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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

245明神 ◆9EasXbvg42:2020/01/27(月) 04:09:43
>ザシュッ!!

その時、今まさに俺を喰らわんとしていたトカゲが、背中から血を噴いて崩れ落ちた。
その奥から姿を現したのは、土煙漂う戦場でもなお目立つ、目に痛いピンクの法被――

>「無事でござるか、明神氏!」

「……オタク殿!?」

アコライト守備隊、通称オタク殿。
鎧をガチャガチャ言わせ、派手な法被を翻し、オタク殿達が俺の周りに陣を組む。
マホたんに先導されて撤退したはずの連中が、なぜか未だにアジ・ダカーハの眼前に留まっている。

竜の鼻息一つで消し飛ばされる、命の恐怖――
それに震えながらも、彼らを支え、この場に立たせているのは、ひとえに戦う者としてのプライドだ。

>「それに――明神氏。拙者らはマホたんの御旗の許に集った同志!
 同年、同月、同日に生まれることを得ずとも、願わくば同年、同月、同日に死せん事を……でござろう?」

「へっ、どピンクだけに桃園の誓いってか。俺とマホたんくらいにしか伝わんねーよ、そのネタ……」

アルフヘイムに三国志なんてもんがあるならいざ知らず、
地球出身のブレイブにしかこの冗句は通じやしないだろう。情報元は多分、マホたんだ。

それはつまり……オタク殿たちなりの、決意の表明だった。
ブレイブ任せにしてきたこの戦場から逃げることを止め、俺たちと爪先を揃えて、共に戦うと。
アルフヘイムの民もブレイブも区別なしに、戦友として肩を並べると。
俺がこいつらを救いたいのと同じように――こいつらもまた、俺を助けたいと思ってくれている。

オタク殿はデュフフと笑う。
俺もニチャァ……とほほえみ返した。
俺たちの間には、そのキモオタスマイルの応酬だけで、十分だった。

>「いやぁ〜……みんな危ないから、戦場から離脱してって。そう言ったんだけどね……」

オタク殿達の背後から更にマホたんが頬を掻きながら戻ってきた。
笑顔ウルトラキモスの俺たちと違ってその微笑みは聖母の如くきゃわたんである。

>「みんなにもプライドがある。戦士としての矜持がある。
 あたしは『笑顔で鼓舞する戦乙女(グッドスマイル・ヴァルキュリア)』……戦乙女は戦士の誇りを貶めない。
 ってことで……ゴメン。戦わせてもらうよ、ここで」

撤収は失敗。アコライト守備隊がここで生き残れる保証はなにもなくなった。
きっと、たくさんの兵士が傷付くだろう。二度と戦えなくなる奴だって出るかもしれない。

「はは……。俺たちは、こいつらに死んで欲しくないから、ブレイブだけで帝龍に吶喊したんだぜ。
 本末転倒だ。こういうことされっとさぁ……」

……だってのに。
俺は今、腹の底からせり上がってくる快い熱を抑えられない。
ゲーマーのそれとはまた別の、俺自身の矜持が叫ぶ。
こいつらと一緒に戦いたいと。

「……エモキュンすぎて、テンアゲしちまうじゃねえか!」

異邦の魔物使い(ブレイブ)は、本質的には孤立無援だ。
アルメリアからの支援は結局支援でしかない。現場で命張るのは依然として俺たちだけだった。

マホたんがバロールを信用出来ないのも、あの男が俺たちの裏で糸引くだけの存在だからだろう。
ブレイブはシステムのパシリ。王都のお使いに過ぎない。それは正しい表現だった。


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