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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

243明神 ◆9EasXbvg42:2020/01/27(月) 04:07:57
生き死にのかかった戦場だ。判断は常に、合理的でなければならない。
ベットするのは自分の命だけじゃない。ここでミスれば掛け値なしに、アルメリアは滅ぶ。

そういう意味じゃ、『カザハ君を諦めない』俺の判断は……不合理の極みと言えるだろう。
移っちまった情に振り回されてるだけの、幼稚な感情論だ。
ガザーヴァが目覚めないうちに、カザハ君を殺しておくべきだった。
アルフヘイムの云百万の命とたった一人の命を秤にかけて、俺は後者を選んじまった。

後ろから撃たれたって文句は言えねえ。
一笑に付される迷妄な発言に、安易な同意が得られるとも、思っちゃいなかった。

>「……あは」

だけど、俺の提案を聞いたなゆたちゃんは――笑った。
300人の命を預かる総大将、ブレイブ達のリーダーは、俺の脇腹を肘で小突く。

>「かっこいいじゃん、明神さん。さすが『笑顔きらきら大明神』ね!
 じゃあ――やってみよう。やってみせよう!
 みんなが笑顔になるように。全員で生き残って、笑顔きらきらになるように!」

――リバティウムでのやり取りが、不意に脳裏を過ぎった。
ミドガルズオルムと対峙して、ライフエイクの悲恋を叶えようと言ったなゆたちゃん。
俺は面白そうだからなんて雑に自分を納得させて、彼女の提案に応じた。

『だしょ! 明神さんならそう言ってくれるって思ってた!』

……まるで逆の構図だな、あの時と。
そして俺もまた、なゆたちゃんならカザハ君を助けようとすると――信じていた。

「面白そうだろ。だから、やってやろう。いけ好かねえ連中の目論見なんざ残らず叩き潰して……。
 この場にいる全員、笑顔きらきらにしてやろうぜ!」

うんちぶりぶりのまんま世界救うってのも、些か格好つかねえからな。
カザハ君が見届け、語り継ぐこの歴史には――笑顔だけを刻んでいこう。

>「カザハを諦めるのはナシだ!絶対に!全員で帰ってくるって決めたんだから!」

>「制御可能な風属性は、必ず必要になる――明神さん!プランAは、あんたに任せたぞ!」

ジョン、そしてエンバースも俺と轡を並べる。
王都を出た時から、何も変わっちゃいない。ガザーヴァと戦い続けてるカザハ君も含めて。

俺たちは……同じ方を向いている!

>「明神、カザハを説得するのは任せた!」

ジョンはありったけのバフをカザハ君に投じて、踵を返す。
俺が交渉する時間を稼ぐために、単身トカゲの迎撃に躍り出た。

身に纏うのはあの赤いスキルエフェクトだ。
しばらく落ち着いていた暴力性が楔を切り、解き放たれる。
その余波は俺の方まで届いて、重みがあるかのように頬を打った。

姿はさながら、手負いの獣。
その牙が俺に向いていないことに、どこか安堵している自分がいる。

……無理するなとは言わねえよ。
だけど生きて帰ってこいよ、ジョン。
お前にはまだまだ返してない借りがあるんだ。


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