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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章
259
:
崇月院なゆた
◆POYO/UwNZg
:2020/01/28(火) 21:10:22
(やっぱり……そういうことか……!)
ここに至り、マホロが心に抱いていた疑念は確信に変わった。
だとしたら――ひょっとして、ひょっとするかもしれない。
ブレモン1500体の頂点に君臨する超レイド級、その一角を崩せるかもしれない……そう思う。
で、あるならば。
自分は自分のするべきことをするだけだ。
マホロは最後の力を振り絞り、血と埃にすっかり汚れた白い翼を一打ちすると、矢のようにアジ・ダハーカへ迫った。
螺旋の尾を引きながら上昇してゆき、魔皇竜の三本首のうち一本角の頭部の上方に位置取りする。
「帝龍―――――――――ッ!!!」
「チ……! アジ・ダハーカ、叩き落と――」
「帝龍、あんたに質問するわ! ――私の商品価値はどこにある!?」
「何を言い出すかと思えば。それはもちろん、そのルックス。強さ。歌声に……」
「……『戦乙女の接吻(ヴァルキリー・グレイス)』……でしょ?」
『戦乙女の接吻(ヴァルキリー・グレイス)』。
戦乙女属のモンスターが最後に覚えるスキル。接吻を贈った相手に、永続のバフを掛ける乙女の祝福。
生涯に一度しか使えないそのスキルは、戦乙女の純潔の証。
それがあるからこそ、戦乙女属は価値がある――と言っても過言ではないだろう。
当然、『笑顔で鼓舞する戦乙女(グッドスマイル・ヴァルキュリア)』であるマホロも、それを持っている。
そして。
「あたしの『戦乙女の接吻(ヴァルキリー・グレイス)』が欲しいって。そう言ってたわね、帝龍?
……いいわ。あげる……あたしの大切に守ってきた唇を」
何を思ったか、マホロは突然帝龍に対してそんなことを言った。
今まで頑なに守り続けてきた、戦乙女の命とも言うべきもの。
それを今、捧げるという。
あまりに予想外の突拍子もない発言に、さすがの帝龍も一瞬呆気にとられ、眼鏡の奥で目を見開いた。
が、すぐに我に返り、身体を仰け反らせて嗤う。
「くふッ! くふふ……くふははははははははははッ!!
敵だなんだと口では威勢のいいことを言っても、やはり絶対的な質量差! 物量差はいかんともしがたいアル!
マホロ、オマエにもやっとそれが分かったようアルネ。いいアル!
オマエの『戦乙女の接吻(ヴァルキリー・グレイス)』をもって、降伏の証としてやるヨロシ!
さぁ、早くこっちへ来――」
「はっ? 何を言ってるの? 誰も、あなたにあげるだなんて言ってないわ」
自分に降伏と服従の口付けをしろ、とばかりの帝龍に対して、マホロは呆れ顔で肩を竦めた。
そして、アジ・ダハーカの一本角を持つ頭部へと近付いてゆく。
マホロの身の丈以上の大きさがある、魔皇竜の口許へと。そして――
「あたしが口付けを捧げるのは。コイツに対してよ……!」
言うが早いか、マホロは目を閉じるとアジ・ダハーカの口にキスをした。
ギュオッ!!!
すぐさまスキル『戦乙女の接吻(ヴァルキリー・グレイス)』が効果を発揮する。
マホロと魔皇竜を中心に聖なる紋章が出現し、さながら魔法陣のように二体を包み込む。
マホロの肉体から流星のごとく幾条もの光が飛び出し、アジ・ダハーカへと流れ込んでゆく。
「グルルルルァオオオオオオオオオオオオオオオオ―――――――――――――ン!!!!!!」
戦乙女の祝福を受け取ったアジ・ダハーカが咆哮を上げ、大気が振動する。
『戦乙女の接吻(ヴァルキリー・グレイス)』の効果は絶大だ。それは平凡な低レアモンスターをも準レイド級にまで昇華する。
いわんや、超レイド級モンスターであるアジ・ダハーカが祝福を受ければ、それは果たしてどれほどの強化となるだろうか?
六芒星の魔神の完全体という時点で未知の強さだったというのに、さらに戦乙女の加護まで得てしまっては、手に負えない。
アジ・ダハーカの全身から暗褐色のオーラが迸る。その巨体がさらに大きくなってゆく。
それはまさに、このアルフヘイムを破壊する神の顕現。
『異邦の魔物使い(ブレイブ)』などという存在では抗うことさえできない、絶対の領域。
この強化された魔皇竜の前には、アコライト外郭の防壁など障子紙のようなものであろう。
このまま、アルフヘイムは魔神に蹂躙される以外ない――
しかし。
マホロはただ単に、アジ・ダハーカに接吻して帝龍に利する行為をしたのではなかった。
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