがボクのオリジナルとして、ボクにしかできないことを、この世界に。
ボクが存在したということを、みんなの記憶に残したい……。
ガザーヴァは強烈にそう念じた。

「……れよ」

ぼそ、とガザーヴァが呟く。

「お前……言ったな! じゃあ――責任取れよ! 絶対絶対……言ったことの責任! 取れよな――!!」

叫ぶ。明神がカザハのスマホから放った捕獲ビームが、ガザーヴァを幾重にも絡み取る。
カザハの肉体から黒い靄のような塊が飛び出て、捕獲ビームと共にスマホの中へと入ってゆく。
そして――

スマホのリザルト画面には『ガザーヴァ 捕獲完了』という文字が表示されていた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板