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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

244明神 ◆9EasXbvg42:2020/01/27(月) 04:08:57
>「俺は――プランBになる。誰も、死なせはしない」

ブレスを避けて地面の裂け目に潜っていたエンバースの声が、下から響く。
さらにもう一つアジ・ダカーハの足元に裂け目が生まれ――その巨脚を掬った。

だが、浅い。地ならしでもするように巨竜が足踏みすれば、それだけでスペル効果が粉砕された。
巨体が不得手とする足元近くへの攻撃も、対策済みってわけだ。

やはり正攻法じゃ歯牙にも掛からない。
帝龍の足元を切り崩すには、奴とは別種の力が必要だ。

>「ククッ……おやおやぁ? どうしたのさ明神さん?
 ここはボクの見せ場だろォー? 涙なしには語れない別れの挨拶は済ませたんだから、そこで指でもしゃぶって見てなよ!
 ボクが華麗にこのデカトカゲをやっつけるところをさぁー! きひひひッ!」

残る希望は、あまりにも僅かな可能性だった。
俺の内応策に対し、ガザーヴァは三日月のように口を曲げて嗤った。
現状の手応えはなし。それでも会話に応じるのは、俺の断末魔を愉悦に変えようとする奴の性根によるものだろう。

ゲームにおける幻魔将軍ガザーヴァは、何かに付けて喋り倒す饒舌家だった。
周りの部下をイエスマンで固めていたからか、プレイヤーにもよく話しかけてくる。
その性質はバトル中にも発揮され、選択肢次第で攻略難易度すら変動した。

>「……お前……何が言いたいのさ?」

――つまりこいつは、会話を拒否しない。
言動で他者を翻弄するトリックスター。その性質に逆らうことはない。
相手の問いに答えることなく殺してしまうのは、獣の所業だと、知性の敗北だと……認識している。

だから、レスバを吹っ掛けてる間は問答無用で殺されることはない、はず。
なんの保証もない賭けでしかないが、今はそれに全てのコインをベットするしかない。

「何が言いたいかぁ?しっちめんどくせえなあ、いちから説明しないと駄目ですかそれ」

はぐらかして議論を間延びさせるのは簡単だが、交渉に時間はかけられない。
単なる命乞いだと看做されればその時点でアウトだ。
ガザーヴァの興味が失われる前に、全ての交渉を終わらせる必要がある。

考えろ――ガザーヴァをアルフヘイムに引き入れる方法を。
こいつが何を欲していて、それを提供する手段がないか。

>「しまっ――」

思考への没頭は、なゆたちゃんの息を呑む声に寸断された。
振り返ればトカゲの集団が俺めがけて疾走している。
もう数秒もしないうちにその牙や爪が俺を引き裂くだろう。

「やべ――」

ガザーヴァが口端を吊り上げる。
論破前に相手を殺すことはないと言っても、それは相手を助ける理由にはならない。
自分の身も守れないような弱者なら、そもそも戦場に出てくる資格なんかないからだ。

そして俺は、まさにその弱者だった。
ヤマシタを召喚――よりもトカゲの到達の方が早い。
そもそもリビングレザーアーマー単騎じゃ白兵戦でドゥームリザードには勝てない。
多勢に無勢。交渉を始めるまでもなく、俺はトカゲに喰われて死ぬ……?


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