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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

272明神 ◆9EasXbvg42:2020/02/03(月) 02:08:50
タイマン空間がなければ、余波で俺達も根こそぎ吹っ飛んでいただろう。
何もかもを砕き尽くす破壊の波は隔離フィールド内部を何度も反射しながら威力をぶち撒ける。
爆風が届いてもいないのに、大気の揺れが頬を叩いた気がした。

『河原へ行こうぜ』の効果が終了し、フィールドを構築する膜が砕け散る。
それは、術者であるユメミマホロが死亡したことを意味していた。

>「……ぅ……、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……あああああああああああああああああ……!!!」

音を失った世界で、なゆたちゃんの慟哭だけが耳に響いた。
気付けば、俺は膝を折っていた。頭の上にひらひらと何かが舞い落ちてくる。

「マホ……たん……」

両手で受け止めれば、それは薄汚れてしまった白い羽根。
ユメミマホロが背に生やす、一対の翼――その名残だ。

また。まただ。また俺の目の前で、命が消えた。
俺達を守るために、マホたんはその生命を燃やし尽くして……死んだ。
他に方法があったわけでもない。アジ・ダカーハが召喚された時点で、この運命は決まっていた。

ユメミマホロの犠牲なしに、俺達が生き残ることは出来なかった。
だけど。あんまりだろ、この結末は。

これはアルフヘイムとニブルヘイムの戦争だ。
人の死なない戦争なんてない。帝龍はクソ野郎だが、罪があるわけじゃない。
お互いに殺し合って、その決着として片方が死んだ。戦いにはよくある、それだけのこと。


……なんて割り切れるわけねえだろうが!!
恨みを持つのが筋違いだって分かってても、俺は憤らずにはいられない。
簡単には、受け入れられない。

それでも、マホたんの死に絶望する前に、やることがあるだろ。
人の死の意味を見出すのは、残された者たちの役目だ。
マホたんの犠牲に意義があったのか、それとも無駄死にに終わっちまうかは、俺達が決める。

アジ・ダカーハは中枢を覆う装甲の大半を失い、弱点がモロ出しだ。
アコライト守備隊はジョンの陣頭指揮のおかげで、トカゲをほぼ完全に抑え込めてる。

遠からず、決着がつく。
ユメミマホロの最期を『勝利』で飾るために、この足は止めない。
ゲーマーとしての矜持は、何も折れちゃいない。

手のひらで頼りなさげに揺れる羽根を、強く握る。
震える膝を一発殴って、立ち上がった。

振り向けば、ガザーヴァが左腕に形成した刃で自分の首を断とうとしていた。
自刃――?いや、右腕が同時に閃き、装備した護符をぶち当てて止めた。
ガザーヴァが舌打ちする。自刃を止めたのは奴の意志によるものじゃない。

……カザハ君か!
バロールの登場で話が長引いてるうちに、あいつ片腕一本分身体を取り返しやがった!

ガザーヴァによる主導権の塗り替えが完全ではなかったのか。
あるいは、心理的な動揺で生まれたスキをついたのか。
いずれにせよ、カザハ君はまだ『そこ』に居る。戦い続けてる!


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