したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

261崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2020/01/28(火) 21:20:59
「マホたん……逃げて! もう充分よ! あとは帝龍が自滅するまで、わたしたちで相手を――」

なゆたが叫ぶ。
しかし、分かっているのだ。ここでマホロが逃げる選択肢などない、ということは。
もしマホロがサレンダーすれば結界が解除され、アジ・ダハーカは『異邦の魔物使い(ブレイブ)』や守備隊に矛先を向ける。
『戦乙女の接吻(ヴァルキリー・グレイス)』で超絶永続バフがかけられた、超レイドの強化版だ。
先刻でさえ、なゆたたちはアジ・ダハーカに掠り傷ひとつつけることができなかった。
パワーアップした魔皇竜が本気で殲滅に来たら、なゆたたちなど秒で全滅であろう。
だから――マホロには決戦空間の中で、一秒でも多く時間を稼いでもらわなければならないのだ。
ほんの一瞬、ちらと明神の方を振り返ると、マホロは小さく笑った。

「……月子先生。カザハ君、エンバースさん、ジョンさん……明神さん。
 短い間だったけど、楽しかったよ。ありがとう。アルフヘイムに来てから、久しぶりに心から楽しかった。
 憎しみを向けられることさえ、あたしにとっては嬉しかった。
 本当は、もっとみんなと一緒にいたかったけど――これでお別れだね。
 明神さん……あたしの大切なファンのみんなの笑顔、守ってね。
 キラキラ輝く笑顔を……それが、あたしの。『笑顔で鼓舞する戦乙女(グッドスマイル・ヴァルキュリア)』の望みだから。
 ……バイバイ。あなたたち『異邦の魔物使い(ブレイブ)』の旅が、いつも笑顔に溢れたものでありますように――」

別れの言葉を告げ終わると、マホロは間近の巨大な砲塔の如き三本首へと向き直った。
と同時、帝龍が巨竜へ攻撃を指示する。

「塵と化せ、神の怒りを思い知れ!! 『活火山島の神息(ボルカニック・ゴッド・ブレス)』!!!!!」

「ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオム!!!!!!!」

臨界点に達した超絶的なエネルギーが、極高温のブレスとなって解き放たれる。
それは、ちっぽけな戦乙女など一瞬のうちに影も形も残らず焼き尽くすほどの――

けれど。

「あたしの最後の動画配信、始めましょうか!
 タイトルは……『みんなのことが大好きだから、命を懸けて突破口開いてみた』!!
 アコライト外郭の『異邦の魔物使い(ブレイブ)』、ユメミマホロ……行くわよ!!!」

ドンッ!!

マホロは逃げるどころか、凄まじいスピードでアジ・ダハーカのブレスへと突っ込んだ。
しかし、燃えない。マホロの突き出した右拳から迸る純白の波動が、魔皇竜の熱波を真正面から斬り裂いている。
帝龍は驚愕した。

「バ……、バカな……」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

マホロは咆哮した。拳から放たれる白いオーラが、その量を増す。
自分の持ちうるすべてのスペルカードを使い、最大限にまでバフをかけての『聖撃(ホーリー・スマイト)』。その名も――

「おあああああああああああああッ!!! 『大 聖 撃(アーク・スマイト)』!!!!!!」

『聖撃(ホーリー・スマイト)』は敵のカウンターを取ったときにこそ最大限の破壊力を発揮する。
超レイド級、それも接吻によって強化されたアジ・ダハーカの攻撃。そのカウンターを取ったなら、
その威力たるや想像を絶するものになるだろう。
ただし――『笑顔で鼓舞する戦乙女(グッドスマイル・ヴァルキュリア』の肉体は、そこまでの負荷に耐えられない。
マホロの身体が崩れてゆく。左腕と右脚が砕け、翼がみるみるうちに燃えてゆく。
胸鎧が砕け、ツインテールにした美しい金髪が発火する。ビキッ! と鋭い音が響き、右頬に亀裂が走る。
それでも、マホロは止まらない。ただひとつだけ残った孤拳を突き出し、炎の海を突き進んでゆく。
そして――やがてマホロの身体は『活火山島の神息(ボルカニック・ゴッド・ブレス)』を突き破り、
巨竜の懐に到達していた。
目の前に、アジ・ダハーカの三本首の付け根が見える。すなわち――

ヒュドラなど多頭竜に共通してみられる特徴、複数の首を統御する、中枢神経の位置が。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板