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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

282embers ◆5WH73DXszU:2020/02/08(土) 06:40:13
【ジ・オンリー・ウェイ(Ⅱ)】

【奪えぬ心(ルーザー・ルーツ) ……対象に特殊バフ『内なる大火』を付与する。
 ――亡者と、その心。死者の顔色を伺え。物言わぬ躯にも譲れぬものがある。
 それが分からない奴が、ここで死ぬのさ 墓荒らしのウィック――】

焼死体の右手に、炎の薔薇が咲く/握り潰す――右腕に、炎が宿る。

【握り締めた薔薇(ルーザー・ローズ) ……対象に特殊バフ『残り火』を付与する。
 ――谷底の死体と、握り締めた薔薇。負け犬とて、手放せないものくらい、ある――】

右手が急速に灰化する/それを上昇気流が攫う――旋風が勢いを増す。
灰化する焼死体/強まる旋風――その因果関係は明らかだ。
焼死体は、自らの意思で風を操っている。

「……この世界のモンスターは「自分の体と定義されたモノ」を完全に操る事が出来る。
 全てのモンスターがそうかは分からないが、少なくとも四体、実例が確認出来ている」

ポヨリンはG.O.Dと化した肉体で、本来の生体機能にはないスキルを使いこなす。
ヤマシタ/バルゴスも同じだ。無数の革鎧で出来た肉体で、自由自在に剣を操る。
フラウもそうだ。溶け落ち/ゲル化した肉体を、完全に制御する事が出来ている。

ならば――同様の事が焼死体に出来ても、何も不思議な事はない。
己の存在が怨霊に近づき、つまり肉体ではなく思念が自己の主体と化した状態で、
【烈風の加護】を受けた自身の灰が熱風の上昇気流に干渉する事は可能だと、焼死体は考えた。

そして実行した/成功した――限定的な気流操作の能力を、焼死体は会得した。

「お前に理解出来るか? 煌帝龍。俺が何をしているのか」

スマホを操作――液晶から、白いゲル状の塊が飛び出す/二種類のバフを付与。
右腕が完全に灰化/砕け散った――漆黒の霊体が、そこに残る。
次は右脚が砕けた/それでも、焼死体は立っていた。

「DPSの概念は流石に分かるよな?その応用である、時間を火力に変換するという発想はどうだ?
 つまり――例えば極めて限定的な気流操作能力を用いて、上昇気流の外側に風の渦を作るんだ。
 渦は熱波を巻き込みながら、熱をその内側に閉じ込める。増幅された熱は更に気流を強化する」

漆黒の霊体を、相棒が繭を紡ぐように抱擁する/失われた肉体を、純白の甲冑が補う。

「後はその繰り返しだ。なあ……俺が何を言っているのか、本当に理解出来ないのか?」

白と黒――その比率は瞬く間に、前者へと偏っていく。
焼死体の、本来の肉体はもう、殆ど残っていなかった。

「なら、もっと分かりやすく言ってやるよ」

出し惜しみをしていられる状況ではない。ここで確実に仕留めなくてはならない。
ならば――己の存在全てを火力へ変換する。それが最適解である事は明白だった。
それがガザーヴァの援護なしに、アジ・ダハーカを倒す火力を得る、唯一の方法。

純白の右腕が、漆黒の左腕が、溶け落ちた直剣を高く振りかざす。
周囲の魔力を刃とする――この星の因果の外で、生まれた魔剣を。

「嵐だけが、大樹を倒すのさ」

ゲーマー流の決め台詞――間違いなく刺さったであろうマホたんは、もういない。

「さあ、行くぞ。いつまで寝惚けてる?始原の魔剣よ。俺の呼び声に、応えてくれ……いや、応えろ――」

吹き荒れる灼熱の嵐が、溶け落ちた直剣へと宿る。そして、一振りの刃と化すまで収斂された嵐が――

「――【ダインスレイヴ】」

魔皇竜の肉体――その中心を音もなく、通り過ぎた。


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